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作戦会議

「えー!見て!加賀魅先輩と朱天君がミスターコン出るんだって!」


「うっそまじ!?」


ミスターコンのチラシを見ながら女子たちがはしゃいでいる。

学校一のイケメンと人気者の対決は大いに校内を盛り上げていた。


「お前どっち入れる?」


「いや鬼丸っしょ!あいつめっちゃ良い奴だもん。」


女子人気は加賀魅先輩、男子の人気は朱天君といったところか。

この学校は6割が女子、その全ての票をさらえれば勝ちが決まるが……


「私断然朱天先輩派!ワイルドで良くない!?」


「しかも超性格いいもんねー」


女子の中でも評価は別れている。

朱天君だって目を引く容姿だし、好感度も高い。


「以前お世話になったから」と票を渡す女子もいることだろう。

私と遥Pで、なんとしても加賀魅先輩を勝たせねばなるまい。


……


放課後、私と遥は加賀魅先輩の家に訪れる。

彼は一人暮らしをしているようで、意外にも部屋は綺麗……というより、極端に物がない。


かと思えばソファ付近に大きなぬいぐるみが置かれていたりと、先輩の寂しがり具合が顕著に出ていた。


ベリーのような香りのする居間にて、加賀魅先輩は「お茶どうぞ」とローテーブルに紅茶をいれてくれる。


(……!おいしい!)


「へへ、いいでしょー。俺昔カフェでバイトしててさ、紅茶もコーヒーも淹れるの得意なんだ!」


私の笑顔を見て加賀魅先輩が自信ありげに言う。


(また意外な特技ね。確かに先輩ってカフェが似合うけど。)


「その特技いいね!めっちゃ女子受けすると思う!」


遥は言いながらノートに何か書いている。


「何そのノート?」


尋ねると、遥はシールやカラーペンでデコられたノートを見せてきた。


「加賀魅先輩のプロデュースノート!鬼丸に勝つための必勝法をノートにまとめてみた。」


「流石遥P!今の作戦はどんな感じ?」


私の質問に対し遥はノートを開きながら

「やっぱり加賀魅先輩が鬼丸に勝つには、女子ウケを狙うのがいいと思う!天然は一旦封印して、無口な美形として売り出すのがいいかなって!」

とプレゼンする。


確かにそれならば女子にはウケそうだ。

親しみやすい陽キャが朱天君なら、孤高な高嶺の花が加賀魅先輩と言った感じか。


「でもさー、ミスターコンって営業したりするじゃん?校門前でチラシ配ったりしてたよね、例年……無口だと鬼丸の人あたりの良さに負けちゃいそうだけど。」


加賀魅先輩が言うと、遥はノートの別ページを開き

「いいとこに目をつけたね!確かに鬼丸に1度関わると女子の票を持ってかれかねない。そこで加賀魅先輩に『完璧王子様対応』を仕込もうと思う!」

と言い放った。


「カンペキ……オージサマ?」


加賀魅先輩は呟きながら首を傾げる。


「遠くから見ると無口な高嶺の花が、近付いたらアイドルばりのスマイルを向けてくれたら最強でしょ?元々先輩はできない方じゃないと思うんだよね、男にはよく甘えてるし。」


「そうなの?」


「うん、鬼丸に宿題教えてって頼んだり、同級生にお菓子をねだったり。」


遥が淡々と生態を解説すると、加賀魅先輩は「あー、よくやるやつだ。」と笑う。


(同性相手だとそういう感じなんだ……)


「先輩の本来の人懐っこさを女子にも発揮できたら強いよね。」


しかし、加賀魅先輩には能力の都合などもある。

そう簡単に女子への恐怖は克服できそうにないが……


「でも俺、女子に距離近くしたりしたら、魅了が……」


「そこで!桃ちゃんの出番なわけ。」


「私……?」


遥はスマートフォンを取り出し、私に画面を見せてくる。


「退魔師は強力な使い魔を使役した場合、反逆を起こされないように『制御札』を何個も用意することがあるらしい。加賀魅先輩が付けてる指輪みたいなやつね。」


遥のスマートフォンの画面には、制御札の解説が書いてあった。


(また……魔者に退魔師の豆知識を教えられた……)


「加賀魅先輩の魔力を制御できれば、女子が魅了で惚れることは阻止できる!普通にかっこよくて惚れちゃうのに関しては止められないけど。」


「なるほど……狂うほど惚れられる心配がないなら、俺も安心できるかも。」


加賀魅先輩が言いながら期待の眼差しで私を見やる。

魔道具の作成に関しては、そこまで不得意ではない。

過去に玉こんにゃくを焼いた時みたいな声が出る黒い色鉛筆の作成に成功したほどだ。


「任せて!なんとかしてみる。」


「後は、相手を桃ちゃんだと思ってこういうセリフを言ったり〜……」


遥は言いながら加賀魅先輩の隣に座り、ノートを見せる。

すると加賀魅先輩が頬を染めながら「や、やだ遥……!こんなこと夫婦でも言わないよ。」と呟く。


「ちょっと遥、何言わせようとしてる?」


「え!?いやそんな変なことは……『会えて嬉しいよ』とか、その程度だけど……」


(めちゃくちゃ普通のファンサワードじゃない。こんなんで照れてどうするのよ!)


「先輩、そのくらい全然普通ですよ!ほら、私で練習してください!」


言うと、先輩は真っ赤な顔のまま

「あ……会えて……嬉しいよ。」と口にする。


その照れている様子が逆に刺さってしまい、私は不覚にも魔力を吸われてしまった。


「はっ……!や、やばい!私ったら……!」


「雑魚の桃ちゃんには余裕で効いてるから、完璧にこなせなくてもある程度需要はありそうだね。これなら鬼丸に勝てるかも!」


遥がそう言った瞬間、彼のスマートフォンが鳴る。


「あれ……イベント実行委員の先輩からメールだ。」


そして、内容を確認して目を見開く。


「どうしたの?何かあった?」


「茨木浩平が……ミスターコンにエントリーしたって。」


遥のその言葉に、私と加賀魅先輩は驚きの声を漏らした。

活動報告にて挿絵リクエスト(私が描いても良いもの)を募集しています。

良ければご参加お願いいたします。

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/2832088/blogkey/3649471/

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