恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 95
そして、そんなバカなことを、考えながら、お風呂に入った…
私は、自分で言うのも、なんだが、キレイ好き…
会社から、家に帰ると、真っ先にお風呂に入るのが、習慣なのは、汗をかいたカラダで、家の中にいるのが、嫌だからだ…
もっとも、それは、夕方に家に帰るから…
さすがに、例えば、休みの日に、どこかに、出かけて、家に帰って来たのが、午後一時なら、お風呂には、入らない…
しかし、さすがに、キレイ好きと言っても、子供の頃とは、違う…
子供の頃は、今とは、比較にならないほどのキレイ好きだった…
病的なまでの、キレイ好きとまでは、言わないが、今とは、比較にならなかった…
これもまた、さっき言った、時間の流れと、同じ…
5歳の子供の一日が、50歳の大人の、十日に匹敵するのと、同じだ…
なにが、同じかと言えば、いい加減になる…
なあなあになると、いうことだ…
あるいは、そこまで、夢中になれないとでも、言えば、いいのか?
六十代の父が、若い頃に夢中になったアイドルの姿を、今は、ユーチューブで、見られるから、見るが、十代の頃とは、比較にならないほど、夢中になれないと、以前、言った…
当時の歌番組に出た映像や、コンサートの映像を若い頃には、夢中になって見たが、それが、今は、以前ほど、夢中になれない…
父は、六十代だが、五十代でも、四十代でも、同じだと、言っていた…
若い頃ほど、夢中になれない…
それは、一言で言えば、執着心…
それが、希薄になるからだ…
それと、キレイ好きも、いっしょだ…
若い頃には、今で言えば、病的なほど、キレイ好きだったのが、それほどでは、なくなる…
なあなあになる…
そういうことだ…
私は、お風呂に入り、これまでのことを、考えた…
ゆったりと、湯船に浸かり、考えた…
水野良平が、私に復讐する…
いや、
復讐ではないが、私になにか、するかも、しれない…
さっき、正造は、私に、そう告げた…
が、
それは、真実だろうか?
いや、
真実ではなくても、正造の思い過ごしというか…
考え過ぎなのでは?
私は、思った…
私は、考えた…
私は、自分で言うのも、なんだが、水野良平に気に入られている…
その証拠に、今の会社を、良平に紹介してもらった…
今の会社=M商会を紹介してもらった…
前の会社にいられなくなったからだ…
前の会社=金崎実業にいられなくなったからだ…
もっとも、前の会社にいられなくなった理由は、良平の妻、春子のせい…
それゆえ、夫の良平が、私に詫びる意味で、今の会社を紹介してくれた…
が、
本音は、そんなことより、結婚相手を紹介してもらいたかった(苦笑)…
そもそも、33歳で、転職なんて、したくなかった…
私は、キャリア志向でも、なんでもない…
ただの普通の女…
普通に働き、普通に結婚して、子供を産み、育てる…
それが、理想だ…
正直、私が、キャリア志向でも、なんでもないのは、私が平凡だから…
平凡な大学しか、出ていないのが、大きい…
平凡な大学=頭の中身が、平凡だからだ…
取り立てて、世間で、評価の高い大学でも、なんでもない…
頭もよくも、悪くもない…
そんな私が、キャリア志向のはずがない(苦笑)…
キャリア志向なら、もっといい大学を出ているはずだ…
もっと、頭がいいはずだ…
残念ながら、私に、そんな頭はない…
大学は、平凡…
学歴も平凡…
家も平凡…
だから、キャリア志向でも、なんでもない…
しかし、なぜか、キャリア志向でも、なんでもないと言いながら、この歳まで、独身…
いまだ、結婚のけの字もない(涙)…
これは、一体、どういうことだ?
自分自身に突っ込みたくなる…
自分自身に、猛烈に突っ込みたくなる(爆笑)…
よく、世間では、美人の女なら、
「…相手を、選び過ぎているからだよ…」
と、言われるが、相手を選ぶもなにも、その相手が、身近にいない…
ピンとくる相手がいない…
これが、現実だ…
率直に言って、男なら、誰でも、いいわけではない(苦笑)…
私にも、選ぶ権利があるからだ…
自分で言うのも、なんだが、若い頃は、男の子にチヤホヤされた…
とりわけ、学生時代は、チヤホヤされた…
私が、女優の常盤貴子さんを、小柄にしたタイプの美人だったからだ…
だから、チヤホヤされた…
が、
しかしながら、誰とも、交際しなかった…
好きになる男が、いなかったからだ…
だが、告白された人数は、多い…
その中から、選ばなかったのだから、我がままだと、友人たちから、言われた…
だが、今、振り返ってみると、告白してきた男たちも、真剣でなかったというか…
一途さを感じなかった…
それを、以前、もう少し歳をとってから、気の置ける男の友人に話すと、
「…それって、高見が、美人だからだよ…」
と、あっさり、言われた…
「…美人だから、とりあえず、告白して、付き合えれば、男は、ラッキーだと、思う…ぶっちゃけ、宝くじに当たる感覚…」
「…宝くじ?…」
「…宝くじは、買わなきゃ、当たらないだろ? それと、同じ…高見に付き合って下さいと言わなきゃ、付き合えない…だから、告白する…別に、高見と、本気で、付き合えると、大抵の男は、思っていないんじゃないか?…」
と、あっさり、言われた…
あっさりと、笑いながら、言われた…
これには、唖然とした…
唖然として、言葉も出なかった…
が、
その通りだと、思った…
時間が経った、今から思えば、余計にその通りだと、思った…
つまりは、本気でない…
遊び感覚とまでは、言わないが、そこまで、私に夢中になれないのだろう…
これは、私にしても、同じ…
同じだ…
目の前に、物凄いイケメンが現れたら、とりあえず、告白して、付き合いたいと思う…
だが、ダメだと、相手に言われれば、あっさり、引く…
相手には、悪いが、そこまで、そのイケメンを好きではないからだ…
だから、断れれば、簡単に引く…
そういうことだ…
そして、それを、私に当てはめれば、私も同じ…
自分で言うのも、なんだが、美人だから、私に告白する…
しかし、断れれば、あっさり、引き下がる…
ハッキリ言えば、そこまで、私を好きではないからだ…
だから、簡単に引く…
そして、私に言わせれば、私もそれが、わかっていた…
私をそれほど、好きではないことが、わかっていた…
だから、簡単に断れる…
本当に、私を好きなら、簡単には、断れないからだ…
が、真逆に言えば、皆、私に告白してきた人間が、告白のレベルが、軽いのは、私に顔以外取り柄がないのが、理由かも、しれない…
後で、気付いた…
だから、付き合っても、面白くもなんともない…
それが、理由かも、しれない…
たしかに、そう考えれば、納得がいく…
自分自身、納得する…
この世の中には、いつも、いっしょにいたい、人間が、稀にいる…
それは、顔がいいからでも、なんでもなく、その人といっしょにいると、楽しいから…
おそらく、さっき、米倉正造が言った、クールの社長夫人という女性も、そういうタイプの女性かも、しれない…
私は、思った…
いっしょにいて、楽しいひとほど、得難い人物はいない…
なにしろ、人生が豊かになる…
人生が、楽しくなる…
そういうひとと、人生を過ごしたい…
いっしょにいれば、少しでも、自分の人生が、楽しくなるからだ…
だが、残念ながら、私の人生で、そんなタイプの人間と、これまで、会ったことはない…
おそらく、今後もないだろう…
私は、思った…
私は、考えた…
ただ、気になる人物は、いる…
気になる男は、いる…
それは、あの米倉正造…
あの正造だ…
さっき、私との電話を、私が、話している最中に、電話を切った、あの正造だ…
あの正造のことを、考えると、なぜか、無性に腹が立つ…
腹が立って、仕方がなくなる…
なぜだかは、わからない…
たぶん、正造が、私の思い通りにならないから…
それが、理由かも、しれない…
以前は、私は、正造に、恋をしたと、思った…
生まれて初めて、好きになった男だと思った…
が、
今は、それ以上に、むかつく…
なぜだかは、わからない…
やはり、正造が、ことごとく、私に逆らうからかも、しれない…
私の邪魔をするからかも、しれない…
いや、
邪魔というか…
なぜか、私の行く末を決める神様というか…
今、私が、M商会に勤務したのも、元はと、言えば、正造が原因だ…
前の会社=金崎実業に勤めていたときに、ひとを介して、正造を紹介された…
すべては、それが始まり…
米倉と水野と知り合った始まりだった…
お金持ちと、知り合った始まりだった…
が、
かといって、私が、お金持ちと、結婚できるわけでもなんでもない…
ただ、お金持ちと知り合っただけ…
それだけだ…
それ以上でも、それ以下でも、なんでもない…
それだけだ…
私が、将来、お金持ちと結婚するわけでも、なんでもない…
私とは、縁もゆかりもないひとたち…
ただ、今、偶然、知り合い、付き合っているだけ…
後、数年…
2、3年もすれば、付き合うこともないだろう…
変な話、これは、学校でも、会社でも、同じ…
同じだ…
学校でも、会社でも、仲の良いひとたちと、いっしょにいるときは、仲が良いが、学校を卒業したり、会社を辞めたりすれば、会うのは、最初だけ…
後は、何度か会って、そのうちに会わなくなる…
別にケンカをしたわけでも、なんでもなく、会わなくなる…
自然消滅する…
大抵が、そんなものだ…
私が、今、米倉や、水野のひとたちと、付き合いがあるのも、それと同じ…
数年後には、会わなくなるに、決まっている…
それよりも、結婚…
誰か、いいひとが、私の前に現れないだろうか?
さすがに、この歳で、白馬の王子が目の前に現れるのを、期待しているわけではないが、それでも、誰か、私の前に現れないだろうか?
期待してしまう(笑)…
そして、そんなことを、考えながら、湯船に浸かっていた…
延々と、浸かっていた…




