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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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70/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 70

彼女だけが、笑わなかった…


 彼女、米沢京子だけが、笑わなかった…


 それを、見て、


 …ヤバい…


 と、思った…


 もしかしたら、私と、前沢の関係に、気付いている…


 関係というのは、もちろん、男女の関係ではない(笑)…


 私が、前沢を通じて、彼女、米沢京子の情報を得ようとしている…


 その目的に、気付いた?


 そう、思った…


 そう、考えた…


 しかし、それは、思い込みというか…


 単に、私に後ろめたい気持ちがあるからかも、しれない…


 前沢を通じて、彼女、米沢京子の経歴を聞き出したいと、考えた、私の後ろめたい気持ちがあるかも、しれない…


 いずれにしろ、後戻りは、できない…


 賽は投げられた…


 私は、この後、予定通り、前沢と会うことになった…


 

 待ち合わせの場所に、着いたのは、私が早かった…


 やはりというか…


 前沢は、管理職…


 管理職といっても、ひとつの営業所を任されただけの、中間管理職に、過ぎないが、平社員の私より忙しい…


 だから、私より、先に、会社を出ることが、できない…


 それゆえ、私の方が、待ち合わせの店に早く着いた…


 が、


 前沢もまた、思ったよりも、早くやって来た…


 ちょうど、私から、遅れて、二十分後にやって来た…


 前沢は、開口一番、


 「…遅れて、申し訳ない…」


 と、詫びた…


 私は、すぐに、席を立ち、


 「…いえ、私こそ、わざわざ、お呼びだてして、申し訳ありません…」


 と、告げた…


 それから、すぐに、本題に入った…


 二人とも、席に、座って、すぐに、


 「…今日、お話ししたかったのは、米沢さんのことです…」


 と、告げると、前沢も、すでに、わかっている様子だった…


 「…そんなことだろうと、思ったよ…」


 と、応じた…


 「…ボクも、彼女のことは、すでに、調べた…」


 「…調べた?…」


 「…そう、調べた…」


 前沢が、言う…


 それから、


 「…高見さんは、なにを、注文する?…」


 と、聞いた…


 私は、即座に、


 「…家に、食事が、用意してあるので、コーヒーか、なにかで、いいです…お腹にたまるものを、食べると、家で、食べれなくなるので…」


 と、言うと、前沢も、


 「…ボクも、同じだ…」


 と、応じた…


 「…ここで、お腹いっぱいに、なったら、家族に怪しまれる…」


 と、笑った…


 私は、それを、見て、


 「…所長も、冗談を言うんですね…」


 と笑った…


 「…冗談? 冗談じゃないよ…」


 と、至極、真面目な表情で、言う…


 それから、タッチパネルで、コーヒーを二つ、頼んだ…


 そして、コーヒーを頼み終えると、


 「…いや、高見さんのような美人とは、こんな用事ではなく、会いたかった…」


 と、笑った…


 「…こんな用事ですか?…」


 「…そうだ…こんな用事だ…」


 前沢が、至極、真面目な口調で、言う…


 それから、カバンの中から、資料を取り出した…


 いや、資料というと、大げさ過ぎるが、要するに、彼女の経歴を書いたものを、プリントアウトしたものだった…


 おそらくは、人事部から、もらったのだろう…


 私は、それを、見て、驚いた…


 まさか、この前沢が、人事部の持つ、個人情報というか…


 そんな情報を持ってくるとは、夢にも、思わなかったからだ…


 普通は、


「…人事部に問い合わせて、見たが…」


とでも、言って、伝聞を伝えるに過ぎないからだ…


伝聞、つまり、聞いたことを、告げるに過ぎないからだ…


だから、驚いた…


そして、前沢が、


「…彼女の経歴だ…」


と、言って、私に、プリントアウトしたペーパーを渡した…


そこには、彼女、米沢京子の経歴が、書いてあった…


どこどこの高校や、大学を出て、どこそこの会社に勤めて、今の会社に入った経歴が、書いてあった…


私は、それを、見ても、なんとも、思わなかった…


っていうか、そもそも、高校の偏差値が、わからない…


よほど、有名な高校でもない限り、自分の出身地の高校でも、ない限り、普通は、わからないものだ…


わかるのは、大学…


大学名を見れば、偏差値がわかる…


ある程度、名の通った大学なら、おおよその偏差値はわかる…


そこに書かれていたのは、誰もが、知る有名大学だった…


だから、不審はないというか…


別段、不思議に思わなかった…


が、


私が、それを、見終わったのを、見て、前沢が、一言、


「…おかしいね…」


と、告げた…


「…おかしい? …なにが、おかしいんですか?…」


「…就職した会社だ…」


「…会社ですか?…」


「…そうだ…」


「…なにが、おかしいんですか?…」


「…その大学の偏差値では、その会社は受からない…」


前沢が、断言する…


「…受からない?…」


「…そう、受からない…」


前沢が、断言すると、コーヒーが、運ばれてきた…


私は、まず、コーヒーを飲んだ…


前沢もまた、まずは、運ばれてきたコーヒーを飲んだ…


そして、私は、コーヒーを半分近く、飲んでから、


「…だったら、どうして、受かったんでしょうか?…」


と、聞いた…


「…縁故だろう…」


前沢が、そっけなく答える…


「…縁故?…」


「…要するに、コネだ…誰かのコネがあれば、採用する…そういうことだ…」


「…」


「…それに、こう言っちゃ、なんだが、彼女は、美人だ…高見さんとは、違うタイプのね…さらに、カラダも大きくて、スタイルもいい…」


前沢が言う…


言葉には、しないが、肉体営業というか…


ちっぽけな私と違い、カラダも使うことが、できると、言外に、匂わせた…


さすがに、私も、前沢の言いたいことは、すぐにわかった(苦笑)…


それは、さておき、コネの正体は、やはり、あの米倉平造だろうか?


私は、考えた…


他に、思い浮かばない…


私が、知るのは、平造だけだ…


平造ならば、間違いなく、受かるだろう…


平造の推薦なら、間違いなく、受かるだろう…


大日産業取締役社長の推薦だ…


この日本で、知らぬものは、いないとまでは、言わないが、大抵は、知っている…


そんな人物の推薦があれば、断るわけには、いかない…


合格させるのみ…


他に手段が、ないだろう…


私は、思った…


私は、考えた…


そして、私が、考えていると、


「…高見さんは、心当たりがあるようだね…」


と、前沢が、言った…


「…心当たり?…」


「…そうだ…」


「…どうして、そう思うんですか?…」


「…ボクが、今、米沢さんの大学では、米沢さんが、最初に就職した会社は、コネでも、なければ、入れないと、言うと、すぐに、納得した顔をしたからね…だから、誰か、心当たりが、あると、思って…」


「…」


「…そして、その心当たりの人物が、もしかしたら、米沢さん…彼女が、高見さんを憎む理由じゃないかな…」


前沢が、言った…


ずばり、的中させた…


私は、内心、驚いたが、まさか、それを、口にするわけには、いかない…


私は、笑いながら、


「…そんなこと、ありませんよ…」


と、言った…


「…そうかな?…」


「…そうです…」


私は、断言した…


すると、前沢は、さすがに、なにも、言わなくなった…


私は、それを、見て、考えた…


自分では、気付かなかったが、どうやら、私は、世間から、強い女だと、思われているらしいことを、あらためて、考えた…


私も、学生時代までは、あまり、実感が、なかった…


よく、友人から、


「…高見は、強いから…」


と、言われたが、実感は、なかった…


正直、まるで、なかった(苦笑)…


が、


歳を取り、なんとなく、わかってきた…


なにが、わかってきたかと、言えば、一言で言えば、誘いにくい…


男のひとが、私を誘いにくいという事実に、気付いた…


女は、弱いほうが、いい…


いや、


中身ではなく、見た目が、弱いほうが、いい…


そのほうが、男のひとが誘いやすいという事実に、気付いた…


見た目が、弱いというのは、中身は、強くても、構わないということだ(笑)…


男のひとの側に立って、考えてみれば、強い女ほど、厄介な存在は、いない…


なにか、自分が、言っても、反論でも、されたら、自分が、すぐに、追い込まれる(笑)…


だから、なるべく、そんな女には、近付ないほうが、無難…


たとえ、その女が、どんな美人でも、用事が、なければ、近付かないほうが、無難だと気付いた…


そして、そんな、誰もが、わかりきった事実に、私が、気付いたのは、二十代も、後半になってから…


三十路を迎えた頃に、ようやく、気付いた…


そして、それは、たぶん、男も同じ…


同じだ…


なにが、同じかと、いえば、強い女は、コリゴリだと、いうこと…


それゆえ、私は、自分でいうのも、なんだが、学生時代は、モテた…


自分で、言うのも、なんだが、モテモテだった…


それは、私が、美人だったから…


だが、歳をとって、めっきり、男のひとから、誘われなくなった…


それは、たぶん、男が、気付いたから…


女は、顔でないことに、気付いたから(笑)…


顔よりも、性格が、大事だと、気付いたからだ(爆笑)…


私自身は、自分の性格が、悪いとは、思わないが、気が強いのは、自分でも、自覚しているつもりだ…


そして、男にとっては、それが、問題…


実に、問題だと、気付いた…


男も、若いときは、気付かない…


つい、誰もが、顔から選ぶ…


男も、女も、まずは、異性の顔から、判断するからだ…


が、


しかしながら、少し歳をとってくれば、顔だけではない…


中身に目が、向いてくる…


そういうことだ…


その結果、私は、遠慮された…


男のひとから、遠慮されたと、気付いた…


私の気の強さから、男のひとから、遠ざけられたと、気付いた…


今、目の前の前沢の反応を、見て、あらためて、気付いた(苦笑)…


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