恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 23
しかし、当然、良いことばかりではない…
今度の会社で、明らかに、私を敵視する人間がいる…
あの米沢京子のことだ…
が、
彼女のことは、考えても、仕方がない…
と、言いつつも、つい考えてしまう…
ひょっとして、私が、美人だから、悔しいのだろうか?
女の敵は、女…
美人は、周囲の女から、妬まれることが、多い…
が、
彼女は、美人…
彼女、米沢京子は、私とは、タイプが違う美人だ…
だから、彼女が、私を妬む理由がない…
いや、
私は、彼女とは、違うタイプの美人だから、私を妬むのかも、しれない…
私は、何度もいうように、女優の常盤貴子さんを、小柄にした美人のタイプ…
それゆえ、自分でいうのも、なんだが、清楚系…
まじめな清楚系だ(苦笑)…
一方、あの米沢京子は、派手なタイプ…
芸能人でいえば、飯島直子さんだったり、米倉涼子さんだったり…
つまりは、私と真逆なタイプ…
だから、被らない…
私とタイプが被らない…
それゆえ、普通は、私を敵視は、しない…
なぜなら、ファンが異なるからだ…
仮に、ここに、常盤貴子さんと、米倉涼子さんが、いるとする…
すると、どうだ?
当然のことながら、彼女たちのファンは、被らない…
常盤貴子さんのファンが、米倉涼子さんのファンなわけはないし、その真逆に、米倉涼子さんのファンが、常盤貴子さんのファンであるわけはない…
互いのタイプが、異なり過ぎるためだ…
それゆえ、お互いに、相手を意識することもない…
まして、互いを敵視することなど、ありえないだろう…
互いを意識したり、敵視したりする場合は、同じタイプだった場合…
派手なタイプは、派手なタイプ…
まじめなタイプは、まじめなタイプだ…
そして、カラダの大きさ…
仮に、同じような派手なタイプであっても、170㎝の女と、160㎝の女では、ファンが、異なるものだ…
これは、まじめなタイプでも同じ…
さらに年齢…
同じタイプでも、年齢が、仮に十歳違えば、異なる…
仮に異性にアピールする場合、勝負にならないからだ…
歳を取れば、若い同性に負けるからだ…
これは、男も女も同じ…
同じだ…
そして、そんなことを、考えれば、私とあの、米沢京子を比べた場合は、共通するのは、年齢だけ…
年齢だけだと、気付いた…
他に、彼女と、私が、重なる部分は、なにもない…
だから、わからない…
彼女が、私を敵視する理由が、わからない…
そう、思った…
そう、思いながら、その日は、その後、寝床に着いた…
進展があったのは、翌日以降…
会社に出社してからだった…
会社に出社するのは、以前、勤めていた金崎実業のときよりも、少し早い…
会社の場所が、以前より、自宅から、少しばかり遠くなったのと、私が、新入社員だから、早くなった…
新入社員といっても、転職者…
厳密には、転職社員だが、その会社=職場では、新入社員…
新入社員=新参者だからだ…
だから、他の社員よりも、少しばかり先に出社しなければ、ならない…
他の古参社員より、少しばかり先に出社して、やる気を見せなければ、ならない…
やる気=誠意だからだ…
他の古参社員より、少しばかり早めに出社して、誠意を見せなければ、ならない…
私は、そう、思った…
そう、思ったのだ…
だから、私は、金崎実業に勤めていたときよりも、若干、早く、今の会社に出社するように、していた…
若干、早くというのは、早すぎると嫌味に見えるかも、しれないからだ…
だから、若干、早く出社する…
が、
この若干というのが、難しい…
実に、難しい(苦笑)…
会社が始まるよりも、20分早めに出社するのか?
あるいは、
30分早めに出社するのか?
それが、わからない…
会社=職場によって、違うからだ…
だから、私は、今の職場に移って、最初は、時間を調整した…
最初は、出社時間の30分前に出社したが、そのうち、様子を見て、それ以前に出社するようにした…
会社の同僚が、何時に出社するのか、見ていたためだ…
やはり、新入社員にも、かかわらず、古参社員よりも、遅く出社するのは、気が引けるからだ…
だから、出社する時間を見極めて、それよりも、少しばかり、早めに出社することにした…
順番で言えば、3番目ぐらい…
一番、早く出社するのは、目立ち過ぎる…
だから、ダメ…
2番目も、早い…
3番目あたりが、ちょうど、良い…
あまり、目立たず、かといって、やる気も見せることができるからだ…
だから、ちょうどいい…
これが、34歳の転職社員の知恵…
もはや、大学卒業ほやほやの新卒社員では、ないのだから、少しばかり、考える…
新しく知り合った同僚に、自分をどう印象づけるか?
あるいは、
自分をどう見せるか?
考える
考えるのだ(笑)…
が、
稀に、なんにも、考えないものが、いる…
ある程度、歳をとっても、なにも考えないものがいる…
出社して、仕事さえすれば、構わないと、考えるものがいる…
だが、それは、少数派…
歳を取れば、取るほど、誰もが、少しは、考えるものだからだ…
ただ、会社に出社して、仕事さえ、できればいいと、考えるものは、少数派…
多くは、人間関係を考えるものだからだ…
少しでも、周囲の人間に、自分を良くみせようと、考えるものだからだ(笑)…
会社も学校も人間関係…
これは、ひとが集まるところは、どこも同じ…
ボランティアでも、近くのスイミングスクールに通っても、同じ…
ひとが集まれば、摩擦が生まれる…
だから、その場所に馴染めば、いいが、馴染めないと、困る…
「…じゃ、辞めれば?…」
と、いうのが、一番、簡単な方法で、一番、ベストな選択でもある…
それが、誰でも、一番、ベストな選択なのだが、実際、問題、それが、できない場合が、多い…
サラリーマンなら、簡単に次の会社が、決まるか、どうか、不安があるし、学校ならば、そう簡単に他校に転向するなど、実際、難しいからだ…
だから、悩む…
誰しも、悩むのだ…
私は、そんなことを、考えながら、出社した…
このところ、毎日、朝、会社に向かう最中、同じことを、考える…
今度の会社で、うまく、やらねば、いけないと、考える…
率直に、言って、金崎実業にいたときよりも、考える…
以前、勤めていた金崎実業は、私の実力で、入った…
コネも、なにも、ない…
だから、辞めようが、どうしようが、私の勝手というか…
誰にも、迷惑が、かからなかった…
が、
今は、違う…
今度の会社は、あの水野良平の紹介…
水野グループのトップの紹介だ…
あの水野透の父、良平の紹介だ…
だから、簡単に辞められない…
私が、入社して、あっさりと、数か月で、辞めたら、良平の顔を潰すことになるからだ…
それゆえ、簡単に辞められない…
要するに、知人の紹介で、入ったので、簡単に辞められないのだ…
紹介した人物の顔を潰すことになるから、簡単に辞められないのだ…
今の時代、会社をリストラされた人間は、枚挙にいとまがない…
数えきれないほど、いる…
が、
その中には、巌として、友人、知人の紹介で、再就職をしない人間もいると、聞く…
その理由は、至極、単純…
辞めづらいからだ…
まともな感覚を持っていれば、会社を紹介してもらって、その会社の仕事や、社内の雰囲気が、自分に合わないからと、いって、すぐに辞めるわけには、いかない…
それが、わかっているから、断固、友人、知人の紹介で、再就職しないと、心に決めているのだろう…
私は、そんな話を、偶然、ネットを、見ていて、見つけた…
金崎実業を辞めて、今の会社が、決まったときに、知った…
正直、その話題を、ネットで、見つけたときは、
「…しまった!…」
と、思った…
そこまでは、考えなかったからだ…
だから、
「…しまった!…」
と、思った…
遅ればせながら、思った…
が、
後の祭り…
今さら、悔やんでも、どうにも、なるものでは、ないからだ…
そして、それを、同居する母に告げたのが、いけなかった…
つい、口が滑ったというか…
私が、
「…失敗した…」
と、漏らすと、
「…なにが、失敗したの?…」
と、母が返し、私は、洗いざらい、しゃべった…
そして、私が、しゃべり終えると、母が、一言、
「…ちづるも、まだまだ、子供ね…」
と、告げた…
「…子供?…」
と、私。
「…そうよ、子供…まだまだ、視野が狭い…」
「…視野が狭い?…」
「…でも、大丈夫…歳を取れば、誰でも、少しは、視野が広がる…だから、わかるようになってくる…」
私は、母の言葉を聞いて、そんなものかと、思った…
同時に、気付いたのは、ネットで、友人、知人の紹介で、再就職を断ることが載っていたサイト…
たしか、相談者は、五十代の主婦だった…
主人が、絶対、知人の紹介での就職を断ると、言って相談していたのは、五十代の主婦だった…
だから、私より、二十歳は、上…
それゆえ、そんなふうに、考えるのかも、しれない…
その主婦の旦那は、そんなふうに考えるのかも、しれない…
と、思った…
これが、今の私なら、旦那が、失業して、友人、知人から、再就職の誘いがあれば、
「…いってみれば?…」
と、簡単に言うだろう…
しかしながら、その相談者と、同じ、五十代なら、また違うかも、しれない…
相談者の夫の気持ちが、あらかじめ、わかるように、なってくるからだ…
私は、そんなことを、思った…
私は、そんなことを、考えた…
そして、そんなことを、考えながら、会社のドアを開けた…
「…おはようございます…」
と、言いながら、会社のドアを開けた…
同時に、
「…おはよう…」
と、いう声が、返って来た…
いつもと、違う声が返って来た…
いつもと、違うというのは、この時間に会社に出社して、来る人間は、決まっている…
私より、早く出社する人間は、決まっている…
それゆえ、その人間の声も、知っている…
だが、今、返って来た声は、いつもの声では、なかった…
むしろ、あの声は?…
私が、そう考えながら、ドアを開けて、事務所の中に、入ると、真っ先に、声の主の顔が、私の目に飛び込んで来た…
それは、米沢京子…
他でもない、私が、最近、頭を悩ませている米沢京子の姿だった…




