恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 86
私は、最初、つい、
「…えっ?…」
と、言ってしまった…
まさか、隣の席の女のコが、仕事中に、私に話しかけてくるとは、思わなかったからだ…
この営業所で、仕事中に話しかけてきても、おかしくはないが、それは、まだなかった…
それは、私が、まだ、入社して、一か月も経っていないから…
それが、理由だった…
そして、仕事中にこれまで、私に話しかけてこない、最大の理由が、私が、まだ、この営業所に馴染んでないのが、大きい…
すぐに、職場に溶け込める人間は、稀…
また、私は、話しかけやすい人間ではない…
総じて、話しかけやすい人間は、軽い人間が、多い(苦笑)…
初対面でも、すぐに、
「…なになに、ちゃん…」
と、呼ばれる人間が、多い(笑)…
男女ともに、多い…
私は、高見だから、
「…高見ちゃん…」
と、呼ばれる人間が、多い…
しかしながら、私は、真逆…
そういう意味では、真逆の人間だ…
決して、話しかけやすい人間では、ないらしい…
だから、この営業所でも、勤務中には、誰も、私に話しかけなかった…
いや、
それを、言えば、あの米沢京子も同じ…
私と同じだ…
勤務中どころか、仕事以外で、この営業所の誰とも、話したところを、見たことがなかった…
しかしながら、それは、彼女が、ヤンキーキャラだから…
彼女が、ヤンキーで、強そうだったからだ…
いや、怖そうだったからだ(苦笑)…
だから、彼女が、自分から、愛想よく、周囲の人間に話しかけなければ、ダメなのだが、彼女は、それをしない…
それゆえ、この営業所で、積極的に、彼女に話しかけるものは、一人もいなかった…
私の場合も、同じ…
彼女と、キャラは、違うが、同じだった…
それゆえ、いかに、隣の女のコと、いえども、いきなり、話しかけられたのは、驚いた…
正直、驚いた…
が、
私は、そんな驚いた気持ちは、おくびにも、出さず、
「…なんでしょうか?…」
と、言った…
彼女の方が、私より、はるかに、年下だが、彼女は、私の先輩…
だから、話す言葉は、自然と、敬語になる…
もうすぐ、34歳になろうとする、私から、見れば、彼女は、二十代半ば…
おそらく、年齢は、二十四、五歳だろう…
私から、比べれば、若い…
歳も、十歳ぐらい、年下だから、はるかに、若い…
女は、男とは、違う…
なにが、違うかと、言われれば、年齢に関する認識が、違う…
異性である、男の年齢ではない…
同性である、女の年齢に敏感になる…
極端に言えば、ライバル…
潜在的なライバルとして見る…
普段、意識は、しないが、つい、そう、見てしまう…
ずっと、以前、前に勤めていた金崎実業で、初めてやって来た取引先の業者のひとが、同じ営業所の人間に、
「…あのひと、小柄だけれども、美人だね…」
と、私を評価する声が、聞こえた…
が、
それに対する女子社員が、
「…ああ…高見さん…たしかに、小柄だから、若く見えるけれど、もう三十歳は、優に超えてますよ…」
と、答える声が、聞こえた…
少し離れていたから、私には、聞こえないと、思ったのだろう…
私は、その女性社員と、決して、仲が悪くは、なかった…
にも、かかわらず、そう言われた…
もちろん、私は気付かなかったが、陰で、私を嫌っている可能性もある…
しかしながら、そうではなく、つい、年齢を口にしてしまった…
私の年齢を口にしてしまった…
それが、真相だろうと、思う…
彼女に悪気はないと、思う…
が、
女は、どうしても、年齢が、気になる…
ルックスも、もちろんだが、年齢も、気になる…
そして、それは、私も例外ではない…
私、高見ちづるも、例外ではない…
つい、身近な女性の年齢を気にしてしまう…
これは、今も言ったが、女は、潜在的に、同性の女をライバル視する、癖がある…
そういうことだと、思う(笑)…
それゆえ、私も隣の同僚の女性の年齢を、気にした…
真っ先に、気にした…
そういうことだ(苦笑)…
しかしながら、その女性は、大柄…
大柄で、大人っぽい雰囲気の女性だった…
だから、年齢よりも、上に見える…
実年齢よりも、上に見える…
私も初めて会ったときは、二十代後半だと、思った…
ひょっとしたら、三十歳ぐらいに見えた…
これは、要するに、彼女が、大人びているから…
だから、実年齢よりも、上に見える…
おまけに、色っぽい…
彼女には、悪いが、決して、顔は、良くない…
が、
長身で、スタイルが良く、どこか、色っぽい…
だから、だろうか?
余計に、実年齢よりも、数歳、年上に見える…
真逆に、この私は、実年齢よりも、数歳、若く、見えるらしい(爆笑)…
それは、彼女と真逆で、私が、小柄だから…
小柄だから、小さくて、可愛らしく見える…
おまけに、私は、自分で言うのも、なんだが、可愛らしい美人(爆笑)…
女優の常盤貴子さんの若い頃を彷彿させる美人…
可愛らしい美人だ…
それゆえ、余計に、若く、見える…
背が小さく、ルックスも、可愛らしい美人…
つまりは、身長と、ルックスのおかげで、私は、歳よりも、数歳、若く、見える…
真逆に、彼女は、歳を取って見える…
大柄で、色っぽい…
それゆえ、実年齢よりも、歳を取って、見える…
そういうことだ…
しかしながら、それは、見た目…
少し見ただけの見た目…
近くで、よく見れば、肌が、若い…
実年齢相応に、若い…
33歳の私に比べて、はるかに、若い…
しかしながら、これは、悪口になるかも、しれないが、彼女の肌の色は、黒い…
といっても、外人ではない(爆笑)…
日本人でも、肌が浅黒いと、いっているだけ…
これもまた、肌が白い私とは、対照的…
対照的=真逆だ…
しかしながら、それゆえかも、しれない…
余計に色っぽく見える…
色っぽさのまるでない私から、見ると、余計に、色っぽく見える…
おまけに、彼女の声は甘い…
どこか、舌足らずで、甘い…
それゆえ、余計に、色っぽく、思える…
おそらく、本人は、意識していなくても、いかにも、男ウケする…
つまりは、彼女には、悪いが、男が、無意識に、性的な対象として、見てしまう…
そんな女性だった…
それは、あの米沢京子も、同じだが、その違いは、キャラ…
キャラクターだ…
あの米沢京子も色っぽいが、野性的…
いわゆる、ヤンキー系…
真逆に、彼女は、おとなしめ…
それゆえ、男としては、余計に、彼女の方が、誘いやすい…
圧倒的に、誘いやすい…
なぜなら、彼女は、怖くないからだ…
真逆に、米沢京子は、怖い…
ヤンキーキャラだから、怖い…
この差だ…
この違いだ…
私は、そんなことを、考えた…
考えながらも、
「…ハイ…なんでしょうか?…」
と、聞いた…
敬語で、聞いた…
それは、何度も、説明するように、彼女は、この営業所の先輩…
十歳近く、年下だが、この事務所の先輩だからだ…
私が、敬語で、答えると、
「…いえ、実は、相談したいことがあって…」
と、小声で、言った…
私は、
「…相談?…」
と、つい言ってしまったが、それも、小声…
会社の他の同僚に、聞こえないように、小声で、答えた…
私の返答に、
「…ハイ…」
と、隣の女のコも、小さな声で、答えた…
正直、そのカラダの大きさに、似合わない小さな声だと、思った…
が、
その声は、色っぽい…
って、いうか、甘い声…
私に話しかけてきた、この同僚の女のコは、ある意味、矛盾する、女のコだった…
カラダが、大柄で、スタイルも良く、見るからに、大人びている…
いわゆる、色気たっぷりのお姉さん…
しかしながら、口を開くと、子供のように、舌足らずで、甘い声…
普通、大柄な人間は、男女ともに、声が低い人間が、多い…
真逆に、背の低い男女は、共に、声の高い人間が、多い…
カラダの構造だろう…
男女ともに、カラダが、大きければ、声が、低くなり、真逆に、カラダが、小さければ、声が高くなる…
その傾向が、強い…
が、
しかしながら、例外も多い…
元巨人軍の長嶋監督などは、背が高いのに、声が甲高かった…
これは、非常に、わかりやすい例外だ…
真逆に、わかりやすく当てはまる実例としては、女優の井川遥さん…
昔、癒し系で、売れた、井川遥さんだ…
彼女は、背が高いから、声が低かった…
だが、彼女は、なんとなく、色っぽい…
それは、今、私に話しかけてきた、隣の席の同僚の女のコと、似ている…
隣の席の女のコは、井川遥さんのように、大柄で、色っぽいが、惜しむらくは、顔が、良くない…
が、
おそらく、本人もそれが、わかっているのだろう…
メガネをかけている…
その方が、顔が、よくわからないからだ…
男も女も、イケメンも、美人も、皆、メガネをかければ、本来の顔がわからない…
いや、
わからないのではなく、わかりづらくなると言うのが、正しいか?
真逆に、顔が、あまり良くない男女も、メガネをかければ、顔が、あまりよくないことが、隠せる…
彼女の場合は、後者…
残念ながら、後者に当てはまる…
そして、総括すれば、彼女は、大柄で、大人びているにも、かかわらず、話し出すと、舌足らずで、子供っぽい…
なんとも、矛盾した女性だった…
あまり、見たことのないタイプの女性だった…
私は、彼女、船見さんを、そう、見た…
私は、彼女を、そう、評価した…




