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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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115/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 115

透(とおる)が、私の方が、好子さんより好きって…


 いくらなんでも、それは、ありえない…


 なぜなら、好子さんは、透(とおる)と、幼馴染…


 昨日、今日、知り合った私とは、知り合った年月が違う…


 なにより、好子さんは、お金持ち…


 平凡な庶民出身の私とは、違う…


 いや、


 違うのでは、ない…


 比較にならないほど、違う…


 当たり前のことだ…


 それゆえ、


 「…好子さん、そんなバカなことは…」


 と、言った…


 言わざるを得なかった…


 「…バカなことじゃ、ないわ…」


 「…バカなことじゃ、ない?…」


 「…そうよ…これは、真実…ホントのことよ…」


 「…」


 「…透(とおる)と、いっしょに、暮らしたから、よくわかった…透(とおる)は、私より、高見さんが、好きなの…」


 「…ウソ?…」


 「…ホント…」


 「…だって、透(とおる)さんは、好子さんと、幼馴染で、子供の頃から、好子さんに、憧れていたんじゃ…」


 「…それは、そうだけれども、今、好きなのは、高見さんの方…」


 「…今、好きなのは…ですか?…」


 「…きっと、高見さんには、失礼だけれども、高見さんの方が、私より、新鮮だし、私より、魅力があるのかも、しれない…」


 「…新鮮…」


 「…そうよ…だって、高見さんは、透(とおる)と、知り合って、まだ一年も経たないし、それに、比べ、私は、子供の頃から、知っている…だから、そういう意味では、私に、新鮮さは、ない…」


 「…」


 「…それに、高見さんの魅力?…」


 「…私の魅力って?…」


 「…高見さん、頼れるのよ…」


 「…頼れる?…」


 「…男でも、女でも、相談しやすい人間って、いるでしょ? こういっては、高見さんに、失礼だけれども、学歴は、関係ない…頭の良し悪しは、関係ない…ただ、頼れるっていうか…そんな感じ…たぶん、透(とおる)から、見た、高見さんって、それなのよ…」


 「…ウソ?…」


 「…ホント…」


 そんなこと、思っても、みなかった…


 そんなこと、考えてみなかった…


 「…たぶん、私と高見さんが、同じ顔だから、余計に、透(とおる)も、私と、高見さんを、比べちゃうんだと、思う…同じ顔だから…当たり前よね…」


 「…それは、そうですが…」


 「…それに、高見さんを新鮮っていったのは、透(とおる)は、私と幼馴染だから、互いに、相手のことは、知り尽くしているというか…それゆえ、新鮮さがない…」


 「…」


 「…誰でも、そうだけれども、知り尽くしたものより、新しいものの方が、魅力的に映る…」


 「…」


 「…だから、余計に、高見さんに、惹かれたんだと、思う…」


 「…」


 「…まあ、悔しいと言えば、悔しいけれど…」


 好子さんが、笑った…


 が、


 どこか、刺がある笑いというか…


 正直、対応に、困った(苦笑)…


 これでは、まるで、私が、好子さんの恋のライバル(笑)…


 そのライバルに、褒められている…


 それゆえ、どうして、いいか、わかなかった…


 ただ、好子さんとの話から、あらためて、なぜ、水野良平が、私から、透(とおる)を、説得させようとするのか、わかった…


 ぶっちゃけ、男も女も、その男と女が、好きな異性から、説得させるのが、一番、効果がある…


 誰もが、自分が、好きな相手の言うことなら、聞くからだ(笑)…


 だから、その相手が、好きな異性に説得させるのが、一番…


 一番、効果的だ…


 私は、思った…


 私は、考えた…


 きっと、それが、わかっているから、あの良平も、私に透(とおる)を説得させようと、しているのだろう…


 あらためて、思った…


 そして、私が、そんなことを、考えていると、


 「…高見さん…」


 と、好子さんが、私の名前を呼んだ…


 「…ハイ…なんでしょうか?…」


 「…透(とおる)に、会いたい?…」


 「…それは?…」


 「…会って、透(とおる)を、説得するんでしょ?…」


 「…どうして、それを?…」


 「…さっき、高見さんの口から、良平おじ様の名前が出たから…」


 好子さんが、笑う…


 「…今、どうして、高見さんから、電話があったのか? ピンと来たの…」


 そう、言われると、どうして、いいか、わからなかった…


 図星だったからだ…


 「…きっと、高見さんの話なら、聞いてくれる…」


 「…」


 「…なんて、ことは、ないでしょうけれども、私より、高見さんの方が、話ができると思うわ…」


 好子さんが、笑いながら、言った…


 正直、こんなふうに、言われると、どう答えていいか、わからなかった…


 だから、黙った…


 「…」


 と、答えなかった…


 代わりに、


 「…好子さん、透(とおる)さんが、今、どこにいるか、知っているんですか?…」


 と、聞いた…


 話を変えようとしたのだ…


 「…大体は、ね…」


 即答した…


 「…では、好子さんが、会って、透(とおる)さんを、説得すれば…」


 「…私じゃ、ダメ!…」


 「…」


 「…高見さんじゃ、なければ…」


 そう言われる、どう返答して、いいか、わからなかった…


 ただ、困った…


 困ったのだ…


 「…まあ、とにかく、高見さん、一度、透(とおる)に会って…」


 好子さんが、言う…


 「…透(とおる)に、会って、話してみて…」


 私は、


 「…ハイ…」


 と、言おうか、どうか、迷った…


 「…ハイ…」


 と、言うのも、おかしいし、言わないのも、おかしい…


 そう、考えたからだ…


 だから、どう答えて、いいか、わからなかった…


 だから、


 「…」


 と、黙った…


 途端に、


 「…ちゃんと、聞いてる? 高見ちづる…」


 と、好子さんが、私を叱った…


 私は、すぐに、


 「…ハイ…聞いてます…」


 と、答えた…


 「…だったら、よろしい…」


 好子さんは、わざと、居丈高に、言った…


 それから、


 「…プッ!…」


 と、吹き出した…


 そして、その後、いかにも、楽しそうに、笑った…


 爆笑した…


 私は、戸惑ったが、なんと、言っていいか、わからなかった…


 だから、黙った…


 「…」


 と、なにも、言わなかった…


 好子さんは、笑った後、一転して、真面目な口調で、


 「…とにかく、高見さん…透(とおる)に会ってみて…」


 と、言った…


 「…高見さんが、その役目は、嫌なのは、わかる…でも、それでも、会ってみて…」


 「…」


 「…これは、命令よ…高見ちづる…」


 「…命令?…」


 「…そうよ…業務命令…」


 「…えっ? 業務命令?…」


 「…だって、今、高見さん、良平おじ様の率いる水野グループの社員でしょ? そのおじ様が、高見さんに、透(とおる)に会ってくれと、言ったわけでしょ? それが、業務命令じゃなくて、なんだと言うの…」


 そう、言われて、絶句した…


 文字通り、絶句した…


 たしかに、言われてみれば、その通り…


 その通りだった…


 が、


 考えも、しなかった…


 そんなこと、考えも、しなかった…


 我ながら、トロいと言うか…


 大トロ…


 トロ過ぎる(苦笑)…


 私は、今、水野良平の紹介で、水野グループのM商会に、転職した…


 それを、考えれば、水野良平の依頼を断ることなど、できなかった…


 当たり前だった…


 しかし、そんな当たり前のことに、気付かなかったなんて…


 相変わらず、トロい…


 相変わらず、鈍いというか…


 自分で、自分自身に呆れる…


 そんなことも、気付かなかった自分自身に、呆れた…


 そして、そんなことを、考えていると、


 「…高見さん、ようやく、自分の置かれた立場に、気付いた?…」


 と、好子さんが、電話の向こう側から、笑いながら、言う…


 私は、


 「…ハイ…」


 と、言わざるを得なかった…


 「…だったら、よろしい…」


 好子さんが、電話の向こう側から、わざと、偉そうに、言う…


 私は、


 「…わかりました…」


 と、言わざるを得なかった…


 当たり前だった…


 つくづく、自分が、情けなかった…


 こんなことも、気付かなかった自分が、情けなかった…


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