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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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34/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 34

そして、そんなふうに、考えている、私の心の中が、私の表情に出たのかも、しれない…


 「…なにを、考えているの?…」


 と、いきなり、好子さんが、私に聞いた…


 ズバッと、私の心の中に、切り込むように、聞いた…


 私は、一瞬、悩んだ…


 私の考えたことを、言っていいものか、どうか、悩んだ…


 そして、そんな私を見て、


 「…隠すな…高見ちづる…思ったことを、口に出せ!…」


 と、好子さんが、言った…


 私が考えたことを、言わせるべく、言った…


 私は、そんな好子さんを見て、


 …変わった!…


 と、思った…


 以前は、好子さんは、こんなことを、言わなかった…


 距離感というか…


 なぜか、今は、私に距離が、近付いたというか…


 まるで、長年の友人のように、私に接するので、驚いた…


 同時に、それは、離婚のせい…


 透(とおる)との離婚のせい、なのかと、思った…


 なにしろ、米倉のお嬢様と、水野のお坊ちゃまの結婚だ…


 米倉と水野の合併もあり、二人の結婚は、世間を騒がせた…


 世間を賑わせた…


 そして、大げさに、言えば、世紀の企業の合併から、半年もしないで、米倉と水野の合併は、解消…


 されに、合併の象徴であった、米倉のお嬢様と、水野のお坊ちゃまも離婚した…


 これでは、話題にならないはずが、なかった…


 再び、世間の話題になった…


 二人の結婚のときより、話題になった(苦笑)…


 そして、話題になった理由の一つに、この米倉好子さんが、美人であることが、大きい…


 正直、好子さんが、美人だから、よけいに、話題になったとも、言える(笑)…


 どうしても、世間は、美人や、イケメンに関心がある…


 ずばり、美人やイケメンに弱い…


 報道するマスコミ各社も、世間のひとたちが、ルックスの良い男女に弱いことを、知っている…


 また、ルックスの良い男女に、感心があることも、知っている…


 だから、余計に、報道を煽る…


 米倉好子さんが、いかに、美人か、煽る…


 その方が、話題になるからだ…


 その結果、好子さんを扱った新聞や、週刊誌が、売れるからだ…


 それが、わかっているから、余計に煽る…


 煽るのだ(爆笑)…


 が、


 その結果、好子さんは、傷付いたに、違いない…


 週刊誌の標的になれば、人権もなにも、ないからだ…


 それこそ、話題になった人物の過去から、現在に至る、交友関係その他、丸裸にされる…


 そんな目にあえば、誰でも、プレッシャーになる…


 プレッシャーにさらされる…


 その結果、好子さんにも、なんらかの心境の変化があったに違いない…


 私は、考えた…


 私が考えることが、本当か、どうかは、わからないが、一方的に、考えた…


 考えたのだ…


 すると、


 「…どうした? …高見ちづる…」


 と、好子さんが、聞いた…


 「…早く、話せ!…」


 と、笑いながら、私を促した…


 だから、私は、遠慮なく、


 「…考えていたのは、好子さんのことです…」


 と、言った…


 「…私のこと?…」


 好子さんは、私の言葉が、予想外のようだった…


 あっけにとられた表情になった…


 「…そうです…」


 「…なんで、私のこと?…」


 「…もしかして、好子さんこそ、透(とおる)さんを、意識した?…あるいは、刺激した?…」


 「…透(とおる)を、意識? 刺激? どういうこと?…」


 「…わざと、諏訪野さんと、親密にした? …そうなれば、透(とおる)さんが、なにか、行動を起こすのが、わかっているから…」


 私は、言った…

 

 ずばり、好子さんの内面を突いたと、思った…


 そして、その結果、好子さんは、ポカンとした…


 あっけにとられた表情になった…


 私の指摘が、的を得た証拠だった…


 が、


 違った…


 好子さんの口から出たのは、


 「…考え過ぎよ…」


 と、いう言葉だった…


 「…考え過ぎ? そうでしょうか?…」


 「…考え過ぎ…深読みのし過ぎ…」


 「…」


 「…高見さんが、そう言うのは、わかる…でも、私が、諏訪野さんと、会ったのは、今後の米倉のこと…」


 「…米倉のこと?…」


 「…正直、米倉が、今後、単独で、生き残るのは、難しい…それで、諏訪野さんに、相談に乗ってもらったの…」


 「…」


 「…その顔は、私が、ウソを言っていると、思ってるんでしょ?…」


 「…」


 「…でも、事実よ…それが、偶然、誰かに撮られて、話題になっただけ…それに、諏訪野さんには、噂だけれども、物凄い美人の恋人が、いるわ…」


 「…美人の恋人?…」


 「…たしか、寿さんといって、物凄い美人…私なんて、全然、足元にも、及ばない…」


 「…好子さんでも…」


 「…私でも…」


 好子さんが、あっけなく言う…


 つまり、好子さんと、瓜二つの顔の私でも、歯が立たないということだ(苦笑)…


 「…どうした? …高見ちづる…ガッカリした?…」


 と、好子さんが、私の心の内を見透かすように、言う…


 私は、言葉もなかった…


 その通り…


 その通りだったからだ…


 好子さんの言う通りだったからだ…


 私なら、そんな大金持ちの御曹司でも、会えば、なんとしてでも、落としてみせると、までは、言わないまでも、興味を持ったのは、明らか…


 しかしながら、私と同じ顔を持つ、美人の好子さんが、


「…私なんて、歯が立たない…物凄い美人…」


と、言うのだから、好子さんと、似た顔を、持つ、私も同じ…


まるっきり、相手にされないに違いない(苦笑)…


この高見ちづるも、相手にされないに違いない…


そして、そんなことを、考えていると、たしか、私は、以前、その寿さんに会ったことを、思い出した…


たしか、一度だけだが、どこかで、会ったことを、思い出した…


アレは、たしか…


私が、そんなことを、考えていると、


「…深読みのし過ぎ…」


と、好子さんが、繰り返した…


「…でも、たしかに、その通りかも、しれない…透(とおる)のヤツが、いきなり、ビッグプロジェクトだか、なんだか、発表するなんて、言い出して…」


好子さんが、笑う…


「…きっと、透(とおる)のヤツ、私が、諏訪野さんと、どうにか、なったと、思って、居ても立っても居られないんだと、思う…」


「…居ても立っても居られない?…」


「…昔から、そういうヤツ…」


好子さんが、笑った…


「…気が小さくて、相手のことが、気になって仕方がない…だから、きっと、私のときも、同じ…」


「…」


「…普通に考えれば、私が、諏訪野さんと会ったのは、米倉の今後のことを、話しあっているんだろうな、とでも、思う…考える…米倉は、水野との合併を解消して、元に戻ったけれども、財務状況は、厳しい…率直にいって、誰かの力を借りたい…」


「…」


「…だから、私が、諏訪野さんと会ったことを、報道されても、そう考えるし、きっと、透(とおる)も、そう考えると、思う…でも…」


「…でも、なんですか?…」


「…相手が、悪かった…」


「…どうして、悪かったんですか?…」


「…諏訪野さんが、イケメン過ぎた…」


好子さんが、笑う…


「…それで、きっと、透(とおる)のヤツ、悶々として…」


好子さんが、実に楽しそうに笑う…


「…そんなに、私のことが、気になるなら、離婚しなければ、良かったのに…」


「…」


「…合併は、社風が、違い過ぎたから、無理だったけれども、資金援助だけにするとか、やり方は、色々あったはずよ…」


好子さんが、真顔になって、言った…


「…でも、ダメ…」


「…どうして、ダメなんですか?…」


「…透(とおる)のヤツ、今も言ったように、気が弱いのよ…」


「…気が弱い?…」


「…だから、周りから、色々言われると、すぐ考えこんじゃって、それで、私も、そんな透(とおる)を、見ているのも嫌だったし、透(とおる)を、悩みから、解放してあげたい気持ちもあって、それで、離婚したの…」


好子さんが、思いかけない真実を言った…


「…結婚って、つくづく、自分たち二人だけのことじゃないのよね…いやでも、周囲を巻き込む…夫や妻の実家を巻き込む…とりわけ、私と透(とおる)の場合は、二つの企業グループを抱えていたから、なおさらね…」


「…」


「…率直に言って、私と透(とおる)が、互いに、米倉や、水野を背負っていなければ、あんなに、簡単に離婚することは、なかった…きっと、今も、夫婦でいられた…」


「…」


「…でも、それじゃ、互いに、出会うこともなかったかも、しれない…互いの父親が、親友だから、出会った…互いの父親が、米倉と、水野の当主だから、出会った…」


「…」


「…まあ、これも、運命ってやつ…」


好子さんが、豪快に笑い飛ばした…


おそらく、そうでも、しなければ、やっていられなかったに違いない…


結婚も、米倉のため…


離婚も、米倉のため…


いつも、米倉が、ついて回る…


単純に、相手が、好きだから、結婚する…


そんな子供のようなことは、できない…


結婚は、あくまで、家のため…


離婚も、あくまで、家のため…


常に、家のため…米倉の家のためという言葉が、ついて回る…


正直、私なら、やっていられない…


いや、


私に限らず、誰でも、やっていられないと、思うものも、大いに違いない…


常に、家のためなら、一体、私の人生は、なんだと、言うのか?


家を存続させるためのツールか?


と、思ってしまう…


ツール=道具と、思ってしまう…


これでは、まるで、江戸時代の大名の結婚か、なにか、みたいだ…


自分の意思は、まったく尊重されない…


あるのは、周囲の思惑のみ…


家の存続のためには、そうせざるを得ないのは、わかるが、正直、しんどい…


が、


それは、今の価値観だから…


今の時代の価値観だからかも、しれない…


当時の人間は、それが、当たり前…


疑うこともない、当たり前の風潮だったかも、しれない…


私は、思った…


私は、考えた…


そして、私が、そんなことを、考えていると、


「…でも、まるっきりのウソというわけでも、ないのよね…」


と、好子さんが、いきなり、言った…


「…どういうことですか?…」


「…私が、諏訪野さんと、結婚すること…」


好子さんが、笑いながら、言う…


「…それを、期待している人間がいるの…」


好子さんが言った…


私が、思いもかけないことを、言った…


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