恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 4
水野透…
水野財閥御曹司…
そして、この高見ちづるが、初めて、好きになった男…
好きになったと言えば、大げさだが、気になった男とでも、言えば、いいのだろうか?
私は、自分でも、意外だが、めったに、ひとを好きにならない…
おそらく、それは、自分でも、気付かなかったが、根が冷たい人間なのだろう…
究極のところ、自分しか、好きになれない人間なのだろう…
だから、皆無…
生まれて、この方、恋愛は、皆無だった…
それは、選り好みが、激しいとか…
ただ単純に、ひとを、好きになれないという言葉では、説明がつかない…
なにしろ、もうすぐ34歳になる…
にも、かかわらず、それまで、まともな恋愛ひとつしてこなかった…
これは、やはり、欠陥…
私に大きな問題がある?
最近、気付いた…
誰もが、多かれ少なかれ、ひとを好きになるものだ…
しかしながら、私には、そんな記憶がない…
中学生どころか、それ以前の遠い記憶を探っても、ひとを好きになった記憶がない…
それは、私も、この時代に生きている一人…
幼いころから、普通にテレビが身近にあり、好きなアイドルは、いた…
が、
夢中になれない…
同級生の知人や友人が、アイドルに夢中になり、大金を使って、CDを買ったり、コンサートに行ったり、するが、そこまで、夢中になれない…
所詮は、テレビ画面の向こう側のひと…
いくら、応援しても、自分と、どうのこうのとなるわけはない…
子供ながら、そんなふうに、考えてしまう…
それでは、夢中になれるはずもない…
子供ながら、アイドルに夢中になれるわけはない…
そして、それは、恋愛も、その延長だった…
アイドルを好きになれない延長だった…
だから、子供のときは、気付かなかったが、私は、他人を好きになれない性格なのだろう…
容易に他人を好きになれない性格なのだろう…
それは、今になってみれば、わかる…
33歳の今に至るまで、キスもセックスもしたことがない…
理由は、色々あるが、その最たる理由は、私が、容易にひとを好きになれない…
それに、尽きると思う…
そして、その中で、最初に好きになったのが、透だった…
水野透だった…
これは、自分でも、意外だった…
なぜなら、透は、お調子者…
職業で言えば、お笑い芸人に、相当する(笑)…
まさか、自分でも、そんな人間を好きになるとは、思わなかった…
夢にも、思わなかったからだ…
私は、自分で言うのも、なんだが、美人で通っている…
ちょうど、若き日の女優の常盤貴子さんを、小柄にしたタイプの女…
身長、155㎝だから、だ…
だから、自分で言うのも、なんだが、モテた…
大勢の男のコたちから、年がら年中、告られた…
だから、だろう…
極端に言えば、選び放題になる…
私の選び放題になる…
が、
これでは、選べない…
なぜなら、あまりにも、選択肢が、多いからだ…
だから、結婚ではないが、もっと、自分に合うひとが、現れるまで、男との交際は、しない…
そして、そんなことを、言っているから、縁遠くなる…
自分にアタックする男が、星の数ほど、いると、言っても、それは、所詮、学校や職場の人間だけ…
大げさに言っても、千人に満たないだろう…
その中で、選ぶわけだから、当然、自分の好きなタイプの男は、いない…
当たり前だ…
選択肢が、少な過ぎるからだ…
そして、自分も、ガツガツしない…
どうしても、男のひとと、結婚したいと、思わない…
どうしても、男のひとと、付き合いたいとも、思わない…
これが、いけなかった…
だから、33歳の今まで、ズルズルきた…
男とまともに、付き合わないで、ズルズルきた…
そう結論することができる…
結婚は、勢い…
誰もが、口にすることだ…
相手選びを、するのに、どうのこうのと、言っていたら、永遠に結婚できない…
自分が、どんなイケメンでも、美人でも、例えば、日本中の異性の中から、相手を選ぶことなど、誰にも、できない…
あくまで、自分が、出会った異性の中から、選ぶに過ぎないからだ…
そうなると、選択肢は、おのずから、限られてくる…
普通なら、会社の関係者や、学生時代の友人、知人、そして、友達の紹介ぐらいだ…
その中から、結婚相手を選ばなければ、ならない…
そして、現代では、これに、アプリが、加わる(笑)…
出会い家のアプリが、加わる(苦笑)…
だが、それは、当然、やらないものも、多数いる…
それは、なぜか?
やはり、怖いからだ…
どこの誰とも、知らない人間と、いきなり、付き合うのは、怖いからだ…
これは、見合いに似ているが、見合いならば、間にひとが、入る…
仲人が入る…
それが、違う…
仲人は、それまで、全然知らないひとでも、誰かの紹介で、知り合う…
だから、全然知らないひとと、言うわけでもない…
知り合いの知り合い…
あるいは、
知り合いの、知り合いの、そのまた、知り合いだからだ…
だから、どこか、安心できる…
それが、出会い系のアプリとの差だ…
明確な差だ(笑)…
が、
いずれにしても、知らないひとでも、知っていたひとでも、結婚を前提として、付き合うのは、同じ…
それまで、いくら、会社や学校で、見知ったひとでも、結婚を前提として、付き合った場合は、見方が、異なるからだ…
これが、中学生や高校生では、同じかも、しれない…
それほど、考えないからだ…
しかしながら、どんな人間も、歳を取れば、変わってくる…
例えば、私のように、三十路を過ぎた女が、まさか、女子中学生や、女子高生と同じことは、言わないだろうからだ…
社会に出て、さまざまなひとと接すれば、当然、学生時代と考えが、変わってくる…
あるいは、社会に出ないで、家で、ニートで、引きこもっていても、大半の人間が、考えが変わってくる…
それは、誰もが、歳を取るからだ…
あるとき、69歳の有名マンガ家が、
「…ボクは、六十代の読者のために、マンガを描いている…」
と、言ったネットの記事を見て、驚いた…
なにしろ、マンガだ…
面白ければ、良い…
しかしながら、そのマンガを面白いと思う読者は、自分と同年代の方が、大半なのだろう…
ここで、私が、言いたいのは、マンガ家というのは、基本、家に閉じこもってする仕事だということだ…
にもかかわらず、自分のマンガを支持するのは、自分と同年代の人間が、大半…
会社に勤めるように、さまざまな人間と、接するわけではないということだ…
さまざまな人間と接するというのは、歳を感じるということ…
会社に大卒でも、高卒でも、新卒で入ったときは、新入社員だが、それが、やがて、中堅になり、ベテランになる…
その中で、自分も歳を取ったものだと、実感するものだが、少人数で、仕事をするマンガ家には、それがない…
いわば、言葉は、悪いが、引きこもりに近い(苦笑)…
にもかかわらず、歳を取るということだろう…
それは、家に引きこもって、仕事をしていても、例えば、会社に新卒で、入社した若いひとと、話が合わなくなるということだ…
つまりは、社会経験の年数は、意味がないということだ…
私は、思う…
私は、考える…
ここで、長々と私が、なにを言いたいかと、言えば、たとえ、私と同じ三十路の女が、学校を出てから、ずっと、家に引きこもっていても、学生時代と、考えが、違うということだ…
それが、69歳のマンガ家ではないが、歳を取るということだろう…
社会経験のあるなしに限らず、歳を取ると、若い世代と話が、合わなくなると、いうことだ…
それが、歳を取るということだろう…
だから、散々、回りくどく、色々語ったが、私が、言いたいのは、人間は、変わるということかも、しれない…
それは、さっき、言った水野透を、私が、好きになったからだ…
水野透は、お調子者…
さっきも言ったが、お笑い芸人みたいな男だった…
わざと、自分が、ピエロになって、周囲の人間を楽しませる…
私は、そんな水野透を好きになった…
いや、
好きとまでは、言わないが、気になりだした…
それは、私が、中学生や高校生では、ありえない選択だった…
中学生や高校生では、どうしても、ルックスで、相手を選ぶからだ…
ルックス=見た目で、相手を選ぶからだ…
透は、ルックスは、悪くは、ないが、頼りない…
だから、頼りない男は、真っ先にパス…
パス=選ばないということだ…
が、
歳を取れば、誰もが、考えが変わる…
それまでは、ただおちゃらけて、頼りないと思っていた男が、おちゃらけることで、周囲の笑いを取り、周囲の人間を和ませていることに、気付いた…
それに、気付くと、私は、透のことが、好きになった…
自分が、わざとピエロを演じることで、周囲の人間を和ます、透の人間性が、好きになった…
そういうことだ…
そして、それは、若いときには、気付かないことだからだ…
若い中学生や高校生のときには、気付かないことだからだ…
どうしても、若かれば、若いほど、ルックスが、気になる…
ルックス=外見が、気になる…
だから、男なら、カッコイイ…
女なら、キレイとか、可愛いが、選択の基準になる…
ぶっちゃけ、誰かに、自分の付き合っているひとを、紹介するときに、
「…ええ? あんなカッコイイひとと!…」
とか、
「…あんなキレイなひとと!…」
と、周囲に言ってもらいたいのだ(笑)…
周囲に、誉めてもらいたいのだ(笑)…
それが、ビジネスになったのが、いわゆるアイドルビジネスだろう…
本来は、ありえないが、架空の恋人候補として、売り出す…
アイドルの本質は、架空の恋人だからだ…
だから、そんな恋人が欲しくなる、少し大人びてきた中学生や高校生を、相手に、架空の恋人ビジネスを展開する…
それが、アイドル商法の本質だからだ…
そして、話が少々外れたが、私が水野透を好きになったのは、おそらく三十路を過ぎたから…
さすがに、私も十代の中学生や高校生のときは、透を、好きには、ならなかった…
それは、頼りないから…
透は、背も高く、ルックスも悪くはないが、頼りなかった…
だから、学生時代もモテなかったに違いない…
なにより、透には、幼いときから、好きな女がいた…
それが、米倉好子だった…
私が、好きになった米倉正造の妹…
そして、私によく似たルックスの持ち主だった…




