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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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117/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 117

だが、そんなことを、言っても仕方がない…


 そんなことを、考えても仕方がない…


 それは、いまさら…


 いまさらと、いうヤツだ…


 いまさら言っても、仕方がないというヤツだ…


 私は、思った…


 私は、考えた…


 ホントは、私のする役目は、好子さんが、する役目だと、思ったが、今さら、そんなことを、言っても、仕方がない…


 キッチンから、二階の自室に、戻って、考えた…


 そして、ベッドに横になりながら、スマホを見た…


 これから、透(とおる)に、連絡をしようか、どうか、スマホを眺めながら、考えた…


 やはり、これから、透(とおる)に、連絡するべきだろうか?

 

 ベッドに、横になりながら、スマホを見て、考える…


 すでに、好子さんからは、透(とおる)のスマホの番号を聞いた…


 いや、


 そうでは、ない…


 私は、たしか、透(とおる)の電話番号を知っていた…


 何度も、この部屋で、透(とおる)と、話したことがある…


 だから、今さら、透(とおる)の電話番号を聞く、必要もなかった…


 すっかり、忘れていた!…


 そして、忘れていたのは、なぜか?


 考えた…


 それは、話が、大きくなり過ぎたからだ…


 透(とおる)が、サウジアラビア政府と、共同で、サウジアラビアで、水野と組んで、なにか、大きなプロジェクトをする…


 そんな、大事になったからだ…


 だから、私は、遠慮して、透(とおる)に、連絡しなかった…


 いや、


 無意識に、透(とおる)から、遠ざかった…


 なぜなら、私の出る幕では、ないからだ…


 サウジアラビア政府と、水野が、組んで、そんな大きなプロジェクトをするなんて、私の手の届くことではない…


 あらためて、透(とおる)との身分の差をいうか…


 とにかく、身分違いを実感した…


 私とは、別の世界の人間であることを、実感した…


 そして、それを、思えば、このまま、私が、フェードアウトするのが、一番だと、気付いた…


 フェードアウト=消えるのが、一番だと、気付いた…


 消えるというのは、これ以上、彼らに関わらないこと…


 好子さんと、透(とおる)に、連絡をすることを、約束したが、無視するのが、一番ではないか?


 そう、気付いた…


 無視して、おけば、そのうちに、電話が来るだろう…


 だが、それも、無視すれば、やがて、私に連絡をすることも、なくなるだろう…


 そうすれば、やがて、私を相手にしなくなる…


 そう、気付いた…


 好子さんには、悪いが、そうするのが、一番だと、気付いた…


 そうして、おいて、徐々に、好子さんから、距離を取れば、いい…


 好子さんから、距離をとって、連絡を断てば、いい…


 そうすることで、私と好子さんの距離が、開き、いつのまにか、私がフェードアウトする…


 私が、好子さんたちの前から、消えると、考えたのだ…


 率直に、言って、これ以上、彼ら、彼女らと、関わるべきでは、ない…


 所詮は、身分違いの相手…


 いつまでも、関わるべきでは、ない…


 彼ら、彼女らと、私は、住む世界が、違うのだ…


 だから、さっさと、私が、身を引くべきだ…


 あらためて、思った…


 もう、何度、考えたか、わからないことだが、あらためて、思った…


 そして、なにより、そうしなければ、私が、傷付く…


 私、高見ちづるが、傷付く…


 彼ら、彼女らと、私が、一生、付き合えるわけはない…


 そんなことが、わからないほど、私は、愚かでは、ない…


 だが、


 現実は、今も付き合っている(苦笑)…


 しかしながら、いつまでも、この関係が、続くわけはない…


 だから、私から、連絡を絶つのが、一番…


 私から、関係を断つのが、一番だと、考えた…


 そうしなければ、私が、誤解する…


 自分も、また、彼ら、彼女らと、結婚できるのでは?


 と、誤解する…


 そして、何度も言うように、それは、誤解…


 誤解だ…


 私が、彼らと、結婚できるわけではない…


 そんなことも、わからず、今の関係を続けて、いけば、婚期も逃す…


 最悪、結婚できなくなるかも、しれない(涙)…


 身分違いの相手とばかり付き合って、その結果、40歳を過ぎて、恋愛も、結婚もできない未来が待っているかも、しれない(涙)…


 そう、思った…


 それゆえ、不義理だが、好子さんと、連絡を断とうと、思った…


 好子さんに、言われた、透(とおる)にも連絡せずに、そのままに、しておこうと、思った…


 そして、そのまま、フェードアウト…


 彼らとの関係を、断つのが、一番だと、気付いた…


 そんなことを、考えていると、昔、学生時代、バイトをした会社を、思い出した…


 なにを、思い出したかと、言えば、その会社で、働いていた、高卒の新入社員の男…


 その男を、思い出した…


 その男は、与えられた仕事が、普通にできるものだから、


 「…オレは、将来、この会社で、課長になるんだ!…」


 と、いうことを、態度で、表していた…


 さすがに、口には、しないが、態度に出ていた(笑)…


 しかしながら、それは、簡単なことだから…


 その男は、仕事の飲み込みも早く、手も早いから、自分は、仕事ができると、豪語していた…


 だが、当然、上に上がる=課長になるのと、それは、違う…


 上に上がるには、頭が必要…


 頭=学歴が、必要…


 しかしながら、それが、理解できないでいた…


 後になって、風の噂で知ったが、当然、課長になれなかった(爆笑)…


 当たり前のことだ…


 周囲の大人は、当然、その男が、課長になれるわけはないと、知っていたが、誰もなにも、言わなかった…


 相手にするのが、嫌だったのだろう(爆笑)…


 私は、今、それを、思い出した…


 そして、なぜ、今、それを、思い出したのか?


 それは、今、私が、置かれた状況が、その男と同じだからだ…


 私が、その男と同じく、自分の実力がわからない…


 その男が、実力通り、課長になれなかったのと、同じように、私が、お金持ちと、結婚できるわけはないからだ…


 そんな当たり前のことが、わからなくなってくる(涙)…


 自分のことだと、わからなくなってくる(涙)…


 そう、気付いた…


 それゆえ、距離を置こうと、思った…


 好子さんには、悪いが、距離を置こうと思った…


 好子さんには、透(とおる)に、連絡をすると、言ったが、それも、止め、距離を置こうと、思った…


 距離を置く=なにも、しないということだ…


 そうしようと、心に、決めた…



 翌日、会社に出社した…


 正直、あまり、会社に行きたくなかった…


 まだ、入社して、一か月あまりだが、会社に馴染めていない…


 こんなことは、初めてと、言いたいが、実は、違う…


 大学を出て、就職したのが、前に勤めていた金崎実業、一社だけだが、学生時代は、それなりに、バイトをした…


 それは、以前も、書いたが、父が、学生時代は、さまざまな職場を体験しておきなさいと、言ったからだ…


 父は、苦労人…


 さまざまな会社を体験したそうだ…


 父が、学生時代の頃は、真逆に、教師の中には、学生時代に、バイトをするのは、反対だと、主張した教師もいたと、言っていた…


 その教師が、主張するには、


 「…高校や大学を出れば、嫌でも、働かなければ、ならない…だから、せめて、学生時代は、働かなくて、いいじゃないか?…」


 と、いうものだった…


 それを、聞いた父は、当時、一理あると、思ったそうだ…


 父は、六十代…

 

 父が、就職した当時は、まだ、終身雇用制が、生きていた時代だ…


 少しでも、勉強して、いい大学に入れば、いい企業に入り、安定した人生を歩むことが、できると、誰もが、信じた時代でも、あった…


 が、


 それは、父が、就職して、まもなく、崩れ始めた…


 父が、就職して、まもなくバブル景気が、始まり、それが、数年で、呆気なく、弾けた…


 そして、その後、日本の失われた三十年が、始まって、今に至る…


 つまりは、父の社会人人生は、大半が、日本の失われた三十年と、重なったわけだ…


 父もまた、ご多分に漏れず、リストラ、転職を繰り返してきた…


 つまりは、自分の人生が、日本の失われた三十年に、翻弄されたわけだ…


 それゆえ、父は、私に、


 「…ちづる…学生時代は、色々なところで、バイトをして、少しでも、社会を見ておきなさい…」


 と、私にアドバイスしたわけだ…


 同時に、


 「…ちづる…ボクの若い頃は、女性は、専業主婦で、家を守っていれば、いいと、言われていたが、今は、そういう時代じゃ、なくなった…ちづるも、将来、結婚しても、しなくても、どこかで、働くようだ…だからこそ、学生時代に、さまざまなバイトをして、いろいろな職場を見ておきなさい…世の中、いろいろなひとや、いろいろな職場があるな…と、実感するから…」


 と、父が、言った…


 そして、なにより、父が、言うのは、経験の重要性だった…


 いくら、誰かの話に、真剣に耳に傾けても、実際に、自分が、経験しなければ、実感できないと、いうことだった…


 事実、父も、若い頃は、学生時代の友人たちと、付き合って、自分の経験を話しても、誰一人、納得できないようだったという…


 それは、経験していないことだから、当たり前のことだった…


 ただ、友人の話だけを、聞いても、イマイチ、実感が沸かない…


 当たり前のことだった…


 それゆえ、父は、私に、さまざまな経験を積みなさいと、事あるごとに、口を酸っぱくして、言った…


 それが、いずれ、生きていれば、どこかで、役に立つと、言っていた…


 私は、事実、父の言う通りにした…


 学生時代、バイトを転々とした…


 さすがに、高校時代は、バイトをほとんど、しなかったが、大学時代は、それなりにした…


 その結果、いい職場だなと、思った職場もあったが、一日、体験しただけで、辞めたいと、いう職場もあった…


 話が、長くなったが、私が、言いたかったのは、今、勤め出した、水野グループのM商会は、一か月勤めても、正直、馴染めないが、学生時代にしたバイトでは、そんなことも、何度もあったと、言いたかったのだ…


 しかし、学生時代のバイトと、今のM商会の違いは、バイトと正社員の違い…


 バイトなら、数日で、私には、この職場は、合わないようなので、と、言って、辞めることが、できたが、正社員では、それが、できない…


 それが、最大の違い…


 まして、M商会は、水野グループの総帥である、水野良平の紹介…


 おいそれと、辞められるわけは、なかった(涙)…


 それゆえ、私は、仕方なく、心に鞭を打って、出社した(爆笑)…


 率直に言って、会社に行くのは、気が重かったが、私は、子供ではない…


 子供の登校拒否ではないのだから、三十を過ぎた、大人の女の私が、簡単に出社拒否など、できるわけは、なかった…


 それゆえ、覚悟を決めて、出社した…


 が、


 出社した途端、後悔した…


 なぜなら、職場は、てんやわんやの大騒動の最中だったからだった…


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