恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 89
まもなく、カフェオレとコーヒーが、運ばれてきた…
テーブルに運ばれてきた、カフェオレとコーヒーを見て、
「…頂きましょう…」
と、私が、言い、先に口につけた…
彼女も、私を見て、私に倣って、カップに口をつける…
私は、それを、見て、なんだか、いつのまにか、私が、イニシアチブを取っていると、思った…
知らぬ間に、イニシアチブを取っている…
それは、彼女が、おとなしいからだろう…
だから、無意識に、私がイニシアチブを取れる…
イニシアチブ=主導権を取れる…
世の中には、彼女とは、真逆に、どんなときでも、自分が、イニシアチブを取らなければ、気のすまない人間がいる…
イニシアチブという言葉でなければ、前に出るというか…
ぶっちゃけ、どんなときも、自分が、一番でなければ、気のすまない人間が、いる(笑)…
そして、そういう人間ほど、本来、一番になれない人間が、多い(苦笑)…
勉強でも、ルックスでも、人間性でも、なんでも、一番になれない…
集団の中で、一番になれない人間が、多い…
本人も、それが、わかっているのか、それが、わかっていないのか、わからないが、とにかく、一番になりたい…
ぶっちゃけ、集団の中で、自分が、先頭に立って、なにかをやりたい…
しかしながら、大抵は、そのメッキは、すぐに剥がれる…
若いときは、わからなくても、中身が、ないことが、少し歳を取れば、誰にでも、わかってくるからだ…
だから、若ければ、その人間は、大抵、会社で、あれば、自分から、去る…
あるいは、数年して、昇進できないのが、わかると、辞めて、行く人間が、多い…
要するに、自分の評価が、とんでもなく高い…
仕事は、普通でも、自分の中では、抜群にできる…
いい高校や、いい大学を出ていなくても、仕事は、別と考える…
つまりは、何事も、自分に都合よく解釈する(笑)…
それゆえ、周囲の人間からの評価は、低くても、自分の中で、評価は高い…
とんでもなく高い(笑)…
結果、周囲の評価と、自分の評価が、あまりにも、かけ離れているので、落胆して、辞めることになる…
誰も、オレ(アタシ)を、正当に評価してくれないと、なる…
そういうことだ…
そして、それを、考えたとき、この目の前の彼女は、どうだろうか?
と、考えた…
彼女には、悪いが、彼女は、男好きするタイプ…
決して顔は、良くないが、スタイルが良く、色っぽい…
それを、彼女自身が、どう、思っているか、わからない…
今も言ったように、世の中には、自分の実力をとんでもなく、高く評価する人間が、稀にいるからだ…
そして、それは、学力や仕事のみならず、生活全般…
男や、女で、普通のルックスを持っていても、自分は、異性にとんでもなく、モテると、考える…
まあ、女の場合が、ぶっちゃけ、やらせてくれると、いうのがある(苦笑)…
当人は、知らないが、あの女は、頼めば、簡単にやらせてくれるよと、男の間で噂になり、それを、知った、あちこちの男から、声がかかる…
しかしながら、当人は、自分は、男にモテると、勘違いする…
顔もカラダも、普通だし、学歴も、平凡…
だから、普通に考えて、そんなことは、ありえないのに、男にモテると誤解する…
それより、なにより、学生時代にモテなかったのに、社会人になれば、急に、モテ出すわけはない…
それが、普通に考えれば、誰にでも、わかるものが、それが、わからない…
しかし、まあ、そんなものかも、しれない…
誰もが、自分のことは、わからない…
この私も例外ではない…
この高見ちづるも、例外ではない…
が、
それでは、今、目の前にいる、彼女は、どうだろうか?
この色っぽい、大柄な女性は、どうだろうか?
自分のことを、どう、思っているのだろうか?
自分は、男にモテモテだと、思っているのだろうか?
それは、わからない…
私の評価と、彼女が、自分自身にする評価とは、別だからだ…
だから、わからない…
しかし、それを、聞かなければ、ならない…
相談事だから、聞かなければ、ならない…
なにより、内容が不倫だ…
どうしても、話が、その方向になるのは、わかっている…
まさか、
「…船見さん、いいカラダをしているから、男にモテモテなのよ…」
とは、口が裂けても、言えないが、その通りに違いない(苦笑)…
私が、女目線で、見ても、彼女は、いいカラダをしている…
まして、男目線ならば、あえて、言う必要はないだろう…
彼女のように、大柄で、いわゆる、同性の女でも、憧れる、ナイスバディをした女は、世の中に、ごまんといる…
これは、私が、美人と呼ばれるのと、同じ…
同じだ…
なにが、同じかと、言えば、この世の中には、案外、美人が、多いものだ…
それが、よくわかるのは、自分の住む、近所のスーパーや、コンビニなど、いわゆる、接客業について、働けば、わかる…
女の私から、見ても、
「…キレイ…」
とか、
「…カワイイ…」
と、感じる女が、稀にいる…
が、
普通に働いていれば、それは、ない…
普通に、学校に行っていれば、それは、ない…
会社や、学校が、大きくても、同じメンバーだからだ…
どんなに、会社や学校が、大きくても、自分の周囲にいる人間は、千人程度だろう…
自分が、見知っている人間は、せいぜい千人程度だろう…
だから、美人が、少ない…
それが、近所のスーパー等に、行けば、出会う人数が、広がる…
何万という男女に会える…
コンビニにしても、同じ…
千人を超える老若男女に会える…
だから、その中に、美人もいる…
要するに、出会う人間が、多いのだから、当たり前のことだ…
普段、自分の周りに、百人しか、いなければ、当然、美人に出会える確率は、低い…
それが、一万人に増えれば、百倍の人間に増えるわけだから、美人に出会える可能性も、高いだろう…
当たり前のことだ…
そして、目の前の彼女も同じ…
同じだ…
この船見さんも、同じだ…
いわゆる、背が高く、スタイルが良く、胸もお尻も、大きい女…
私も、この船見さんと、同じタイプの女性を見たことがある…
それなりに、見たことがある…
まして、この船見さんには、失礼だけれども、同じナイスバディの持ち主で、船見さんより、ルックスのいい女も、何人も、見たことがある…
が、
ただ、一点だけ、彼女たちが、この船見さんに、勝てないことがある…
それは、色っぽさ…
それは、勝てない…
正直、彼女のような色っぽい女性は、見たことが、ない…
そして、それこそが、彼女の強み…
同じようなナイスバディの持ち主の中にあっても、他の女たちに負けない強みだった…
私は。思った…
私は、考えた…
そして、そんなことを、一通り考えてから、
「…不倫の相手というのは、会社のひと?…」
と、私は、聞いた…
ずばり、核心をついた…
私の質問に、目の前の船見さんは、さっきと同じように、首をコクンと、縦に振って、頷いた…
さっきと同じと言ったのは、
「…相談内容というのは、もしかしたら、不倫?…」
と、聞いたときのことだ…
このときも、今と同じように、コクンと首を縦に振って頷いた…
無言で、頷いた…
そして、私は、それが、正解と思った…
「…ハイ…」
と、答えてもいいが、それよりも、無言で、頷く方が、いい…
やはり、他人から、
「…不倫…」
と、指摘されて、
「…ハイ…」
と、答えるのは、勇気がいる…
言葉にするのは、勇気がいるからだ…
が、
問題なのは、それではない…
なぜ、彼女が、私を選んだか?
私を彼女の不倫の相談相手に選んだか?
それが、問題だ…
私は、彼女より、十歳近く年上だが、恋愛関係は、あまり経験がない…
いや、
経験が、ないのでは、ない…
皆無…
まったくない(苦笑)…
33歳にして、今だ、処女だ…
男を知らない…
なぜ、そんな女に不倫の相談を?
疑問だった…
いや、
彼女は、私が、恋愛経験がないことを、知らない…
それゆえ、私に、不倫の相談をしたのだろうか?
私は、自分で、言うのも、なんだが、しっかりしていると、他人からは、見えるらしい(苦笑)…
私自身は、まったく、しっかりしているとは、思えないが、周囲からは、そう見えるらしい…
そして、これは、彼女も同じ…
今、目の前にいる、船見さんも、同じだろう…
彼女を一言で、言えば、
…色っぽい、ナイスバディのお姉さん…
だろうか?
しかしながら、当人は、そんなこと、露ほども思わないに違いない…
評価など、そんなものだ…
自己評価と、他人の評価は、案外、異なるものだ…
しかしながら、それは、さておき、なぜ、彼女が、不倫の相談相手に、私を選んだのか?
わからない…
大いなる謎だ…
だから、それを、聞くことにした…
遅まきながら、聞くことにした…
「…一体、なぜ、不倫の相談を私に?…」
と、聞くことにした…
そして、それを、口にした…
「…なぜ、私に、不倫の相談を?…」
と、口にした…
すると、だ…
目の前の船見さんが、実に、言いにくそうに、
「…実は、私の不倫相手が、高見さんの不倫相手と同じなんです…」
と、言った…




