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【祝24万PV】転生式異世界武器物語 〜剣闘士に転生して武器に詳しくなるメソッド〜[月水金17:30更新・第二部完結済]  作者: 尾白景
上位闘士編

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11話 ミアお嬢様

 穏やかな昼下がり。


 帝都には神殿などの公共施設に隣接して“フォルム”と呼ばれる広場が都市計画の一環として整備されている。


 広場(フォルム)には水が引かれ、噴水や列柱が並び、市民の憩いの場として賑わい、バザーや政治集会、宗教の儀式なども執り行われるが、日中は概ね子供たちの学習の場としての役割を担う。


 そんな広場の一角、教師達が各々にグループを作り哲学や神学を子供に教え諭す様を、見るからに高貴な雰囲気を纏う少女と護衛がそれを退屈そうに眺めていた。


「ねぇウィビス。帝都は平和なものね」


「はっ、これも全ては偉大なる皇帝陛下の御威光の賜物かと」


「ならば何故、お祖父様は新都をご用意なさっているのかしら……」


「ミアお嬢様、何かおっしゃいましたか?」


「いいえ、なんでもないわ。広場でやっている神学教室に私も参加してみたいと思っただけよ」


「なりません。この辺りの教室は、公会堂からあぶれた二流、三流の教師です。お嬢様には相応しくありません」


「うるさいわね。私は同じ年頃のお友達と遊んでみたいの!」


 整った容貌の少女の顔が一瞬だけ苦痛に歪んだが、艷やかなブルネットの髪がそれをすぐに覆い隠した。


 護衛のウィビスは、少女の年相応な望みを哀れに思ったが、これもお役目。

 同情を隠して職務を全うする。


「いいですか、ミアお嬢様は帝国で最も尊きお血筋。お友達と言いましても相応しい……」


「見て! あそこに困っている美少女がいるわ!」


「お嬢様!」


 彼女が指し示したのは、青空教室の後ろで参加の仕方がわからずにしどろもどろになっている一人の少女。

 丁寧に編み込まれた三つ編みが、よく手入れされた明るい栗色の髪に似合っている。

 服装はそれなりだが、白いサンダルが少し汚れている事から貴族というよりは豪商の娘かもしれない。


 透き通るような白い肌。

 その小さな顔には、一流の彫刻家が一生をかけて追い求める『黄金律おうごんりつ』の如き完璧な均衡シンメトリアで配置されたつぶらな瞳が潤んでいる。


「……これは、とんでもない宝物を見つけてしまったかもしれないわね」


 ミアの胸が、かつてない高鳴りを覚えた。

 宝石にも勝る純粋な輝き。

 退屈な宮殿の壁に囲まれていては、一生出会うことのなかったであろう、磨かれる前の真珠のような輝きがそこにはあった。


 あれほど愛らしい瞳と見つめ合う事があったなら、何を置いても抱きしめて頭を撫でてあげたくなってしまうに違いない。


「もしかしてあの娘、私より可愛いんじゃない?」


「そのような事は……」


「一瞬、悩んだわね」


 ミアと呼ばれた少女は切れ長の目を細め、たじろぐ護衛をじとりと睨みつけた後、一転して花が(ほころ)ぶような笑顔を見せて命を下す。


 あの潤んだ瞳と視線が絡んだ瞬間、ミアの内に潜む慈愛――あるいは支配欲にも似た激しい衝動が、その背中を強く押し出したからだ。


「ウィビス、これは神託よ。私は彼女に会わなくてはいけないわ」


 §§§


「ルドヴィカせんせー、この文字が読めません」


「ちょっと待ってちょうだいね。そこ、お友達を叩いちゃダメよ!」


「せんせー」


 ―――どうしよう⋯⋯。


 リヴィアス様の勧めで近くの青空教室にやってきましたが、思っていたよりずっとゴチャゴチャしていて、入れてもらい方がわかりません。


 お金持ちの男の子達は、お隣のニウス様と違って乱暴なところが少し怖いです。


『ルドヴィカせんせー』と親しげに呼ばれているその人は、スラリとして背の高い、しなやかな大人の女性でした。

 艶やかな黒髪をなびかせ、じゃれようとする子供たちを優雅に捌くその姿は、まるで物語にでてくる聖女様のようです。


 けれど、時折こちらへ向けられるその瞳は、綺麗なアメジストみたいに透き通っていて……

 なんだか、森の中で利口な大きな猫に見つめられているような、吸い込まれそうな不思議な感じがしました。


 私が戸惑って先生に声をかけられずにいると、後ろから澄んだ声音で誰かが私を呼び止めました。


「ねぇそこの貴方、私と一緒に神学を教わりましょう?」


 振り返るとそこには私と同じくらいの背格好の、とても綺麗な女の子がすまし顔でジッとこちらを見ています。

 清潔なトゥニカの上に羽織った絹製のストラはとてもなめらかで、滲みもムラもない鮮やかな紫。

 どう見ても間違えようのないお嬢様⋯⋯


 カールしたブルネットは一糸の乱れもなく結い上げられ、眉上までの前髪は手入れに時間をかけられるお金持ちでなければできません。

 長いまつ毛に切れ長の目は、もうそれだけで宝石のようでした。


(なんて綺麗な女の子………)


「心配いらないわ、一緒にいきましょ」


 私が見とれて声をだせずにいると、綺麗なお嬢様は水汲みもした事のなさそうな細くてぷにぷにした手で、私の手を握りしめました。


(どうしよう……私の手、ガサガサだ)


「いいこと? こういうのは堂々と入っていけば、なんという事もないものよ」


『ミア』と名乗ったそのお嬢様は、宝石のような目で私を何度も見てくるので、なんだかドキドキが止まりません。


 あまりに恥ずかしくなって腰袋に入っている『おはぎ様』をギュッと握りしめたら、

「グエッ…」と一鳴きして勇気づけてくれました。


 私、ミアちゃんと仲良くなれるよう、がんばります!

毎週、月・水・金の週3回17時30分投稿。

次回は6月12日(金曜)です。


お読みいただき、ありがとうございます。

気に入って頂けましたら評価★★★★★ブクマをお願いいたします。ランキングと作者のモチベーションが上昇いたします。

引き続き、『武器物語』をよろしくお願いいたします。

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おはぎに容赦ない握力がかかる! 果たしてそれは責め苦か、それともご褒美なのかーーー
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