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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 60

私の天敵の米沢京子がいた…


 私は、とっさに、


 「…なぜ?…」


 と、思った…


 「…なぜ、彼女が、ここにいるの?…」


 と、思った…


 そして、そう思っていると、


 「…迎えに来たわ…」


 と、あっさり、言った…


 私は、わけがわからなかった…


 なぜ、彼女が、迎えに来たのか、わからなかったからだ…


 彼女は、私を嫌っている…


 それは、周知の事実…


 今、勤め出したM商会の営業所で、知らぬものは、誰一人いない事実だったからだ…


 それゆえ、そんな彼女が、なぜ、私を迎えに来たのか、わからなかった…


 だから、つい、


 「…どうして…」


 と、口走った…


 「…どうして、私を迎えに…」


 と言うと、米沢京子は、ニヤリと、笑ってなにも、言わなかった…


 当たり前だ…


 なにしろ、私を嫌っているのだ…


 私の質問に、まともに、答えるわけは、なかった…


 ただ、


 「…タクシーで、指定の場所に行きましょう…」


 と、だけ、言った…


 私は、それを、聞いて、


 「…ハイ…」


 と、だけ、言った…


 彼女に、なぜ、ここで、私を待っていたのか、理由を聞いても、答えるわけは、ないからだ…


 だから、聞かなかった…


 なにを聞いても、まともに、答えるわけはないからだ…


 が、


 タクシーに、乗って、まもなく、彼女が、口を開いた…


 「…会社には、二人、いっしょに、来るように、言われているのよ…」


 と、突然、口を開いた…


 私は、ビックリして、彼女を見た…


 私と彼女とは、タクシーの後部座席で、横に、並んで、座っていたからだ…


 だから、ビックリして、横を向いて、彼女を見た…


 彼女の横顔を見た…


 その顔には、表情がなかった…


 いや、


 当然、表情は、あるのだが、その横顔からは、彼女の表情が、読み取れなかった…


 なにを考えているのか、読み取れなかった…


 普通は、読み取れるものだ…


 普通は、大抵、相手の表情から、なにを考えているのか、読み取れるものだ…


 だから、わざと、彼女は、表情を読み取れないように、しているのだと、悟った…


 わざと、なにを考えているのか、わからないように、平然としているのだと、考えた…


 だが、まあ、わかったことは、あった…


 彼女が、思いのほか、私を嫌っていることが、わかった…


 なぜって、会社から、二人いっしょに、来るように、言われて、私といっしょに、いるのが、嫌だから、別々に、新幹線で、やって来たわけだ…


 それに、もしかしたら?


 もしかしたら、同じ新幹線で、いっしょに、熱海まで、やって来たのかも、しれない…


 私とは、別の車両に乗ってやって来たのかも、しれない…


 その可能性が高い…


 なぜなら、先に、新幹線で、熱海にやって来て、私を、ここで、待っているのは、面倒だからだ…


 まして、熱海だ…


 ハッキリ言って、観光以外には、なにもない…


 そんな場所で、私より、先に、着いて、私を待っているのは、退屈だろう…


 たとえ、一時間でも、先について、私を待っているのは、苦痛だろう…


 それを、思えば、いかに、私を嫌いでも、同じ新幹線に乗って、別の車両にいれば、いい…


 そうすれば、私と、いっしょにいなくて、すむからだ…


 私は、思った…


 私は、考えた…


 そして、そんなことを、考えている間に、目的地に着いた…


 熱海のハローワークに着いた…


 あっという間に着いた…


 正直、それほど、時間がかからなかった…


 私は、彼女といっしょに、タクシーから、降りた…


 それから、ハローワークの建物の中に、入った…


 私は、彼女の後に、着いて、歩いた…


 大柄な彼女は、周囲を振り返りもせずに、一目散に歩いた…


 彼女が、場所を熟知しているのは、明白だった…


 場所が、わからなければ、迷うことなく、歩くことなど、できないからだ…


 私は、ただ、彼女の後を、ついて歩くだけ…


 必死になって、ついて歩くだけだった…


 彼女は、大柄…


 身長が、165㎝は、優にあるだろう…


 その彼女が、大股で、歩く…


 身長が、わずか155㎝の私は、彼女について歩くだけで、必死だった…


 なにしろ、身長が、10㎝は、違う…


 だから、当然、私の方、足が短い…


 その足の短い私が、足の長い、彼女について、歩くのは、大変だった…


 なにしろ、歩幅が、違うからだ…


 一歩の距離が、違うからだ…


 私は、彼女の背中を追いながら、


 …これは、イジメだ…


 と、思った…


 あるいは、


 …これは、嫌がらせだ…


 と、思った…


 だって、そうだろう…


 大柄な彼女が、速足で、歩けば、小柄な私は、それについて行くのは、大変だからだ…


 だから、きっと、彼女は、それが、わかっていて、わざと、速足で、歩いているに違いなかった…


 私は、それに、気付くと、頭に来たが、仕方がない…


 彼女の後を、必死になって、ついて歩くしか、なかった…


 ひとりで、ゆっくりと、後から、歩いてゆく、選択肢もあったかも、しれないが、そのときは、気付かなかった…


 ただ、必死になって、彼女の後を追った…


 ようやく、彼女が、ある部屋の前で、立ち止まった…


 私も、同時に、止まった…


 が、


 彼女は、私を一顧だにすることなく、呼吸を整え、部屋のドアを叩いた…


 「…米沢京子です…」


 と、言って、ドアを叩いた…


 すぐに、中から、


 「…入れ…」


 という声が、聞こえた…


 私は、それを、聞いて、違和感を覚えた…


 だって、そうだろう…


 いくらなんでも、


 「…入れ…」


 という言い方は、ないからだ…


 M商会の人事部の人間が、中にいるとは、思うが、いまどき、そんな高飛車な物言いをする人間は、いない…


 なにしろ、コンプライアンスが、叫ばれる世の中だ…


 会社でも、昔のように、若い独身の男女に、


 「…付き合っているひと、いるの?…」


 と、聞くだけで、セクハラだなんだと、叫ばれる、世の中だ…


 私も、すでに、33歳…


 もうすぐ、34歳になる…


 だから、だろうか?


 つい、オジサンの肩を持ってしまう…

 

 「…付き合っているひと、いるの?…」


 という言葉は、単純に会社の同僚とコミュニケーションをとるために、発する場合が、多い…


 言葉は、悪いが、下心がある場合は、稀…


 単純に、コミュニケーションの場合が、多い…


 要するに、雑談…


 たわいもない話をして、いっしょに、仕事をする同僚と、コミュニケーションをとるために、する話題だ…


 正直、若いときは、それほど、わからなかったが、オジサンが、若い女のコと話していても、下心がある場合は、稀…


 なにより、こんな女と寝たいと、思わせる女は、滅多にいない(笑)…


 それゆえ、


 「…あのオヤジ、絶対、私に下心がある!…」


 と、若い女が憤っていても、それは、単なる勘違いが、多い…


 いや、


 勘違いどころか、ハッキリ言えば、自意識過剰…


 誰も、そんな下心を持ってない場合が、大半だ(爆笑)…


 そもそも、おそらく、私が、若い時…


 十年前だって、私に下心を抱く、オジサンは、少なかっただろう…


 私は、自分でいうのも、おこがましいが、美人で、通っている…


 顔立ちが、若い頃の女優の常盤貴子さんに。似ていて、自分でいうのも、なんだが、美人だと、思う…


 しかしながら、カラダが、小柄…


 155㎝と小柄だ…


 だから、お風呂場で、自分のカラダを自分で、見ても、小さいと思う…


 ハッキリ言えば、中学生ぐらいの女のコと変わらない(涙)…


 だから、胸も小さい…


 大人になって、あるときに、


 「…これでは、男のコと変わらない…」


 「…これでは、私が、裸になっても、男のひとは、絶対、喜ばない…」


 と、悟った…


 ちょうど、テレビやネットで、アイドルの水着を特集していたからだ…


 女性アイドルは、どうしても、若ければ、水着の仕事になる…


 これは、避けられないことだ(苦笑)…


 そして、私のような女性は、同じ、女性のアイドルの写真集を買うことは、あまりないが、今では、写真集を買わずとも、手軽にネットで見ることができる…


 だから、彼女たち、女性アイドルの水着姿を見ることができる…


 そして、それを、見れば、写真集だからだろうか?


 誰もが、立派な胸を持っている…


 誰もが、立派なカラダを持っている…


 私のような小柄な女も、立派な胸を、持っている…


 それを、見たら、考えさせられたというか…


 いつのまにか、男目線で、写真集の写真を見ている自分が、いた(爆笑)…


 男目線だから、当然、下心を感じるように、見る…


 ハッキリ言えば、抱きたいか、どうかで、見る…


 すると、どうだ?


 自分で、言うのも、なんだが、私は、自分のカラダに下心は、感じない…


 まったく、感じない(苦笑)…


 なにしろ、小さくて、きゃしゃなカラダだ…


 そんなカラダに下心は、感じない…


 感じるのは、やはり、大きなカラダ…


 水着が、似合う大きなカラダだ…


 身長が、165㎝以上の大きなカラダだ…


 そういうカラダに憧れる…


 出るとこは、出て、引っ込むところは、引っ込んでいる…


 いわゆる、水着が似合うタイプ…


 女の私から見ても、そういうカラダに憧れる…


 だから、それに気付いてからは、私は、冷静に自分の価値を考えた…


 たしかに、顔は、美人だが、男のひとが、寝たいと、思うような女では、ないことに、気付いた…


 そんな当たり前のことに、気付いた…


 冷静に自分のカラダを考えれば、小柄で、痩せっぽち…


 男の目から見れば、少しも魅力がないことに、気付いた…


 いや、


 女の目から見ても、同じかも、しれない…


 魅力がないことに、気付く…


 極端な話、私は、学校や、会社で、普通に服を着て、歩いているから、チヤホヤされた…


 街を歩いていても、服を着ているから、


 「…あのひと…キレイ…」


 と、言われた…


 自分でいうのも、なんだが、顔がいいからだ…


 美人だからだ…


 しかしながら、カラダを見ると、ガッカリ…


 ちっとも魅力がないことに、気付いた…


 そして、おそらく、それに気付いたのは、私が、少しばかり歳をとったからだろう…


 歳をとって、冷静に自分を見れるように、なったからだろう…


 冷静に、自分の価値がわかるように、なったからだろう…


 私は、そんなことを、思った…


 私は、そんなことを、考えた…


 そして、そんなことを、考えていると、米沢京子が、部屋のドアを開け、中に、入った…


 私も、彼女に続いて、中に入った…


 中には、意外な人物がいた…


 私が、それまで、想像もしていなかった人物が、いた…


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