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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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93/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 93

私は、驚いた…


 まさに、驚いた…


 まさか、このタイミングで、あの米倉正造から、電話があるとは、思わなかった…


 まさに、まさか、だ…


 しかし、一体、なんの用事だろうか?


 私は、迷いもせずに、電話に出た…


 「…もしもし、高見です…」


 と、言って、電話に出た…


 すると、すぐに、


 「…お久しぶりです…高見さん…米倉…米倉正造です…」


 と、いう声が、返ってきた…


 「…お久しぶりです…」


 と、私が返すと、正造も、電話の向こう側から、


 「…ご無沙汰しています…」


 と、返してきた…


 しかし、いつもながらというか…


 私が、なにか、悩みごとをしているときに、この米倉正造から、電話がある…


 これは、タイミング?…


 まさか、わざとじゃあるまい…


 いや、そもそも、私が、今、なにをしているか、あの米倉正造にわかるわけがない…


 そう、考えた…


 が、


 しかし、一体、なんの用事だ?


 私は、思った…


 が、


 さすがに、


 「…一体、なんのご用事ですか?…」


 と、聞くのは、大人げない…


 それは、まともな、大人のすることではない(苦笑)…


 それでは、まるで、電話をかけてきた相手にケンカを売っているようなものだからだ…


 だから、私は、米倉正造に、なんと、言おうか、考えた…


 文字通り、悩んだ…


 そして、どう言おうか、悩んでいると、正造の方から、


 「…高見さん、ボクから、電話があって、驚いているみたいですね…」


 と、聞いてきた…


 そして、それを、聞いた、私は、これ幸いと、


 「…ええ、その通りです…」


 と、返答した…


 おかげで、こちらから、先に米倉正造に声をかけなくて、すんだ…


 どう声を、かけていいか、わからなかったから、なおさらだった…


 そして、私が、そんなことを、考えていると、


 「…今日は、高見さんに、お詫びのために、電話をしました…」


 と、電話の向こう側から、正造が、言った…


 「…お詫び…」


 私は、思わず、返した…


 「…米倉と、水野の争いに巻き込んでしまったお詫びです…」


 と、正造が、思いがけないことを、言った…


 まさに、寝耳に水のことを、言った…


 「…米倉と、水野の争いって?…」


 私は、言った…


 戸惑いながら、言った…


 「…一体、それは、どういう…」


 「…米倉平造と水野良平は、財界の盟友として、知られていました…つまり、公の席では、いつも、ニコニコと互いの手を握って、仲が良いことを、アピールしていて、それも、ウソではないのですが、水面下では、互いに、猛烈なライバル心があった…」


 「…ライバル心?…」


 「…言葉は悪いですが、記者会見で、実に、ニコニコと、笑っていても、机の下では、互いに、相手の足を蹴り合っている…ちょうど、そんな感じです…」


 「…ウソ?…」


 「…ウソじゃ、ありませんよ…」


 「…」


 「…透(とおる)のことだって、父が絡んでます…」


 「…エッ?…」


 「…透(とおる)が、サウジアラビア政府と組んで、なにやら、大きなプロジェクトをしたい…それを、橋渡ししたのも、父です…」


 「…ウソ?…」


 「…ウソじゃ、ありません…」


 「…でも、一体、どうして?…」


 「…原因は、透(とおる)ですよ…」


 「…透(とおる)さん?…」


 「…父は、透(とおる)が、好子と別れたことが、気に入らないんです…」


 「…エッ?…」


 「…米倉が、水野といっしょになる…それで、米倉は、将来も安泰だと、思っていた…水野は、米倉より、3倍は、大きい…いかに、米倉が借金まみれでも、十分、米倉を支える体力があると、考えた…だから、強引に、米倉と水野の合併を画策した…」


 「…」


 「…そして、その合併の象徴が、好子と、透(とおる)の結婚です…米倉も、水野も共に、オーナー企業…その両家の後継者である、好子と透(とおる)が、結婚する…それが、二つの企業が、合併する象徴となった…好子は、米倉本家の血を引く、ただ一人の、米倉の正統後継者です…」


 「…正統後継者…」


 「…父の夢は、正統後継者である、好子に、米倉を、大日グループを渡すこと…それが、米倉の分家出身である、父が、本家の正統後継者である、好子の母親と、結婚して、その母と約束したことだからです…」


 「…約束…」


 「…それゆえ、父は、好子を目の中に入れても、痛くないほど、可愛がった…それを、透(とおる)は、好子と結婚して、離婚した…いわば、好子にキズをつけたわけです…それが、父は許せなかった…」


 「…」


 「…だから、父は、大日産業が、取引をしている、台湾の大財閥、台北筆頭の葉敬会長に頼んで、サウジアラビア政府のお偉いさんを、透(とおる)に、紹介したんです…」


 「…透(とおる)さんに、紹介…」


 「…要するに、透(とおる)に、罠を仕掛けたということです…」


 「…罠を仕掛けた? …どういうことですか?…」


 「…透(とおる)にサウジアラビア政府のお偉いさんを、紹介する…ちょうど、その時期には、好子が、五井の御曹司と密会していた、スキャンダルが、発覚したときだった…父は、透(とおる)の性格を知っています…いつも、ヘラヘラと愛想良いフリをしていますが、内面は、違うことを、知っています…だから、それを、利用した…」


 「…利用した? どう、利用したんですか?…」


 「…今も言ったように、透(とおる)に、サウジアラビア政府のお偉いさんを、紹介すること…紹介して、水野グループが、サウジアラビア政府と、組んで、なにか、始めないかと、画策したんです…」


 「…それは、お父様が、画策したって…水野とサウジアラビア政府のお偉いさんに、根回しをしたんですか?…」


 「…さすがに、そこまでは、できません…でも、好子が、五井の当主である、諏訪野氏と、密会が、あった後に、紹介することで、透(とおる)が、五井に負けじと、なにか、派手なことを、やり出すのではと、思ったのでしょう…いわば、透(とおる)の功名心を逆手に取ったんです…」


 「…」


 「…そして、その通りになった…透(とおる)は、父の画策した罠にハマった…」


 「…」


 「…慌てたのが、透(とおる)の父親の良平氏です…なぜ、こんなことになったのか、わけがわからなかった…それで、四方八方に手を尽くして、お鉢が、ボクにも、回って来た…」


 「…正造さんにも…」


 「…それで、ボクは、ボクなりに、いろんなところで、情報を探って、今度のことが、わかった…」


 たしかに、今の正造の話を聞いて、思い出した…


 そう言えば、以前、透(とおる)の父の良平と、一度会って、透(とおる)のことを、聞かれた…


 どうして、透(とおる)が、いきなり、サウジアラビア政府と水野が組んで、なにやら、大きなプロジェクトをすると、立ち上げたのか、意味がわからないと、ぼやいていた…


 それゆえ、なにか、わかったら、教えて欲しいと、頼まれた…


 それを、思い出した…


 しかし、きっかけは、平造だとは、思わなかった…


 まさか、あの透(とおる)が、サウジアラビア政府と共同で、なにやら、プロジェクトを立ち上げると大風呂敷を広げたきっかけが、平造だとは、思わなかった…


 たしかに、なにか、直接したわけでもないが、透(とおる)にサウジアラビア政府のお偉いさんを、紹介すれば、なにか、やりたがるだろうという透(とおる)の性格を見抜いていたのだろう…


 いわば、お膳立てをすれば、なにか、やりだすと、考えたのだろう…


 火のないところに、煙は立たず…


 後は火をつけて、燃やすだけに、すれば、そこにいたものは、誰もが、火をつける…


 平造は、そんな状況にしたわけだ…


 ある意味、卑怯というか…


 直接、手は出さすとも、罠を仕掛けたということだ…


 その罠にハマるか、どうかは、透(とおる)次第…


 そして、透(とおる)は、見事なまで、その罠にハマったということだ…


 しかし、


 しかし、だ…


 平造が、台湾の台北筆頭とかいうところの企業と取引があったのは、わかる…


 しかし、その企業のトップが、サウジアラビア政府のお偉いさんと、知り合いだったのだろうか?


 率直にいって、台湾を下に見るわけではないが、台湾企業のトップが、サウジアラビア政府のお偉いと知り合いなら、日本の企業のトップの方が知り合いだと、考える方が、自然だ…


 私は、思った…


 私は、考えた…


 それゆえ、


 「…平造さんは…お父様は、その台湾の大企業のトップの方が、サウジアラビア政府のお偉いと知り合いだと、知っていて…」


 と、聞いた…


 聞かざるを得なかった…


 「…いや、それは、違う…」


 正造は、すぐに返した…


 「…違う? では、誰が?…」


 「…台北筆頭は、日本の総合電機メーカー、クールの親会社…そのクールは、今は、台北筆頭の会長の一人息子の葉尊氏が、社長をしている…その奥様です…」


 「…奥様?…」


 「…ほら、以前、世間で、話題になったでしょ?…」


 「…話題になった?…」


 「…35歳のシンデレラと言って、話題になった…」


 その言葉で、思い出した…


 たしか、35歳で、クールの社長夫人になったと、言って、世間で、大騒ぎした…


 その女性が、こういってはなんだが、とりたてて、平凡なルックスだったから、余計に話題になった(笑)…


 その女性が、女優の佐々木希さんのような長身の美人なら、いい…

 

 しかしながら、その女性は、平凡…


 誰が、見ても、平凡なルックスの持ち主だった…


 だから、余計に話題になった…


 私は、今、それを、思い出した…


 そして、それを、思い出したときに、


 「…噂では、彼女の人脈らしい…」


 と、正造が、言った…


 「…彼女の人脈って? たしか、あのとき、テレビやネットでは、日本の平凡な家庭の女性が、クールの社長と、結婚したから、話題になったと、言っていたけれども…」


 「…ボクも、あのときは、そう聞いた…」


 「…だったら、どうして、そんな人脈が…」


 「…それは、ボクにも、わからない…ただ…」


 「…ただ、なに?…」


 「…なにか、非常に、魅力のあるひとらしい…」


 「…魅力のあるひと?…」


 「…なんというか、一度会えば、誰でも、好きになる…そんな魅力のある人物だと、聞いた…」


 「…」


 「…高見さんも、ボクも、こう言っては、なんだが、若くは、ない…たしかに、男も女もルックスがいいのが、一番の武器だが、それだけでは、ダメだ…」


 「…ダメ?…」


 「…そうです…男も女もルックスが、良ければ、付き合う異性は、最初は嬉しいが、ルックスだけでは、すぐに、飽きる…ほら、世間で言うでしょ? 美人は、三日で飽きると…」


 「…」


 「…ルックスが、いいのは、アドバンテージにしか、過ぎない…百メートル走でも、なんでも、最初に、先頭に走らせて、もらえだけ…中身がないと、誰もが、飽きる…」


 「…中身?…」


 「…要するに、魅力です…男も女も、こんなひとと、いっしょにいたいと、思う人間は、皆、同じです…いくら、美人やイケメンでも、会えば、いつも、自分の自慢だとか、ひとの悪口ばかり言っていては、誰もが、げんなりでしょ?…」


 「…それは…」


 「…それとは、真逆に、いっしょにいて、楽しいと、思う人間は、誰もが、いっしょです…どうやら、クールの社長夫人は、そういうタイプの女性らしいです…」


 「…そういうタイプの女性って…」


 言いながら、その女性のルックスを考えた…


 必死になって、考えた…


 が、


 詳細は、思いださなかった…


 たしか、見るからに、ひとが、良さそうな女性だったと、思う…


 それだけは、覚えている…


 が、


 他は、なにも、覚えていない…


 覚えていないということは、印象が、薄いということ…


 イケメンや美人に関わらず、印象が、強い人間なら、覚えているからだ…


 そして、世の中には、イケメンや美人に関わらず、印象が強い人間というものは、案外いるものだ…


 言葉を変えれば、存在感があるというのか?


 とにかく、一度会っただけで、忘れることのできない強烈な印象を与える人間も、稀にいるものだ…


 私は、思った…


 私は、考えた…


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