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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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114/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 114

そして、あらためて、正造の狙いを考えた…


 やはり、それは、水野良平の怒りを鎮めるため…


 水野と、米倉の関係の修復を狙ったものだろう…


 そう、考えた…


 平造は、やり過ぎた…


 下手をすれば、水野が、窮地に陥るかも、しれない…


 それほどの大きなことを、やり過ぎた…


 単純にひとを介して、透(とおる)を、サウジアラビア政府の関係者と、会わせただけだが、それが、結果的に、水野を窮地に追い込ませるかも、しれない…


 そんな危険を作ったとも。言える…


 それゆえ、正造は、動いた…


 とりあえず、会社に出社しないで、行方をくらましている透(とおる)に、好子さんから、電話をさせた…


 その方が、透(とおる)も、話しやすいと思ったのかも、しれない…


 男同士の方が、話しやすい場合もあるし、男と女の方が、話しやすい場合もある…


 今回の場合は、好子さんの方が、適任と考えたのかも、しれない…


 互いに結婚して、離婚したが、結婚した期間は、わずか、半年…


 しかも、二人とも、憎みあって離婚したわけでも、なんでもないからだ…


 だから、互いにしこりはない…


 感情のもつれはない…


 それゆえ、適任と、考えたのかも、しれない…


 なにより、透(とおる)は、幼いときから、好子さんに、憧れていた…


 いかに、結婚して、離婚しても、その感情が、消えることはないだろう…


 それに、何度も、繰り返すが、二人の結婚期間は、わずか、半年…


 半年間、結婚していただけ…


 それゆえ、憎みあうほど、関係が、悪化するとは、考えにくい…


 結婚して、憎みあって、別れるのは、もっと、長い間、結婚期間があった場合…


 どうして、こんなひとと結婚したんだろ?


 と、お互いが、考えるほど、憎みあって、別れる(爆笑)…


 結婚が、長いだけに、互いの悪いところを、それこそ、嫌というほど、見たからだろう…


 それゆえ、憎みあう…


 もはや、見方を変えれば、喜劇だ…


 当人たちは、悲劇かも、しれないが、傍から見れば、喜劇だ…


 あれほど、好き合って結婚したのが、憎しみ会って、別れる…


 これが、喜劇でなくて、なんだと言うのか?


 私は、思った…


 私は、考えた…


 そして、私が、そんなことを、思っていると、


 「…バカよね…」


 と、電話の向こう側から、好子さんが、呆れたように、笑った…


 「…バカよね…ホント、バカ…」


 と、笑う…


 「…バカ? どうして、バカなんですか?…」


 「…だって、自分の会社の大きさが、わからないなんて、バカでしょ?…」


 「…」


 「…水野は、米倉から、比べれば、大きい…3倍は、大きい…」


 「…」


 「…でも、五井から、すれば、全然、小さい…比較にならないほど、小さい…」


 「…五井?…」


 「…そう、五井よ…」


 「…どうして、ここで、五井の名前が出るんですか?…」


 「…仕掛けたのが、五井だからよ…」


 「…えっ?…」


 「…五井が、透(とおる)が、サウジアラビア政府と、共同で、事業をやると言ったことを、仕掛けたのよ…」


 「…でも、それは、好子さんのお父様の紹介じゃ…」


 「…父じゃないわ…」


 「…ウソ? 私は、好子さんのお父様だと、聞いて…」


 「…誰に、聞いたの?…」


 この質問に、私は、答えて、いいか、わからなかった…


 だから、


 「…」


 と、黙った…


 が、


 好子さんが、咎めるような口調で、

 

 「…答えなさい…高見ちづる…」


 と、言うものだから、少し悩んだが、呆気なく、


 「…水野さんです…」


 と、白状した…


 「…良平おじ様?…」


 「…そうです…」


 すると、だ…


 「…おじ様…ずるーい…」


 と、笑った…


 実に、楽しそうに、笑った…


 私は、呆気に取られた…


 ズルいって、一体、なにが、ズルいんだろ?


 わけが、わからなかったからだ…


 それゆえ、


 「…ズルいって、なにが、ズルいんですか?…」


 と、聞いた…


 聞かざるを得なかった…


 「…父は、平造は、たしかに、透(とおる)を、そそのかしたかも、しれないけれども、父の背後には、五井が、いるわ…」


 「…五井がいる?…」


 「…そうよ…父は、頼まれただけ…」


 「…ウソ?…」


 「…ホント…」


 「…」


 「…それを、おじ様が、知らないわけは、ないのに、高見さんに、父が、単独で、透(とおる)を、そそのかしたなんて…だから、ずるいと、言ったの…」


 私は、それを、聞いて、納得した…


 なぜ、良平が、平造に、怒らなかったのか?

 

 納得した…


 透(とおる)を、そそのかしたのは、たしかに、平造だが、平造の背後には、五井が、いる…


 それを、良平は、知っているから、平造に対して、怒らなかった…


 怒りを見せなかったのだと、納得した…


 しかし、なぜ?


 なぜ、五井なんだろ?


 なぜ、ここで、五井の名前が出てきたんだろ?


 それが、謎だった…


 それが、わからなかった…

 

 だから、聞いた…


 なぜ、五井なのか、聞いた…


 「…なぜ、五井なんですか?…」


 と、直球で、聞いた…


 すると、答えは、簡単だった…


 実に、呆気なかった…


 「…五井が、水野を目の敵にしているからよ…」


 「…目の敵?…」


 「…五井の女帝が、良平おじ様の奥様の春子おば様を、目の敵しているからよ…」


 それを、聞いて、思い出した…


 たしか、以前、新造さんが、言っていたことを、思い出した…


 この好子さんの弟の新造さんが、言っていたことを、思い出した…


 たしか、五井の女帝と、水野の奥様は、昔、若い頃に、同じ男を取り合って、それ以来、犬猿の仲だと、言っていたことを、思い出した(爆笑)…


 そして、私が、そんなことを、思い出していると、


 「…五井の女帝…諏訪野和子が、今回の首謀者よ…」


 と、好子さんが、告げた…


 「…首謀者?…」


 「…そう、首謀者よ…今回、透(とおる)に、サウジアラビア政府と、共同で、水野が、事業をやろうと言い出す、きっかけを作った首謀者よ…」


 「…」


 「…五井の女帝の諏訪野和子と、水野の春子おばさまは、天敵…財界で、知らない者は、誰もいないわ…」


 「…」


 「…それで、ちょうど、私が、米倉の…大日産業の今後のことを、五井の若き当主、諏訪野伸明氏に相談していたことが、公になって噂になったときに、五井の女帝も、透(とおる)に接近した…」


 「…透(とおる)さんに、接近…ですか?…」


 「…いわゆる、功名心というか…別れた奥さんの私が、五井の当主に、接近して、いい仲になろうとしているのに、アナタは…と言った…水野も大きいけれども、世間的には、微妙…知る人ぞ知る企業という感じ…だから、サウジアラビア政府と、共同で、大きなことを、やれば、世間の注目を浴びると、けしかけた…」


 「…けしかけた?…」


 「…そう、けしかけた…言葉を変えれば、罠にかけた…」


 「…罠…ですか?…」


 「…そう、罠よ…水野に、そんな体力はない…そんな金はない…サウジアラビア政府と、共同で、そんな大きなプロジェクトを推進すれば、下手をすれば、水野が、倒れる…」


 「…でも、透(とおる)さんは、水野のトップじゃない…トップは、透(とおる)さんのお父様でしょ? だから、透(とおる)さんが、なにを言おうと、決めるのは、お父様じゃ…」


 「…それは、たしかに、そう…高見さんの言う通り…」


 「…だったら、問題ないんじゃ…透(とおる)さんに、決定権は、ないわけだから…」


 「…それは、違う…」


 「…違う? なにが、違うんですか?…」


 「…透(とおる)が、駐日サウジアラビア大使と共同で、記者会見を開いた…水野が、サウジアラビア政府と共同で、事業をすると、断言した…それを、撤回すれば、水野の名前に、傷がつく…なにより、透(とおる)は、水野の次期後継者…その後継者の経歴に、傷が、つく…」


 「…」


 「…そして、たぶん、五井の女帝は、それを、狙ったのよ…」


 「…どういうことですか?…」


 「…いかに、水野が、頑張っても、そんな大事業、水野にできるわけはない…それを、わかっていて、透(とおる)に、そんな話を持ちかけた…つまり、最初から、そんな大事業ゆえに、水野が、途中で、撤回することが、わかっていた…それが、狙い…」


 「…それは、どういうことですか?…」


 「…つまり、透(とおる)に、恥をかかせる…水野に恥をかかせる…それが、狙い…」


 「…ウソ?…」


 「…ホント…」


 「…」


 「…周囲は、五井の女帝の狙いが、わかったから、激怒した…とりわけ、春子おばさまは、怒髪冠を衝く怒りで…」


 「…」


 「…春子おばさまと、五井の女帝の諏訪野和子さんは、犬猿の仲…それだから、五井が、水野の顔に泥を塗るつもりだと、おばさまは、激怒して…」


 そうか…


 それで、わかった…


 あの水野良平が、米倉平造に、怒ってない理由が、あらためて、わかった…


 あくまで、平造は、仲介者…


 本命は、諏訪野和子というわけだ…


 それが、わかっているから、良平は、怒らなかった…


 そんな当たり前のことを、再認識した…


 そして、私が、そんなことを、考えていると、


 「…高見さん…」


 と、好子さんが、言った…


 「…ハイ…なんでしょうか?…」


 「…高見さん…透(とおる)が好き?…」


 いきなり、好子さんが、言った…


 私は、驚いた…


 同時に、なんて、答えていいか、わからなかった…


 それゆえ、


 「…」


 と、答えなかった…


 いや、


 答えられなかった…


 すると、好子さんが、追い打ちをかけた…


 「…答えて、高見ちづる…」


 と、追い打ちをかけた…


 それゆえ、困った…


 どう、答えて、いいか、わからなかった…


 すると、好子さんが、


 「…透(とおる)は、高見さんが、好き…」


 と、言った…


 「…たぶん、私より、高見さんが、好き…」


 と、断言した…


 それから、


 「…それも、私が、透(とおる)と、離婚した原因のひとつ…」


 と、告白した…


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