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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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127/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 127

結局、この米沢京子は、使われていた…


 米倉平造に使われていた…


 米倉平造の手のひらの上で、踊らされていたわけだ…


 そして、それが、わかると、当然のことながら、目の前の米沢京子は、落胆した…


 誰の目にも、明らかに、落胆した…


 つい、さっき、怒鳴ったのが、ウソのように、落胆した…


 「…平造さんは、見抜いていた…」


 と、言って、落胆した…


 それを、見て、正造が、


 「…ただの女好きだとでも、思っていましたか?…」


 と、笑った…


 が、


 当然、彼女の反応はない…


 米沢京子の反応は、なかった…


 そして、


 「…ボクも以前は、そう、思ってました…」


 と、笑って、付け加えた…


 そして、そんなことを、言った、隣の正造を、米沢京子は、驚いて、見た…


 正造は、笑いながら、


 「…ウソじゃ、ありませんよ…」


 と、言った…


 「…アナタも、同じでしょ?…」


 「…なにが、同じなんですか?…」


 と、米沢京子。


 「…自分は、美人だから、父が…平造が、援助してくれた…そう、思っていたんじゃ、ありませんか?…」


 正造の質問に、彼女は、


 「…」


 と、答えなかった…


 そして、答えないことが、肯定を意味した…


 答えないことで、正造の発言を認めたことになった…


 「…でも、たぶん、そうですよ…」


 と、正造が、笑いながら、続けた…


 「…えっ?…」


 と、米沢京子が、驚いた…


 「…美人は、武器ですよ…」


 「…武器?…」


 「…そうです…」


 「…」


 「…顔が、いいのも、武器…頭がいいのも、武器…お金があるのも、武器…他人様が、持っていないものを、持っていれば、それは、誰でも、武器になります…」


 「…」


 「…そして、父が、米沢さんを、援助したのは、米沢さんが、その武器を持っていたから…それが、たぶん、大きい…」


 「…」


 「…もちろん、米沢さんが、お金に困っていたのも、あります…でも、言葉は悪いが、武器を持っているアナタを援助すれば、将来、米倉の役に立つ…そう思っていたに、違いません…」


 「…米倉の役に立つ…」


 「…そうです…誰もが、下心がなければ、援助は、しない…父の下心は、援助した人間が、いずれ、米倉のために、役に立ってくれること…それが、すべてです…」


 「…米倉の役に立つ?…」


 「…別に、父は、アナタに男女の関係は、求めていませんよ…」


 正造が、笑った…


 「…美人の欠点は、自分のルックスに自信を持ち過ぎることです…」


 「…」


 「…だから、周りが、見えなくなる…自分に自信を持ち過ぎて、周りが、見えなくなる…」


 「…それは、どういうことですか?…」


 私は、口を挟んだ…


 ホントは、口を挟んでは、いけないのかも、しれないが、口を挟んで、しまった…


 正造の真意が、聞きたかったからだ…


 すると、正造が、笑いながら、


 「…ほら、よくあるでしょ?…」


 と、笑って、言った…


 「…なにが、よくあるんですか?…」


 と、私。


 「…米沢さんも、高見さんも、美人だから、この際、言いますが、例えば、二人を、昔、好きだった男が、いると、します…」


 「…」


 「…それが、先日、数年振りに会ったと、します。失礼ですが、米沢さんも、高見さんも、まだ結婚していない…だから、あの男は、昔、私を好きだったから、もし、まだ、結婚していなかったら、付き合っても、いいかなとか、もしかしたら、結婚してあげても、いいかなと、考える…」


 「…」


 「…でも、その男に言わせれば、たぶん、こう言います…たしかに、米沢さんも、高見さんも、美人で、キレイだけれども、オレも、あの後、同じような美人を何人も見たよ、とか、あるいは、もっと、自分に合った女性と、結婚したから、もういいよ、とか、言われる…」


 正造が、言うと、すかさず、米沢京子が、


 「…それ、もしかしたら、正造さんのこと?…」


 と、突っ込んだ…


 笑いながら、突っ込んだ…


 「…バレましたか?…」


 正造が、笑った…


 「…でも、正造さんの言うことは、わかる…」


 と、米沢京子が、言った…


 真顔で、言った…


 「…男でも、女でも、そんなことは、ありふれている…」


 米沢京子が、しんみりと、言う…


 「…正造さんが、言うように、ルックスが、いいから、自分に自信を持つのは、構わないけれども、それが、空回りというか…自信が、ありすぎて、正造さんが、言うように、自分が、昔、相手にしなかった男や、女でも、自分の都合で、今は、付き合って、やってもいい、とか、結婚して、やっても、いいとか、言っても、大抵が、異性が、相手にしない…なにより、自分の都合で、そんなことを、言い出した、その人間の、おおげさに言えば、本性を見抜かれているし、そんな人間は、別に、もっと、いい異性を見つければ、そっちへ行くと、思われている…」


 米沢京子が、言う…


 真顔で、言う…


 冷静に、指摘する…


 私は、それを、見て、この米沢京子は、あらためて、お水だと、思った…


 男女の関係を冷静に、観察している…


 もちろん、私にも、同じことを、言えるが、この米沢京子が、言う方が、説得力がある…


 ミニスカで、網タイツを履いた、美人で、色っぽい米沢京子の方が、説得力がある(笑)…


 そういうことだ…


 そして、その後だ…


 その後に、正造が、


 「…透(とおる)の場合も、もしかしたら、それに当てはまるかも…」


 と、言った…


 いきなり、言った…


 「…なにが、当てはまるの?…」


 と、米沢京子。


 「…透(とおる)が、好子と離婚した原因だよ…」


 「…透(とおる)さんって、水野グループ会長の息子さん?…」


 「…そうだ…」


 「…その透(とおる)さんも、当てはまるって、どういうこと?…」


 「…透(とおる)が、好子と離婚した原因…それは、もしかしたら、この高見さんが、原因かも?…」


 「…どうして、私なんですか?…」


 私は、声を上げた…


 それまで、黙って、二人のやりとりを聞いていた私は、声を上げた…


 「…好子と高見さんは、ほぼ同じ顔…姉妹レベルで、似ている…」


 「…」


 「…だから、透(とおる)も、つい、比べてしまう…つい、無意識に比べてしまう…どっちが、いいか、比べてしまう…」


 「…そんな…」


 「…同じ顔をしているのだから、比べてしまうのも、無理はない…」


 「…」


 「…まあ、離婚の原因が、高見さんにあると、しても、高見さんに、罪はない…」


 「…」


 「…ただ、出会ってしまっただけ…それだけだ…」


 正造が、意味深に言う…


 「…そして、それを、言えば、最初に、高見さんを、家に招いたのは、このボク…だから、原因は、すべて、このボクかも、しれない…」


 正造が、苦笑いを浮かべながら、言った…


 私は、なんて言えば、いいか、わからなかった…


 だから、黙った…


 なにも、言わなかった…


 ただ、そんなことは、考えなかった…


 そんなことは、これまで、考えたことも、なかった…


 だから、困った…


 どうして、いいか、わからず、困った…


 そして、そんな私を見て、


 「…思い出した!…」


 と、いきなり、大きな声で、米沢京子が、声を出した…


 「…半年、ちょっと、前に、米倉と水野の御曹司たちの結婚式を、テレビやネットで、見た!…」


 と、いきなり、言った…


 「…たしかに、あの米倉好子って、ひとと、高見さんは、似ている!…」


 と、言った…


 それから、


 「…だから?…」


 と、続けた…


 「…あの水野の坊ちゃんは、目移りしちゃたんだ…同じような顔をした美人が、二人、いるから、どっちが、いいか、目移りしちゃったんだ…」


 と、笑った…


 笑って、言った…


 私は、仰天した…


 たしかに、そう言われれば、わかる…


 たしかに、そう言われれば、納得する…


 しかし、私自身は、そんなこと、これっぽっちも考えたことが、なかった…


 まったく、考えたことが、なかった…


 たしかに、顔は、似ているが、生まれが、違う…


 好子さんは、大金持ちのご令嬢…


 片や、私は、平凡なサラリーマンの家庭の娘…


 比較の対象では、ない…


 比べるべくも、ない…


 だから、そんなこと、考えたことが、なかった…


 なかったのだ…


 そして、そんなことを、考えたとき、ふと、気付いた…


 目の前の、この米倉正造と、米沢京子の関係を、だ…


 どう見ても、昨日、今日、知り合ったとは、思えない…


 それほど、親密に映る…


 この米沢京子は、米倉報公会で、正造の父親の平造に、世話になったから、それで、面識があったかも、しれないが、それだけでは、説明が、つかない…


 なぜなら、それだけで、それほど、親密になれるだろうか?


 そう、思ったからだ…


 それゆえ、


 「…アナタたち、随分、仲がいいんですね?…」


 と、言った…


 もちろん、皮肉だ…


 すると、二人が、顔を見合わせた…


 互いに、顔を見合わせて、笑った…


 そして、


 「…正造さんは、うちの店のお客様なの…」


 と、言って、笑った…


 「…うちの店の馴染みのお客様…」


 そう言われて、正造を、見た…


 正造は、照れくさそうにしていた…


 私は、それを、見て、ピンと来た…


 今回の騒動…


 最初から、この正造が、一枚、噛んでいることに、ピンと来た…


 そうでなければ、この米沢京子と、いっしょに、私の前に現れるはずが、ない…


 そんなはずは、ないからだ…


 だから、


 「…正造さん、アナタ、最初から…」


 と、言った…


 つい、口から、出た…


 ホントは、言っては、いけないのかも、しれないが、口から、出た…


 正造は、笑っていた…


 「…今頃、気付きましたか?…」


 と、言って、笑っていた…


 それから、


 「…この前の仕返しです…」


 と、笑った…


 「…この前の仕返しって?…」


 「…嫌だな…もう忘れちゃったんですか?…ボクを思いっきり、ぶん殴ったでしょ? サンドバックにしたでしょ?…」


 言われてみれば、たしかに、そう…


 少しも、間違っていない…


 ただ、目の前の正造は、これまで、そんなこと、露ほども、態度に出さなかった…


 露ほども、怒っているようには、見えなかった…


 だから、忘れていた…


 すっかり、忘れていた…


 「…そのお返しです…」


 正造が、笑って言った…


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