恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 87
そして、彼女の相談内容…
私は、まだ、なにも、彼女から、聞いていないにも、かかわらず、
「…男関係かも、しれない…」
と、考えた…
いや、
「…男関係に、決まっている!…」
と、決めつけた…
まだ、なにも、聞いていないにも、かかわらず、勝手に決めつけた(爆笑)…
これは、嫉妬?
もしかしたら、これは、嫉妬なんだろうか?
私は、思った…
私は、考えた…
私も、女だから、つい、無意識に、女ならではの評価をしてしまう…
女の目で、女の評価をしてしまう…
そのときに、この手のタイプの女は、苦手…
いや、
苦手ではない、強敵…
この手の女が、私の一番の強敵だからだ…
自分で言うのも、なんだが、小柄で、清潔感のある私から見れば、大柄で、色っぽい、この船見さんのようなタイプは、一番の強敵…
彼女のようなタイプの女を見れば、男が、つい性的に、彼女を見ることが、わかっているからだ…
真逆に、私のようなタイプの女は、極論すれば、見た目…
見た目だけ…
見た目が、キレイだから、いっしょに、歩きたい…
恋人や、夫婦になって、いっしょに、歩いて、
「…あんな美人と、付き合えるなんて、羨ましいな…」
と、周囲の人間に言って、もらいたいタイプ(笑)…
真逆に、彼女のような色っぽいタイプは、ハッキリ言えば、
「…あんな女と、寝てみたい…」
と、いう女だ(爆笑)…
要するに、水着…
水着が、似合う女…
背が高くて、スタイルが良く、胸も、お尻も、大きい…
おまけに、色っぽい…
だから、そうなる…
男の目から、見れば、そう、なるのだ…
私は、思った…
私は、考えた…
そして、そんな女から、相談されたから、当然、相談の内容は、男関係…
男関係に、決まっている…
私は、勝手に、そう、決めつけた…
そして、そんなことを、アレコレ考えながら、
「…私でよければ…」
と、小さな声で、返答した…
まさか、会社に入って、まだ一か月も経たないのに、断わることなど、できない…
いかに年下とはいえ、同じ会社の同僚から、私に相談を持ちかけられて、断ることなど、できなかった…
それゆえ、受けざるを得なかった…
私の返答を聞いて、すぐに、彼女は、
「…ありがとうございます…」
と、小声で、答えた…
そして、私は、むしろ、その相談内容が、気になった…
やはり、男?
男関係だろうか?
気になった…
気になって、仕方がなかった(爆笑)…
だから、
「…会社が、終わったら、どこか、近くの店で、話しましょう…」
と、小さく、言った…
それに、対して、
「…よろしく、お願いします…」
と、彼女が、小さな声で、返事した…
そして、それ以上、話さなかった…
変に、話せば、周囲の人間に聞こえるからだ…
だから、それ以上は、話さなかった…
この営業所は、基本的には、以前、勤めていた金崎実業の営業所と、似ている…
駅前にある、雑居ビルのワンフロアを間借りしている…
ワンフロアを、すべて借り切っている…
それだけの会社…
規模も、知名度も、とても、全国で、知られている会社ではない…
しかし、知名度がまったくないわけではない…
つまりは、知る人ぞ知る会社というか…
同じ業界にいれば、それなりの知名度があるが、一般的な知名度は、ほぼ、ない…
皆無に近い…
無名に近い…
そんな会社だ(苦笑)…
そして、そんな会社が、日本には、案外、多いものだ…
今、いる、M商会などは、正直、名前からして、どこか、うさん臭くて、笑ってしまうようだが、水野系列の会社…
水野のMをとって、M商会と名付けたのだろうが、正直、センスが悪い…
いや、
悪すぎ(爆笑)…
もはや、笑ってしまうほど、センスが悪い…
が、
わかりやすいことは、確か…
それは、評価する…
そして、冷静に考えれば、それで、良いのかも、しれない…
会社の名前は、ブランドの命名ではない…
だから、なにより、わかりやすいのが、一番…
M商会と言う名前で、水野グループといえば、水野のMから、取ったというのは、誰にも、わかるからだ…
そして、なにより、今、いる会社も、前にいた金崎実業と、似たり寄ったり…
さっきも言ったが、駅前の雑居ビルのワンフロアを間借りしている…
業務内容も、似たり寄ったり…
大差はない…
それゆえ、会社が、あまり、変わった気がしないとまでは、言わないが、どこか、既視感がある…
似たようなものだと、感じるからだ…
そして、そこにいる、社員もまた、同じ…
とりたてて、変なひとは、いない…
変なひとというのは、あまり見たことのないひと…
見たことのないひとというのは、ハッキリ言えば、滅茶苦茶、優れているか、劣っているかの、どっちか…
普通は、そんな人間は、あまりいない…
しかしながら、私の母は、そんな人間を数多く見たらしい…
私の母が、会社に就職したのは、バブル時代だったから、それは、わかる(爆笑)…
しかも、母は、大手の電機会社の工場に勤めていた…
だから、ひとも多い…
当時は、バブルで、景気がいいから、採用も、十把ひとからげ…
ぶっちゃけ、
「…えっ? こんなひとを、採用したの?…」
というひとを、男女ともに、大勢見たそうだ(笑)…
景気がいいから、採用レベルが下がる…
そして、その人数が、多いから、余計に、目立つ…
しかも、群れる…
わかりやすい例で言えば、それまで、早稲田、慶応レベルを、多く採用したような会社でも、日大レベルに下がる(苦笑)…
だから、見る人が見れば、一目で、採用レベルが下がったのが、わかるが、それが、わからないものも、多い…
実際、母の周囲にも、わからない人間が、多かったらしい(笑)…
そして、そういう人間ほど、上昇志向が、強かったそうだ…
母も、なぜ、上昇志向が、強いのか、わからなかったと、言っていた…
が、
次期にわかったらしい…
要するに、そういう人間は、自分の能力も、他人の能力も、わからない人間たち…
普通は、多くのひとと接していれば、その人間が、どんな大学や、高校を出ているか、わかるものだ…
学校名を、聞かなくても、わかるものだ…
ハッキリ言えば、早稲田や、慶応を出ている人間と、偏差値40の工業高校を出ている人間を間違えることは、ない…
が、
世の中には、稀にそれが、わからない人間もいる…
堂々として、威厳があったりすれば、あのひとは、将来、偉くなるに違いないと、簡単に考える…
つまりは、相手の中身が、わからない…
中身=能力がわからない人間だ…
母が言うには、そんな人間が、当時は、ごまんといたそうだ…
そして、それが、母の一番の思い出だったそうだ…
ハッキリ言えば、普通はあまり見ないひとたちを、多く見た…
それが、母のバブル時代の思い出だと、言っていた…
翻って、私は、というと、平凡…
極めて、平凡な人生を送っていた…
ハッキリ言えば、平たんな人生…
上りも下がりも、ない人生だ…
人生の起伏がない、人生だ…
母のように、バブル時代を体験したことが、ないから、母が、見たような強烈な人間たちを、見たことがない(笑)
それゆえ、退屈でも、あった…
母が経験したバブル時代のような急速に坂道を駆け上り、また、急速に、坂道を駆け降りる…
そんな人生とは、真逆だった…
母が、当時を振り返って、いみじくも、言った…
…大変だったけれども、面白かったと…
「…なぜ、面白かったの?…」
と、私が聞くと、
普通に生きていれば、出会えないようなひとたちを、いっぱい見たから…
と、答えた…
さもありなん…
その通りかも、しれない…
母の言うことも、わかる…
よく、わかる…
そして、私の人生が、変わったのは、半年ちょっと前…
あの米倉正造と会って、米倉家に招かれたときから、人生が変わった…
それは、それまで、見たことも、会ったこともないひとたちと会ったから…
お金持ちのひとたちと会ったから、変わった…
それまでとは、違うひとたちと、会って、人生が、変わった…
視野が、広がった…
そういうことだ…
ハッキリ言えば、これまで、自分の住んでいる世界とは、違う世界に生きるひとたちと、出会った…
それが、視野が、広がったということ…
しかしながら、だからといって、私の人生が、変わるわけでも、なんでもない…
ただ、知った…
ただ、知り合っただけというのが、正しいかも、しれない…
いや、
対価はあった…
報酬はあった…
それは、今、働いているM商会を紹介してもらったから…
以前、勤めていた金崎実業に、いられなくなり、途方に暮れていた私に、水野良平が、救いの手を差し伸べてくれた…
いや、
救いの手では、ないのかもしれない…
私が、金崎実業にいられなくなったのは、良平の妻、春子のせいだった…
詳しくは、書かないが、彼女のせいだった…
それゆえ、それを知った夫の良平が、私に救いの手を差し伸べてくれた…
それが、正しい…
だから、お金持ちと知り合って、少しばかり、私の人生が、変わった…
明らかに、変わった…
が、
それまで…
それ以上を期待しては、いけない…
それ以上というのは、お金持ちと結婚すること…
それを、期待しては、いけない…
私は、肝に銘じた…
強く、肝に銘じた…
さもないと、自分でも、つい調子に乗ってしまう…
つい、自分でも、夢を見てしまう…
私ほどのルックスがあれば、きっと、どうにかなる!
と、調子に乗ってしまう…
それが、わかっているから、余計に自分で、自分を抑える…
自分自身を抑制する…
そういうことだ…
身の丈に合った生き方…
それを、実践しなければ、ならない…
あらためて、そう、思った…
そう、考えた…




