恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 40
だが、なぜ、透が、傷なのか?
好子さんに、とって、傷なのか?
それは、やはり、つい最近まで、結婚していたからだろう…
お互い、憎みあって、離婚したわけでは、ないが、やはり、離婚は、傷…
傷に違いない…
離婚は、バツイチに象徴されるように、バツが、つく…
離婚=幸運では、ないからだ…
離婚=幸運の場合は、それまで、結婚していて、よほど、嫌だったから、それが、離婚して、幸せになった場合だ…
夫の暴力だったり、夫の不倫だったり…
とにかく、自分自身が、夫から、逃げたくて、逃げたくて、離婚した場合だ…
もちろん、これは、妻の場合…
夫の場合も、似たようなものだ…
夫の場合も、妻からの暴力や、妻の不倫に悩まされる場合も多い…
とにかく、普通は、離婚=幸運では、ないということだ…
そして、好子さんは、幸か不幸か、有名人…
大金持ちの令嬢として生まれ、透との、結婚と離婚は、世間を賑わせた…
それゆえ、好子さんにとっては、傷…
普通は、離婚しても、世間には、知られない…
が、
好子さんは、有名人…
有名芸能人や有名スポーツ選手の知名度には、遠く及ばないが、透と、好子さんの、結婚と離婚は世間を賑わせた…
米倉と、水野…
大金持ち同士の結婚と離婚で、世間を賑わせたからだ…
だから、世間に知られ、好子さんは、傷付いたに違いないからだ…
それに、気付いた私は、おそりおそる、
「…もしかして、透さん?…」
と、聞いた…
好子さんの反応を見ながら、注意深く、聞いた…
途端に、好子さんの顔が、こわばった…
同時に、
「…高見さん、よくわかったわね…」
と、驚きの声を上げた…
驚嘆の声をあげた…
「…どうして、わかったの?…」
これは、答えるわけには、いかなかった…
透が、好子さんの傷になっているからとは、さすがに、言えなかった…
透との離婚が、好子さんの傷になっているから、わざとそれに対して、おどけて見せることで、自分の心の傷を隠しているのでは?
と、推測したとは、さすがに、いえなかった…
だから、
「…なんとなく…」
と、答えた…
「…なんとなく?…」
と、好子さん。
「…単なる当てずっぽうです…」
私は、きっぱり、答えた…
「別に深い理由は…」
それが、いけなかった…
「…深い理由はあるということ…」
好子さんが、続ける…
好子さんの顔は笑っていたが、明らかに、心の中では、怒っていた…
なぜなら、好子さんの顔が、こわばっていたからだ…
だから、どういおうか、迷ったが、答えが出なかった…
なんと言っていいか、わからなかった…
だから、黙った…
「…」
と、黙った…
すると、そんな私の様子を察したのか、
「…まあ、いいわ…」
と、言って、好子さんは、笑った…
「…事実、透のことなんだから…」
と、言って、笑った…
私は、なにか、言おうとしたが、なにを言っていいか、わからなかった…
だから、黙ったままだった…
「…」
と、黙ったままだった…
それから、おもむろに、
「…透の発表よ…」
と、口を開いた…
「…透さんの発表?…」
「…アイツ、近々、水野グループで、大々的なプロジェクトをするって、発表したでしょ?…」
「…」
「…でも、その内容が、私にも、さっぱり、わからないのよね…」
「…だから、気になって…」
好子さんが、笑いながら、告白する…
が、
その笑顔は、こわばっていた…
それは、そうだろう…
好子さんが、透の行動に、興味を持つのは、わかる…
なんといっても、つい最近まで、自分が、結婚していた夫だ…
しかも、幼馴染…
まるで、親戚のように、子供の頃から、親しく行き来していた仲だ…
だから、興味があるのは、わかる…
が、
それを、対外的に、口にするのは、難しい…
だって、そうだろう…
誰かに、
「…もう離婚したんだ!…前の旦那が、なにをしようと、アンタには、関係ないだろ!
…」
と、言われれば、それまでだからだ…
そして、それが、世間の本音というか…
当たり前のことだからだ…
私は、思った…
私は、考えた…
が、
にもかかわらず、好子さんは、透のことを、気にする…
前の旦那のことを、気にする…
それは、なぜか?
考えた…
考えられる理由は、いくつか…
いくつか、ある…
ひとつは、前の旦那が、まだ、好き…
だから、離婚は、したが、よりを戻したい…
復縁したい、と思っている場合だ…
復縁=やり直したいから、前の旦那の状況が、気になる…
なにをしているのか?
気になる…
そういうことだ…
そして、もうひとつは…
もうひとつは、知りたいのは、前の旦那が、やっていることを、ただ知りたい…
前の旦那=透が、やっていることを、ただ、知りたい…
が、
それは、おそらく、純粋な好奇心からではない…
それは、たぶん、米倉として…
米倉家のお嬢様として、あるいは、米倉家の正統後継者として、今、水野が、なにをするのか、気になる…
そういうことだろう…
米倉と水野は、同じ財閥…
企業同士として、お互いに被る、分野もあるに違いない…
いや、
被る分野もある…
被る=重複する分野もある…
だから、合併した…
いっしょになろうとした…
その方が、互いにメリットがあると、判断したからだ…
それが、破断した…
人間でいえば、離婚した…
合併を解消したわけだ…
だから、元に戻った…
そして、元に戻れば、ライバル…
互いに、しのぎを削る分野もあるからだ…
だから、気になる…
水野が、なにをするのか?
気になる…
そういうことだろう…
そして、気には、なるが、直接、透に、聞くことはできない…
いくら、幼馴染で、子供の頃から、知っていても、つい最近、離婚した仲だ…
やはり、気まずいのだろう…
当然、連絡先は、知っているに、違いないが、連絡は、できない…
それゆえ、私に接触した…
透が、なにをするつもりなのか?
私を通じて、透から、聞きだそうとしているのだろう…
私は、思った…
私は、考えた…
そして、ここまで、考えて、ようやく合点がいった…
なぜ、好子さんが、私に接触したのか?
合点がいった…
おそらく、今日、好子さんが、私に会いに来た理由は、コレ…
コレだ…
もうひとつの、私に会いに来た理由…
私にあの米沢京子の正体を告げたのは、手土産というか…
私に透から、水野の情勢を探りださせるために、用意した手土産…
そうすれば、私が、動いてくれると、思ったからだ…
そうすれば、私に貸しを作った…
私は好子さんに、受けた借りを返すために、動く…
透に接触すると、思ったのだろう…
私は、好子さんの真意を、そう見た…
そう睨んだ…
そして、それに、気付くと、ホッとした…
この世の中、打算だらけというと、語弊があるが、好子さんが、今日、なぜ、私に会いに来たか?
わかったからだ…
私と好子さんは、友達といえるほど、親しくない…
事実、知り合って、一年も経っていない…
そんな関係の好子さんが、私が、会社から、帰宅する途中に、私を待ち伏せていた…
当然、それには、理由がある…
なにか、理由がある…
その理由が、今、わかった…
わかったのだ…
そして、私が、そんなことを、考えていると、
「…高見さん…透から、聞きだして、もらえないかしら?…」
と、好子さんが、言った…
私が、思っていた通りのことを、言った…
私は、
「…エッ?…」
と、言った…
思わず、口から出た…
なぜなら、予想通りの言葉だったからだ…
そして、それが、あまりにも、予想通りだから、仰天したというか…
呆気なさ過ぎた…
それゆえ、拍子抜けしたというか…
実は、もっと別の言葉を言ってもらいたかった…
もっと、予想外の言葉を言ってもらいたかった…
そう、思った…
そう、思ったのだ…




