17話 上位闘士のルール
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『上位闘士のルール』
ひとつ、中止命令が出されるまで闘う事。
ひとつ、魔法を扱い、観客を楽しませる事。
ひとつ、勅令を受けた試合に出場する事。
尚、勅令にたいする拒否権は認められない。
『上位闘士の福利厚生』
・大闘技場への出入りが許される。
・大闘技場内において護衛が配置される。
・専属治療師からの治療を受けられる。
・出場時は朝食と昼食が供与される。
・訓練施設“ルドゥス・マグヌス”の利用が許される。
・勝者には酒と報奨金(一万セステ以上)が振る舞われる。主催者に価値が認められた場合、敗者にも三千セステが振る舞われる。
・格別に優秀な者には騎士爵を与える場合がある。
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「なんだか……ずいぶん圧が強い契約書ですね」
昇格式を滞りなく終えた俺たちは、控室で上位闘士の契約内容を確認していた。
「言いたい事は分からんでもないが、上位闘士は帝国直轄の“ルドゥス・マグヌス”(偉大なる訓練所)に登録されるからな。軍籍のようなものだ」
「実際のところはかなり自由だから、あまり構えるな」と気安く言い添えてくるダモンさん。
―――ダモンさん?! あんた、契約書をよく確認しないで何度か騙されてますよね?
気をつけないとダメ! 絶対!
契約書のサインは慎重に! そんな事を考えながら、よくよく見直してみるとこの契約書、かなり怪しい。
「どうしたヘリオン、難しい顔をしおって」
どうしたじゃないよ……これは明らかな人選ミスだ。俺の中で契約書にうるさいトリトスさんの株が急上昇している。
「下位闘士の契約書には確か、クラウディ公のサインが入ってましたよね」
お願いだから、片眉を上げて“なんだか面倒くさそうな事を言い出したぞ”と言わんばかりの顔をするのは止めてくれ。
不安しかない……
「―――ああ、その事か。2つ目の項目に『魔法』があるだろ? 署名が無いのはな『大神』に見咎められないためらしい。だから、ワシらも署名はせずに、この場で確認するだけよ」
納得した―――魔法についての守秘義務“arcana”だ。
「ついでにいくつか、他の項目も説明しておいてやろう」
そう言うとダモンさんは、契約書の疑問点を簡単に補足してくれた。
・原則として上位闘士の試合は、殺し殺される手前で中止命令が下される。上位闘士は非常に高価な為、死亡率は低い。
・試合の開催は皇帝からの招待状で出場が決まり、自主的な興行には許可が必要となる。
・訓練施設“ルドゥス・マグヌス”は大闘技場に併設されており、自由に出入りできるが、ブルトゥス訓練所のほうが設備は充実している。
「それとな⋯⋯上位闘士というのは既に、宣伝の不要な存在なのだよ。つまり、興行師と対等な立場というわけだ」
「ヘリオンよ。やっていけそうか?」
いつも強気なダモンさんにしては珍しく、彼の表情は気遣わしげだ。ゴズウェルとの苦労話でも思い出したのか?
いや、アルティウムに裏切られた時の経験からか……
ダモンさんには無茶振りもされてきたが、それこそ数え切れない恩がある。
俺は、いつもイケイケでエネルギッシュな爺さんの心配顔なんて見たくないぞ。
―――ダモンさんの雪辱、俺が果たしてやろうじゃないか。
「筆頭剣闘士の看板、取り返しますよ」
絆されて格好つけてしまったかもしれない⋯⋯でも、まぁ良しとしよう。
俺の中のヘリオンも、笑って頷いてるみたいだからな。
毎週、月・水・金の週3回17時30分投稿。
次回は6月26日(金曜)です。
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