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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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26/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 26

…見抜いた?…


 …もしかして、私の心の中を見抜いた?…


 いや、そうではない…


 …知っている?…


 …私と透(とおる)の仲を知っている?…


 …私、高見ちづると、水野の御曹司の水野透(とおる)が、知り合いだということを、知っている?…


 とっさに、気付いた…


 いや、


 考えた…


 …まさか?…


 …まさか?…


 慌てて、私は、米沢京子を見た…


 おそらく、顔色を変えて、見た…


 すると、だ…


 今度は、米沢京子の方が、驚いた顔で、私を見た…


 明らかに、驚いた顔をして、私の顔を凝視した…


 すると、だ…


 さっき、透(とおる)の話をしていた、年配の女性社員が、


 「…どうしたの? 高見さん、顔色を変えて…」


 と、言った…


 それから、笑いながら、


 「…まさか、図星?…図星? 高見さんも、あの頼りなさそうな水野の御曹司との結婚を夢見た?…」


 と、言った…


 言ったのだ…


 もちろん、ジョークとして、だ…


 冗談として、だ…


 まさか、本当に、私が、水野透(とおる)と、知り合いとは、夢にも、思ってみなかったろう…


 いや、


 そもそも、この会社の人間が、まさか、私と水野透(とおる)が、知り合いであることを、知っているはずが、ないからだ…


 だから、それに、気付くと、


 「…バレました?…」


 と、笑いながら、言った…


 ここは、冗談にするのが、一番だと、思ったからだ…


 だから、笑いながら、


 「…でも、私もまだ、夢みていたんですよ…」


 と、付け加えた…


 すると、その女性社員が、


 「…意外? …高見さんが?…」


 と、驚いた…


 それゆえ、


 「…意外ですか?…」


 と、聞き返した…


 「…そうよ…意外…だって、高見さん、落ち着いて見えるし…歳も取っている…だから、今さら、そんな夢を見るなんて…」


 言いながら、その女性社員は、


 「…しまった!…」


 と、いう顔をした…


 私の年齢を指摘したからだ…


 私は、今、33歳…


 もうすぐ、34歳になろうとしている…


 だから、決して、若くはない…


 が、


 しかしながら、それを、他人から指摘されるのは、嫌…


 嫌だ…


 これは、男には、わからないが、女は、男が、考えるのと、年齢の捉え方が、まったく違う…


 年齢=若さに関する捉え方が、まったく違う…


 基本、若ければ、若いほど、いい…


 そう、考える…


 いくら、美人でも、歳を取ったら、価値が失われると、考えている…


 そして、なぜ、そう考えるのか?


 それは、男が、女に、それを、望んでいるのが、本能的に、知っているからだ…


 男が、女に、若さを求めているのを、本能的に知っているからだ…


 それゆえ、若さにこだわる…


 若さに、固執する…


 そして、それは、この私も例外ではない…


 この高見ちづるも、例外ではない…


 この私も、すでに33歳…


 まもなく、34歳になろうとしている…


 果たして、あと、何年、美人と、周囲から、呼ばれるか?


 あと、何年、そう、呼んで、もらえるか?


 気が付くと、ふと、考えることが、最近、多い…


 私自身、きっと、内心、自分が、周囲から、美人と呼んでもらえなくなることを、恐れているのだ…


 私自身、意識しないが、それを、恐れているのだ…


 自分でも、ビックリするほど、恐れているのだ…


 それは、考えてみれば、当たり前…


 当たり前だ…


 物心つく前から、


 「…ちづるちゃん、キレイ…」


 とか、


 「…ちづるちゃん…可愛い…」


 とか、呼ばれて、育ってきた…


 33歳の今の今まで、育ってきた…


 生きてきた…


 それが、まもなくと、までは、いかないまでも、近い将来、いずれ、そう言われなくなる…


 それを、意識する年齢になったからだ…


 だから、余計に年齢に敏感になる…


 だから、今、

 

 「…そうよ…意外…だって、高見さん、落ち着いて見えるし…歳も取っている…だから、今さら、そんな夢を見るなんて…」


 と、言った言葉に、私は、顔色を変えて、反応した…


 そして、それは、同じ…


 私に向けて、それを、言った女性社員も、同じだった…


 やはり、同じ女性だ…


 年齢の重要さが、わかっているからだ…

 

 年齢の価値が、嫌というほど、わかっているからだ…


 だから、マズいと、思ったに違いない…


 いわば、禁句…


 女にとって、年齢の話題は、禁句だからだ…


 だから、どうしていいか、わからなかったに違いない…


 それゆえ、彼女は、困った顔をした…


 どうして、いいか、わからない、困った顔をした…


 すると、だ…


 意外な救いの手が現れた…


 「…年齢なんて、どうでも、いいでしょ? …生きていれば、誰でも、歳を取る? 違う?…」


 と、大声で、言う声が聞こえた…


 声の主は、意外や意外…


 あの米沢京子だった…


 私の天敵の米沢京子だった…


 その場にいる全員が、驚いて、彼女を見ると、


 「…そう、そうね…」


 と、私に年齢を指摘した女性社員も、思わず、相槌を打った…


 同時に、これは、自分に都合のいい展開になったと、思ったのだろう…


 明らかに、表情が、変わった…


 つい、さっきまでと、違って、表情が、明るくなった…


 そして、それを見た私も、彼女を責めるわけには、いかなくなった…


 いや、


 元々、責める気は、まったくない…


 しかしながら、彼女が、突然、私の年齢の話題をしたことは、痛かった…


 私の想像以上に、痛かった…


 赤の他人から、


 「…もう若くない…」


 と、言われたショックと言ったら、想像以上だった…


 自分でも、驚くほど、想像以上のショックだった…


 だから、固まっていた…


 どうして、いいか、わからず、その場に固まっていた…


 すると、だ…


 またも、あの米沢京子が、


 「…高見さん、どうしたの? ボーっと、突っ立ったままで…」


 と、言った…


 「…ここは、職場…年齢なんて、関係ない…私たち、仕事に来ているのよ…」


 米沢京子が、言う…


 当たり前のことを、言う…


 その言葉で、私もようやく、動き出したというか…


 掃除に動き出した…



 そして、その日が始まった…


 率直に言って、業務は、平凡だった…


 おそらく、退屈とまでは、言わないが、平凡…


 ただの、作業だ…


 機械的な作業だ…


 慣れれば、誰にでも、できる…


 きっと、この職場を私に紹介した、水野良平は、私に平凡な職場を探して、紹介したのかも、しれない…


 あの水野良平とは、もう何度も会った…


 だから、あの良平は、私の人柄を知っている…


 この私、高見ちづるの人柄を知っている…


 が、


 この私の能力を知らない…


 この私の仕事での適性を知らない…


 どんな人間も、何度か、会い、話せば、相手が、どんな人間か、なんとなく、わかるものだ…


 どんな人間かというのは、頭が、良いか、悪いか?


 性格が、良いか、悪いか?


 などの簡単なことだ…


 高卒か?

 

 大卒か?


 話してみれば、誰でも、なんとなくわかるものだからだ…


 むろん、一度だけ、会ったのでは、わからない…


 十分、十五分、会っただけでは、わからない…


 しかしながら、何度も、会えば、なんとなく、わかってくるものだからだ…


 だが、仕事は、わからない…


 適性が、わからないからだ…


 誰が、見ても、頭が、良く、高学歴の人間でも、手が、遅かったり、仕事の呑み込みが、遅かったりするものは、いるものだ…


 真逆に、学歴がなくても、仕事の呑み込みが早く、手が、早いものも、いるものだ…


 そして、それは、実際に、作業をしてみなければ、わからない…


 実際に、仕事をしてみなければ、わからないものだ…


 だから、きっと、あの水野良平は、この職場に、私を押し込んだ…


 とりあえず、業務は、平凡で、誰にでも、できるものだからだ…


 だから、この職場を私に紹介した…


 と、考えるのは、うがちすぎか?


 考えすぎか?


 いや、


 だったら、あの米沢京子は、なんだ?


 どうして、あんな女がいるんだ?


 それとも、あの水野良平は、あくまで、仕事のみ、考えた?


 誰にでも、できる簡単な仕事だから、この職場を私に紹介した?


 どんな人間が、職場にいるか?


 まで、考えなかった…


 職場の人間関係まで、考えなかった?…


 そんなことを、考えた…


 仕事をしながら、考えた…


 そして、そんなことを、考えながらも、


 …それも、当たり前か?…


 とも、考えた…


 子供では、ないのだから、そこまでは、考えない…


 れっきとした33歳の女の職場を探すのに、私の家から、近い、水野グループの会社を探したに過ぎないだろう…


 なにも、自分の娘では、ないのだから、職場の具体的な業務とか、職場の雰囲気までは、考えないだろう…


 なにしろ、水野グループの総帥だ…


 従業員は、十万近く入る…


 その総帥だ…


 私風情の職場を、探すのに、そこまで、気を使わないだろう…


 やることは、いっぱいあるに違いない…


 その中で、私風情に割く時間は、限られた時間に、決まっているからだ…


 私は、そう、思った…


 私は、そう、考えた…


 そして、そう、考えると、今さらながら、自分は、子供だと、思った…


 子供だと、考えた…


 なんのことはない…


 自分が、あの水野良平にとって、特別な存在だと、思っている…


 自分自身、意識したことはないが、少なくとも、自分自身の存在を、大きく考えている…


 あの水野良平にとって、大きな存在だと、考えている…


 しかしながら、それは、誤り…


 間違いだった…


 なぜなら、私は、あくまで、良平の息子の透(とおる)が、少しばかり、好きになった女に過ぎないからだ…


 正直、私が、これから、透(とおる)と、結婚することは、ありえないだろう…


 いわば、行きずりというか…


 良平にとっては、私は、偶然、知り合ったに過ぎない…


 偶然知り合った、行きずりの存在に過ぎない…


 だから、そこまで、私に気を使うわけはない…


 それが、普通だ…


 それが、当たり前だ…


 そして、そんな当たり前のことに、気付くと、つくづく、自分の愚かさに、気付いた…


 自分自身、調子に乗っていることに、気付いた…


 この33歳の女が、いかに調子に乗っているかに、気付いた…


 …バカな女…


 自分をまるで、特別な存在のように、思うなんて…


 これでは、これまで、結婚できなかったのも、わかる…


 いや、


 これでは、仮に結婚できたとしても、相手選びに失敗…


 下手をすれば、子連れで、離婚かも、と、思った…


 そして、そんなことを、考えれば、考えるほど、落ち込んだ…


 自分の無能さに、落ち込んだ(苦笑)…


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