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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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96/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 96

翌日は、風邪を引いた…


 昨夜、長い間、湯船に浸かっていたからだ…


 我ながら、バカというか…


 長い間、湯船に浸かって、アレコレ、考え過ぎた(苦笑)…


 そして、これも、元を辿れば、あの米倉正造のせい…


 あの男のせいだ…


 私は、思った…


 あの正造のせいだ…


 私は、考えた…


 鼻水は、出ないが、少々、頭が痛い…


 頭痛がする(涙)…


 しかしながら、会社を休むわけには、いかない…


 まだ、今の会社に入って、一か月足らず…


 この段階で、休むのは、マズい…


 私のやる気が疑われる…


 これが、22歳の大学を卒業したばかりの新入社員なら、いいが、すでに、私は、33歳…


 決して、若くは、ない(苦笑)…


 会社では、中堅社員…


 その中堅社員の私が、風邪ぐらいで、休んでは、他のものに、示しがつかない…


 私より、若い社員たちに示しがつかない…


 なにより、私は、中途入社…


 だから、余計に、マズい…


 それゆえ、老体?に鞭打って、会社にやって来たとまでは、言わないが、だいぶ、無理をして、会社に出社した…


そして、会社に出社すると、所長の前沢が、休みであることが、わかった…


「…えーっ、前沢さん、お休みなんですか?…」


私は、前沢の休みを教えてくれた同僚に言った…


「…そう…」


その同僚の女性社員が、短く、答える…


次いで、つい、私の隣の席の船見さんを、見た…


いや、


船見さんは、まだ、いない…


まだ、出社してなかった…


それゆえ、ひょっとして、不倫が、バレだ?


と、思った…


船見さんと、前沢さんの不倫が、バレたのかと、思った…


が、


すぐに、その考えを撤回した…


たかだか、不倫ごときで、会社を休むだろうか?


と、考えを変えた…


以前、勤めていた会社=金崎実業でも、不倫は、何度も見たことがある…


いや、


聞いたことがある(笑)…


金崎実業の営業所も、今の会社、M商会と、同じく、駅前の雑居ビルに間借りしていて、従業員は、二十名から三十名前後…


二十名から、三十名前後と言ったのは、私が、金崎実業に十年以上、いたから…


大学を卒業して、新卒で、入社…


それ以来、33歳のつい最近まで、いたからだ…


つまりは、十年超いた…


だから、従業員が、二十名近くのときも、あれば、三十名弱のときもあった…


そして、その中には、若い男女が、それなりにいた…


だから、どうしても、恋愛になる…


他に、男女ともに、異性と知り合う機会がないからだ…


今は、ネットの出会い系のアプリで、出会うことが、多いと言われているが、十年前は、そんなものは、なかった(苦笑)…


それゆえ、結婚相手を探すには、どうしても、身近なところからとなる…


具体的には、会社の同僚、学生時代の友人となる…


あるいは、会社の同僚や、学生時代の友人、知人からの紹介となる…


つまりは、自分の持つ、ネットワーク…


人脈のネットワークから、探すことになる…


私の父も母も、会社で、知り合った…


そして、父や母が、言うには、父や母の勤めていた会社の先輩たちも、皆、会社で、知り合って、結婚したのが、大半だったそうだ…


要するに、出会いの場…


それが、限られてくる…


今は、ネットが、あるから、違うが、昔は、女は、花嫁修業といって、高校や大学を卒業しても、働きに出ずに、家にいるものも、いたそうだ…


しかしながら、それでは、結婚は、できない…


なぜなら、家に引きこもっていては、異性と出会う機会が、なくなる…


それゆえ、たとえ、働かなくても、家に閉じこもっていては、ダメ…


地元の水泳教室でも、テニスサークルでも、なんでもいい…


ひとと接する機会を作る場所に行かなければ、ならない…


水泳教室でも、テニスサークルでも、入会しなければ、ならない…


家に閉じこもっていては、出会いがないからだ…


もっとも、父や母が、若い頃には、少数ながら、見合いという制度が、まだ、会ったそうだ…


父や母の両親の友人や知人たちから、結婚していない男女の縁談を持ち込まれることも、あったそうだ…


しかしながら、それは、少数派…


極めて、少数派に過ぎない…


現実に、見合いの話は、聞いたことがあるが、父や母の周辺の同世代のひとたちの中で、誰一人、見合いで結婚したひとは、いないそうだ…


話が、少々、横に逸れたが、いつものことだ(笑)…


要するに、男女ともに、出会いは、少ない…


父や母が、若い頃に見たテレビのトレンディドラマのように、そこもかしこも、恋が、あるわけじゃない(爆笑)…


それゆえ、結婚相手を見つけるのは、身近なところからとなる…


だから、自分が勤める会社となる(苦笑)…


そして、結婚しても、男女ともに、同じ会社に勤めていれば、別の異性と、男女の関係になるものも、稀にいる(苦笑)…


私は、以前、勤めていた金崎実業で、そんなひとたちを、見たことがある…


もちろん、それは、少数…


ごく少数のひとたちだ…


不倫相手は、同じ会社の同僚だったり、取引先の会社のひとだったりした…


そして、同僚の中でも、不倫に気付いているものも、いれば、気付いていないものも、いた…


それは、ひと、それぞれというか…


ハッキリ言えば、勘が鋭いものは、鋭いし、鈍いものは、鈍い(笑)…


隣の席の同僚が、同じ部署の同僚と、不倫していても、気付くものは、気付くし、気付かないものは、気付かない…


これは、学歴は、関係ない…


学歴=頭の良し悪しは、関係ない…


ハッキリ言えば、勘…


勘が、鋭いか、否かに、過ぎない…


あとは、ネットワークというか…


同僚の誰かが、教えてくれるか、否か…


自分が、気がつかなくても、誰かが、教えてくれれば、気が付く…


当然、それは、ひとによる…


教えてもらえるひとも、いるし、教えてもらえないひとも、いる…


しかし、誰もが、口が軽い人間には、教えない…


口が軽い人間に教えて、あちこちで、しゃべりまくって、本人の耳に入ったりしたら、困るからだ(爆笑)…


だから、口の軽い人間には、教えない…


当たり前のことだ…


私は、前沢が、出社していないことから、そんなことを、考えた…


そして、船見さん…


彼女もまた、姿を見せなかった…


いつまで、待っても、出社して、来なかった…


昨日、私と船見さんは、会って、船見さんが、前沢さんと、不倫している話をした…


やはり、それが、関係あるのだろうか?


気になる…


それゆえ、私は、同僚の女性社員に、


「…今日は、船見さんは、お休みなんですか?…」


と、聞いた…


すると、その女性社員が、


「…たぶん…」


と、曖昧に答えた…


「…たぶんって?…」


私は、言った…


なぜなら、そんな曖昧な言い方は、普通は、しないからだ…


だから、つい、そう言ってしまった…


そして、私の言葉を聞いた、女子社員が、


「…いつものことよ…」


と、笑った…


「…いつものことって?…」


「…彼女って、突然、会社を休むことが、たびたび、あるの…」


「…えっ? たびたび…」


「…それほど、頻繁にあるわけじゃないけれども、ときどき、ある…」


「…」


「…まあ、女だから、生理休暇とか、なんとかにして、所長が、会社に報告して、書類上は、問題ないように、上に報告してあるんだと、思う…高見さんは、まだ、この営業所に、来て、まもないから、知らなかっただろうけれども…」


「…ハイ…知りませんでした…」


「…でも、だったら、船見さんは、どうして? …家を出て、勝手に、会社を休んだのでしょうか?…」


「…それは、私もわからない…って、いうか、そこまでは、知らない…」


「…」


「…でも、たびたび…ホント、たびたび…忘れた頃に、突然、休む…」


「…」


「…案外、男じゃないかな?…」


女性社員が、笑って言う…


「…男ですか?…」


「…船見さん、ぶっちゃけ、顔は、あまり良くないけれども、ナイスバディでしょ? いいカラダしているでしょ?…」


「…それは…」


「…だから、この会社の若い男や、取引先の会社の男からも、人気があるのよ…だから…」


女性社員が、苦笑する…


「…要するに、カラダ目当て…」


「…カラダ目当て?…」


「…男なら、誰でも、船見さんと、寝たいと、思うでしょ?…」


「…」


「…つまり、そういうこと…」


彼女は、笑った…


が、


私は、納得しなかった…


彼女の言葉に納得しなかった…


「…証拠は、あるんですか?…」


つい、言ってしまった…


つい、反論してしまった…


「…証拠?…」


「…そうです…」


「…そんなものは、ないわ…」


あっけらかんと、彼女は、言った…


「…だったら…」


私が、言うと、私の言葉を遮るように、


「…あくまで、噂よ、噂…」


「…噂?…」


「…だって、船見さん、色っぽいでしょ?…」


「…それは…」


「…だから、どうしても、ね…」


彼女が、意味深に笑った…


「…この会社で、船見さんとプライベートで、仲良くしているひとは、誰もいないし、だから、余計に、彼女のプライベートは、謎というか…それだからかな…」


「…それだから…」


「…うん、それだから、余計に、そんな噂が、立つ…」


「…」


「…真実は、いつも、一つって、名探偵コナンの決め台詞じゃないけれども、ホントのことは、わからない…ただの噂…でも、信ぴょう性は高いでしょ…」


彼女が、笑って言う…


「…高見さんには、失礼だけれども、高見さんのように、美人でも、小柄な女より、船見さんのように、あまり顔が良くなくても、背が高くて、スタイルのよい、ナイスバディの女の方が、男ウケするから…」


彼女が、言う…


そして、そう言われると、こちらも、言葉が出なかった…


たしかに、その通り…


その通りだからだ…


だから、ぐうの音も、出なかった…


私は、彼女とのやりとりが終わって、黙って、船見さんの席を見た…


船見さんのいない、彼女の席を見た…


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