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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 12

私が、勇んで、言うと、目の前の前沢が、驚いた…


 文字通り、目を白黒させて、驚いた…


 それから、


 「…プッ!…」


 と、吹き出した…


 吹き出したのだ…


 私は、驚いた…


 なにより、動揺した…


 「…なにが、おかしいんですか? 私、今、なにか、おかしなことを、言いました?…」


 私が、勇んで言うと、前沢が、


 「…美人が、美人を許せないって…もしかして、それは、高見さんのこと?…」


 と、冗談っぽく言った…


 笑いながら、冗談っぽく言った…


 「…エッ?…」


 私は、唖然としたし、そう前沢に捉えられるとは、思っても、みなかった…


 だから、


 「…」


 と、絶句した…


 絶句した=言葉も出なかった…


 すると、その様子を、見た、前沢が、


 「…もしかして、図星?…」


 と、私をからかうように、聞いた…


 私は、どう答えていいか、わからなかった…


 なんと、言っていいか、わからなかった…


 だから、黙った…


 「…」


 と、黙った…


 が、


 前沢は、すぐに、


 「…冗談…冗談…」


 と、笑いながら、言った…


 「…高見さんに、本気で、受け取られちゃ困る…」


 笑いながら、続ける…


 「…でも、高見さんの言うことも、わかる…」


 「…わかります?…」


 「…学校のクラスでも、職場でも、アイドルは、一人でいい…」


 「…アイドル?…」


 「…そう、アイドルだ…みんなに、チヤホヤされるのは、アイドルだろ?…」


 前沢に、そう言われると、黙って、頷くしか、なかった…


 黙って、首を縦に振るしか、なかった…


 「…それが、アイドルが二人…これは、マズい…」


 前沢が、苦笑する…


 「…マズいですか?…」


 私は、わざと、聞いた…


 「…それは、マズいよ…これまで、自分だけが、クラスや職場で、チヤホヤされてきた…それが、自分と、同じ美人がやってくれば、彼女に、自分のファンが盗られると、思うのかも、しれない…」


 「…自分のファンが、盗られる?…」


 「…まあ、ファンと言うと、大げさだが、例えば、高見さんを、好きで、いつも、見ている…でも、そこに、他の美人が、現れて、今度は、その美人ばかり、見ている男が、いたとする…そうなれば、高見さんは、面白くないだろ?…」


 「…」


 「…つまり、そういうことさ…別に、自分をチヤホヤしてくれなくても、いいと、思っていても、それまで、自分をチヤホヤしてくれた男たちが、今度は、別の美人をチヤホヤし出したら、誰でも、気分は、良くないものだよ…」


 「…失礼ですが、そんな経験が、おありなんですか?…」


 「…ボク? …それは、ないよ…ただ、ボクも、これまで、色々な職場を、見た…だから、わかる…」


 「…わかる?…」


 「…人間は、経験だよ…高見さん…」


 「…経験?…」


 「…他人から、どんな話を聞いても、イマイチ、納得できないというか…そんな経験がなければ、聞いても、ホントにそうなのかな? と、思ってしまう…実際、見たことが、ないから、それも、しょうもないと、思うけれど…」


 「…」


 「…でも、似たような経験が、あると、話を聞いても、納得する…自分も、かつて、そんな光景を見たことがあると、納得する…そういうものだ…」


 「…」


 「…今は、美人を例に挙げたが、若い新人の女のコも同じでしょ?…」


 「…新人の女のコ?…」


 「…職場にやって来る新人の女のコ…こう言っちゃ、失礼だけれども、とりたてて、美人でも、なんでもない女のコでも、ただ若いというだけで、周囲から、チヤホヤされる…」


 「…」


 「…でも、大抵の職場は、毎年、新しい新人が、入って来る…だから、すぐに、チヤホヤされなくなる…でも、当人にとっては、それが、面白くない…それが、態度に現れる…」


 「…態度に現れる?…」


 「…そう、態度に現れる…今度の新人が、おとなしければ、あからさまに、皮肉を言ったり、イジメたり、態度に現れる…それを、見て、内心、ひどいなと、思ったし、同じ職場にいる若い男は、彼女の本性を見たと、思って、誰も彼女に手を出さない…手を出すのは、他の職場の男だったり、取引先の納入業者だったり、要は、彼女と普段、いっしょに、いない連中ばかり…それは、そうだろ? なにもしていない新人をイジメる姿を見れば、誰も、彼女に手を出さないよ…」


 前沢が笑う…


 たしかに、そうだろう…


 そんな場面を見れば、男は、引く(苦笑)…


 まだ、結婚をしていない、若い男は、間違いなく、結婚候補から、外す…


 当たり前のことだ…


 そんな性格の悪い女といっしょになれば、どんな結婚生活が、待っているか?


 誰にも、わかる(苦笑)…


 わからないのは、本人のみ…


 本人を除けば、大抵は、わかる…


 大抵と言ったのは、稀にわからないものが、いるから…


 ただ、そのわからないものは、やはり、同じように性格が悪いから…


 だから、わからない…


 あるいは、惹かれるから…


 同じように、性格に難のある者同士だから、惹かれる(苦笑)…


 そういうことだ…


 私は、思った…


 思ったのだ…


 そして、それが、表情に現れたのだろう…


 「…高見さんは、ボクが言ったことを、わかってくれたみたいで、嬉しいよ…」


 と、前沢が言った…


 「…嬉しい?…」


 「…そう、嬉しい…」


 「…どうして、嬉しいんですか?…」


 「…ボクが言ったことを、わかってくれたからだよ…」


 「…」


 「…稀にだが、どんなに言っても、わからないものが、いる…大抵は、若いから、仕方がないとも、思うんだが、稀に歳を取っていても、わからないものも、いる…」


 前沢が、憤慨して、言う…


 「…歳を取っていても…」


 「…要するに、経験だよ…高見さん…」


 「…経験…」


 「…四十歳になろうと、五十歳になろうと、そんな経験がない…だから、わからない…だから、実感が沸かない…」


 「…」


 「…それゆえ、糠に釘というか…いくら、話しても反応がない…それこそ、テレビや漫画を見た気分なんだろ? …そんな経験をしたこともなければ、聞いたこともない…」


 「…」


 「…だから、話は変わるが、最近になって、いい歳をした転職希望者は、最低でも、二社以上、他の会社に在籍した経験が、なければ、採用しないと、公言する企業が、現れたが、その気持ちは、わかる…」


 「…わかる?…」


 「…うん、わかる…今の美人や、新人の女のコの話じゃないが、そんなことも、経験してないから、わからないものも、いる…」


 「…」


 「…でも、歳をとって、それじゃ、困る…だから、ある程度経験豊富な人材を、企業が、求めるんだろ? …一社だけの経験では、難しいからね…」


 前沢が、言う…


 したり顔で言う…


 そして、そう前沢に言われると、こちらも、前沢に頷くしか、なかった…


 前沢の意見に同意するしか、なかった…


 たしかに、前沢の言うことは、わかる…


 いくら、話しても、わからない人間は、この世にいる…


 いわゆる、バカの壁ではないが、明らかに、存在する…


 そういう人間は、大概、経験がないか、自分だけ、特別だと、考えるのか?


 そのどちらか?


 それが、多い…


 例えば、前沢が例に挙げた、会社の昇進が、よい例…


 高卒でも、大卒でも、出世できるのは、一握り…


 例えば、課長になれるのが、五人に一人だとすれば、問題なく、自分が、その一人に入れると思う…


 そして、その根拠に例えば、大卒なら、いい大学を出ていたりすれば、まだ問題ない…


 納得できる…


 あるいは、高卒でも、大卒でも、与えられた仕事を、こなせれば、問題ない…


 まだ、納得できる…


 が、


 なんの根拠もなく、自分は、出世すると、断言する人間が、稀にいる…


 これには、驚くが、正直、いるのだ…


 これには、驚きしか、ない…


 しかも、


 しかも、だ…


 それが、高卒や、偏差値の低い大卒ならば、仕方がない…


 頭が悪いと思うからだ…


 だから、仕方がない…


 納得する…


 が、


 しかしながら、稀に偏差値の高い大学を出ても、同じような人間が、いる…


 仕事が、まるで、できなくても、自分は、将来出世すると、根拠のない自信を持っている、人間が、稀にいる…


 私は、最初、そんな人間を見たとき、どうしてだか、わからなかった…


 なぜ、目の前の仕事が、できないのにも、関わらず、根拠のない自信を持っているのか、わからなかった…


 文字通り、謎だった…


 が、


 時間が経って、自分にも、わかってきた…


 要するに、自分に甘いのだ…


 とんでもなく、甘いのだ…


 あるいは、


 自分の評価が、とんでもなく高いのだ…


 だから、なにがあっても、自分は、大丈夫…


 自分は、出世できると、考える…


 それが、答えだと、思った…


 あるいは、


 それが、この手のタイプの思考形態だと、思った…


 そして、それは、なにも、出世に限った話ではない…


 例えば、モテ具合も同じ…


 同じだ…


 まったくの平凡な容姿しか、持たなくても、稀に、自分は、モテると、勘違いする人間がいる…


 これは、男女とも、いる…


 女の場合は、ハッキリ言えば、やらせてくれる(苦笑)…


 男が頼めば、簡単にやらせてくれる…


 セックスさせてくれる…


 だから、それが、男の間で、噂になり、多くの男から、口説かれることで、平凡な容姿しか、持たぬ女でも、自分はモテると、勘違いする…


 よくある、ケースだ(苦笑)…


 しかしながら、このケースは、まだ、納得できる…


 モテると勘違いする理由が、明らかだからだ…


 が、


これも、仕事で言った場合と同じく、なんの根拠もないのに、自分は、モテると、思いこんでいる男女が、稀にいる…


 心の底から、モテると、勘違いしている男女が、稀にいる…


 要するに、これもまた、仕事の場合と同じく、自分の評価が、異常に高いのだ…


 なんの根拠もなく、高いのだ…


 そして、それを、見ると、いわゆる、自分が、自分にする評価…


 いわゆる、自己評価と、他人が、する評価は、なんの関係もないことがわかる…


 まったく、なんの関係もないことが、わかる(笑)…


 ただ、現実は、残酷だ…


 時間が経てば、やがて、現実が、その人間の評価を、教えてくれる…


 仕事ができない人間は、どんなによい大学を出ても、出世は、難しいし、仮に出世できたとしても、それは、小さな会社だから…


 いわゆる、大企業ではないから、出世できたに過ぎない…


 仮に、その小さな会社が、倒産したりすれば、たちまち転職市場に放り出され、仮に他社で、雇ってもらえても、使い物にならないのが、すぐにバレる…


 そういうものだ…


 評価とは、そういうものだからだ…


 そして、それに、年齢もまた、関係がない…


 二十代の若い子が、わかることでも、稀に五十代のオジサンや、オバサンでも、わからないものがいる…


 勉強でも、年齢でもない…


 それ以外の能力なのだろう…


 私は、前沢と、話しながら、そんなことを、思った…


 思ったのだ…


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