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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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128/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 128

そして、そう言われると、どうして、いいか、わからなかった…


 どう、返答して、いいか、わからなかった…


 まさか、


 「…あのときは、申し訳ありませんでした…私が、どうか、していたんです…」


 と、言って、謝れば、いいが、それで、すむ問題だとは、思えない(苦笑)…


 もし、それで、すむ問題だと、考えるものが、いれば、よほど、自分勝手か、自分に甘いと、思ってしまう…


 あるいは、相手を舐めている…


 あるいは、相手を、甘く見ている証拠…


 だから、そんな、自分勝手に、考えてしまう…


 が、


 さすがに、私は、そんな自分勝手な人間ではない…


 さすがに、私は、そこまで、自分勝手には、なれない…


 だから、どうして、いいか、困った…


 なんて、言って、いいか、悩んだ…


 すると、だ…


 「…どうしました?…」


 と、正造が、笑って、言った…


 「…高見さん、らしくない…」


 「…私らしくないって?…」


 と、私。


 「…高見ちづるらしくない…」


 「…それは、一体…」


 私が、言うと、正造と、米沢京子が、互いに、顔を見合わせて、笑った…


 「…要するに、気が強い、女…」


 「…気が、強い、女って…」


 「…だから、きっと、平造さんも、私を選んだのよ…」


 「…どういう意味ですか?…」


 「…私と高見さんは、似た者同士…ルックスが、いい…ただ、私は、背が高く、自分で、言うのも、なんだけれども、色っぽい…高見さんは、背が、低く、清楚系…でも、中身が、同じ…大差が、ない…ただ、見た目が、違うだけ…同じように、気が強い…」


 「…」


 「…だから、そんな二人を、いっしょの職場に入れて、どんな化学反応を起こすか、見て見たかった…きっと、それが、平造さんの狙いでしょ?…」


 米沢京子が、言った…


 そして、その言葉を聞いた、正造が、


 「…その通りです…」


 と、言って、笑った…


 「…父の狙いは、聞いていませんが、きっと、その通りでしょう…」


 正造が、笑う…


 私は、その言葉を聞いて、なんて言っていいか、わからなかった…


 怒っていいのか?


 笑って、いいのか?


 それが、わからなかった…


 あまりにも、意外な言葉だったからだ…


 だから、なんて、言えば、いいのか、わからなかった…


 そして、それを、もう少し、考えれば、私を褒めているのか?


 それとも、けなしているのか?


 それすら、わからなかった(苦笑)…


 それゆえ、どう反応して、いいのか、わからなかった…


 だから、黙った…


 「…」


 と、黙った…


 そして、それを、見た、米沢京子が、


 「…でも、悔しい…」


 と、いきなり、言った…


 私は、なんのことを、言っているのか、わからなかった…


 なにが、悔しいのか、わからなかった…


 だから、見た…


 眼前の米沢京子を見た…


 すると、だ…


 「…あら、私が、どうして、悔しいって言ったのか、わからないって、顔をしているのね…」


 「…ハイ…」


 「…決まっているでしょ?…」


 「…なにが、決まっているんですか?…」


 「…正造さんの話では、高見さん、このまま、いけば、近い将来、水野グループの後継者と、結婚するわよ…」


 「…えっ!…」


 思わず、声に出してしまった…


 まさか、そんなこと、露ほども、考えたことは、なかった…


 私は、驚いて、正造を見た…


 米沢京子の隣に座った、正造を、見た…


 正造は、笑っていた…


 実に、楽しそうに、笑っていた…


 それを、見て、米沢京子が、


 「…でしょ?…」


 と、正造に、同意を求めた…


 正造は、笑って、頷いた…


 私は、それを、見て、頭に来た…


 なぜ、頭に来たのか?


 私の結婚が、なぜか、私の知らないところで、勝手に進められている気が、したからだ…


 それに、その結婚相手…


 その結婚相手が、よりによって、あの透(とおる)だなんて…


 別に、私は、透(とおる)を、嫌いなわけじゃない…


 ただ、結婚と言うと、話は、別…


 私は、透(とおる)と、結婚するなんて、考えたことが、ない…


 それが、本音…


 透(とおる)を、好きでも、嫌いでもない…


 ただ、透(とおる)と、私が、結婚する未来なんて、考えたことがないだけ…


 想像したこともないだけだった…


 そして、そんな私の思いが、私の表情に出たのだろう…


 「…あら、なんて、顔をしているの? 高見さん?…」


 と、米沢京子が、笑った…


 「…きっと、気付かないのは、当人だけ…高見ちづるだけ…」


 米沢京子が、笑った…


 「…でも、きっと、これは、運命なの…」


 「…運命…」


 「…そう…高見ちづる…アナタが、結婚をしたいとか、したくないとか、関係ない…運命…」


 「…ウソ?…」


 「…それは、私もホントか、どうかは、わからない…ただ、川の水が流れてゆくように、水は、決まったところに流れてゆく…このまま、いけば、水野の坊ちゃんと、結婚する可能性が、高い…そういう流れができている…でしょ?…」


 米沢京子が、笑いながら、隣の正造に、同意を求めた…


 正造は、笑って、なにも、言わなかった…


 否定も、肯定も、しなかった…


 が、


 それが、私には、許せなかった…


 正造が、否定も、肯定もしないことが、許せなかった…


 そして、それは…


 否定も、肯定もしないことは、私には、肯定に見えた…


 私が、透(とおる)と、結婚すると、思っていると、見えた…


 そして、それが、許せなかった…


 なぜか、無性に許せなかった…


 だから、


 「…正造さん、なぜ、黙ってるんですか?…」


 と、怒鳴った…


 「…なぜ、なにも、言わないんですか?…」


 「…だって、ボクには、関係ない…」


 「…関係ない?…」


 「…だって、それは、高見さんと、透(とおる)の問題でしょ? ボクが、口を挟む問題じゃない…」


 正造が、笑って言った…


 と、


 その瞬間、切れた…


 私の気持ちが、ブッツンと、切れた…


 私が、なにか、言う前に、私の手が出た…


 無意識に、正造の横っ面を、平手で、思いっきり、ひっぱたいて、いた…


 バシン…


 と、私が、正造をひっぱたいた音が、店内中に、響いた…


 正造が、驚いた表情で、私を見た…


 私は、すぐに立ち上がって、席を立った…


 「…ひとを、バカにするのも、いい加減にして下さい!…」


 と、怒って、席を立った…


 そして、自分の飲んだコーヒーの分だけ、清算して、店を出た…


 追って来るものは、なかった…


 それが、余計に頭に来た…


 正直、正造に、追いかけてきて、もらいたかった…


 追いかけて、私をひっぱたいても、いい…


 とにかく、追いかけてきて、もらいたかった…


 だから、わざと、ゆっくりと、歩き出した…


 正造が、すぐに、私に追いつくように、わざと、ゆっくりと、歩き出した…


 が、


 正造は、追って来なかった…


 これが、余計に、頭に来た…


 「…なんで、追って来ないの?…」


 私は、心の中で、激怒した…


 「…ここは、普通、追いかけてくるところでしょ?…」


 と、思って、激怒した…


 「…なんで、追いかけて、来ないの?…」


 私は、心の中で、何度も、繰り返した…


 「…早く、追いかけて、来い!…」


 何度も、何度も、思った…


 何度も、何度も、考えた…


 が、


 正造は、追いかけて、来なかった…


 正造は、私を追いかけて、来なかった…


 だから、余計に、頭に来た…


 ホントなら、ここで、急いで、店の中に、戻って、


 「…なんで、私を追いかけて、来ないの!…」


 と、言って、もう一度、殴って、やりたかった…


 もう一度、思いっきり、ひっぱたいて、やりたかった…


 が、


 それは、できない…


 なぜなら、店の中には、米沢京子がいる…


 正造、一人ではない…


 だから、できなかった…


 そして、それを、考えると、余計に頭に来た…


 怒髪天を突くほど、頭に来た…


 だから、最初は、わざと、ゆっくりと、歩いて、いたが、それが、いつのまにか、速足になった…


 いつのまにか、速く歩き出した…


 一刻も、早く、この場から、去りたい…


 そんな気持ちになった…


 なぜだかは、わからない…


 ただ、頭に来ていた…


 自分にも、正造にも、頭に来ていた…


 正造が、追って来ないことに、落胆する、自分にも、頭に来ていた…


 なぜ、正造が、追って来ることに、期待するのか?


 自分で、自分に、問うた…


 やはり、好きだからか?


 そう、思った…


 が、


 そんな私の好きな、正造は、私を追いかけて、来ない…


 美人の米沢京子といる…


 お水の米沢京子といる…


 それを、考えると、余計に、頭に来た…


 それを、考えると、余計に、むしゃくしゃした…


 私は、自分にも、正造にも、そして、米沢京子にも、頭に来ながら、家路に向かった…


 そして、ちょうど、家に着いた頃に、ケータイの電話が、鳴った…


 誰から、だろう…


 着信を見た…


 米倉正造だった…


 私は、急いで、電話に出た…


 「…正造さん?…」


 と、言って、電話を出た…


 が、


 帰って来たのは、笑い声だった…


 「…逃げちゃ、ダメですよ…」


 と、正造が、笑いながら、言ってきた…


 「…私が、いつ、逃げたと言うんです?…」


 私は、大声で、怒鳴った…


 それほど、頭に来た…


 「…いつもです…」


 「…いつも?…」


 「…さっきも、店から逃げたでしょ?…」


 「…ふざけないで、下さい!…」


 大声で、怒鳴りたかったが、グッとこらえた…


 いくら、電話でも、さすがに、怒鳴るのは、マズいと、思ったからだ…


 だから、沈黙した…


 が、


 電話を持つ手は、怒りで、震えていた…


 それほど、頭に来ていた…


 「…高見さん…」


 「…なんですか?…」


 「…運命から、逃げては、ダメです…」


 「…なにが、運命なんですか?…」


 「…透(とおる)との結婚ですよ…」


 その言葉で、さすがに、私の忍耐が、切れた…


 ブチ切れた…


 「…ふざけんな! 私が、どうして、透(とおる)と、結婚しなくちゃ、いけないんだ!…」


 気が付くと、ブチ切れて、叫んでいた…


 「…ふざけんな!…」


 大声で、ブチ切れた…


 が、


 電話の向こうから、


 「…それが、運命です…高見ちづるの運命です…」


 と、返すから、さらに、ブチ切れた…


 「…テメエ! ふざけんな!…」


 と、激怒した…


 それから、さらに、正造を罵倒しようと、したら、ブチっと、電話が切れた…


 私の怒りが、頂点になった…


 思わず、持っていたケータイを、床になげかけたほどだった…


 私が、大声で、怒鳴っていたものだから、母が、いきなり、出てきて、


 「…どうしたの? ちづる? そんな大きな声を出して…」


 と、いうものだから、母に、


 「…だって…」


 と、言った…


 「…だって、なんなの?…」


 母が、優しく聞く…


 いつも、鬼のように、怖い母が、優しく聞く…


 そして、いつのまにか、私は、涙を流していた…


 「…だって…だって…」


 言いながら、涙を流していた…


 ずっと、涙を流し続けていた…


<了>


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