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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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113/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 113

そして、そんなことを、考えながら、お風呂を出た…


 長風呂は、マズい…


 これ以上、お風呂に入っているのは、マズい…


 先日も、長風呂のし過ぎで、気持ち悪くなり、危うく、吐きかけた(苦笑)…


 気持ちが悪くなって、危うく、吐く寸前になった…


 さすがに、もう一度、それを、繰り返すわけには、いかない…


 なにより、母に見つかるのが、怖い…


 鬼のように、怖い母に、見つかるのが、怖い…


 だから、私は、慌てて、お風呂から、出て、カラダをバスタオルで、拭いて、下着を着ると、自分の部屋に行った…


 自分の部屋で、好子さんに、電話をかけようと、思ったからだ…


 昼間、水野良平は、私に、透(とおる)を、説得させるのに、当たり、好子さんや、兄の正造、あるいは、新造さんに、連絡をするべきだと、言った…


 彼らなら、間違いなく、今、透(とおる)が、どこにいるか、知っているはずだと、言った…


 透(とおる)は、誰よりも、彼ら、3人に、気を許していると、言った…


 水野家の透(とおる)と、米倉家の3人は、幼馴染…


 互いの父親の水野良平と米倉平造が、仲が良かったから、互いに、子供を連れて、互いの家庭に、遊びに行ったからだと、言った…


 それゆえ、透(とおる)と、米倉家の3人は、親戚並みに仲がいい…


 そして、今、会社にも、出社せず、身を隠した透(とおる)と、おそらく、今も連絡を取り合っていると、良平は、言った…


 つまりは、今も、それほど、仲がいいのだろう…


 大人になって、普通は、もうなんの関係が、ないのが、大半だが、仲が、いいのだろう…


 私は、思った…


 私は、考えた…


 私にも、当然、幼馴染がいる…


 近所に住んでいたり、幼い頃は、いっしょに、小学校に通学した幼馴染がいる…


 が、


 当然、今は、なんの関係もない…


 稀に、近所や、地元のスーパーで、見かけることあっても、挨拶をすることがあったり、なかったりする…


 これは、相手次第…


 相手が、久しぶりに会って、会話をせずとも、会釈したりする場合は、こちらも、会釈で返すが、なにも、しないで、無視する場合は、こちらも、無視する…


 そういうことだ…


 つまりは、相手の態度に合わせて、こちらも、態度を変える…


 別の言い方をすれば、それぐらい、幼馴染といっても、距離感がある…


 透(とおる)や、好子さんたちとは、比較にならないほど、距離感がある…


 それゆえ、羨ましい…


 率直に言って、羨ましい…


 私には、そんな親しい幼馴染は、いないからだ…


 そして、それを、言えば、友達もそう…


 友達も、同じだ…


 中学、高校、大学と、学生時代、仲の良かった友人は、いるが、今は、もう、誰とも、付き合いはない…


 もう大学を出て、十年は、過ぎている…


 大学を出た、最初の数年は、仲の良い友人たちと、会社が、休みの夏休みや、冬休みに、集まったが、それも、いつのまにか、自然に消滅した…


 理由は、簡単…


 時々、会って、昔話に花を咲かせるより、より現実を見るというか…


 今、いる、会社の同僚や、今、付き合っている異性との、交際を優先したからだ…


 それゆえ、どうしても、学生時代の友人たちとは、疎遠になる…


 誰もが、そうなのかも、しれない…


 誰もが、同じなのかも、しれない…


 以前、勤めていた金崎実業の同僚に、その話をしたら、自分も、同じだと、笑った…


 自分も、大学を卒業して、最初は、大学時代の友人は、地方出身者が、多くて、会えないから、地元の高校時代の友人たちとは、付き合いがあったが、次期になくなったと、笑った…


 いつのまにか、高校時代の友人たちより、今現在付き合っている会社の同僚や、付き合い出した恋人との時間を優先する…


 その結果、昔の友人たちと、付き合う時間が、なくなり、自然に消滅する…


 そう、笑った…


 その話を、今も、思い出す…


 だからだろう…


 透(とおる)と、好子さん、正造、新造の3人が、今も、仲が良いと聞くと、羨ましくなる…


 私には、そんな仲の良い人間は、誰一人いないからだ…


 だから、羨ましくなる…


 そして、そんなことを、考えながら、好子さんに、電話をした…


 自分のケータイから、米倉好子さんに、連絡をした…


 が、


 いつまで、待っても、好子さんは、電話に出なかった…


 代わりに、流れてきたのは、留守電のメッセージ…


 …ただいま、電話に出ることが、できません…御用のある方は、この後、メッセージを入れて…


 と、流れた…


 これは、想定外のことで、驚いたが、一方で、当たり前のことだとも、思った…


 電話をかければ、相手が、いつも、電話に、出るわけはないからだ(苦笑)…


 そんな、いつも、自分に都合がいいことは、ありえないからだ…


 だから、メッセージが、終わると、


 「…好子さん…米倉好子さんですか? …高見です…高見ちづるです…ご無沙汰しています…また、今度、あらためて、お電話致します…」


 と、言って、電話を切った…


 正直、緊張した…


 電話の留守番メッセージを入れるときは、いつも、緊張する…


 相手が、いないにも、かかわらず、ただ、自分が、一方的に話す…


 そんなことは、誰もが、日常では、ありえないからだ…


 だから、緊張する…


 滅茶苦茶、緊張する…


 そして、メッセージが、入れ終わって、すぐに、連絡があった…


 ケータイが、鳴ったのだ…


 スイッチを押すと、すぐに、


 「…高見さん?…」


 と、いう声が、ケータイから、聞こえてきた…


 私は、満を持した、あるいは、待ちかねた感じで、


 「…ハイ…そうです…高見です…」


 と、慌てて、言った…


 すると、ケータイの向こう側から、


 「…そう、その声…」


 と、実に、楽しそうに、好子さんの声が聞こえてきた…


 「…高見さんの声…私と高見さんは、顔が、そっくりだけれども、高見さんの方が、可愛らしい…高見さんの方が、女優の常盤貴子さんの声に似ている…」


 と、言った…


 これまで、一度も、聞いたことのないことを、言った…


 私は、正直、驚いた…


 これまで、好子さんとは、幾度となく、会話をしたが、そんなことは、一度も、話したことが、なかったからだ…


 だから、驚いた…


 これまで、一度も話したことのないことを、言い出したから、驚いた…


 同時に、これは、なぜ?


 もしかして、誰かに、言われたからでは?


 とも、考えた…


 誰からに、言われたから、これまで、一度も、聞いたことのないことを、言い出した…


 そう、考えるのが、自然だからだ…


 そう、気付いた…


 だから、ストレートに、


 「…好子さん、なんで、いきなり、そんなことを、言い出したんですか?…」


 と、聞いた…


 そして、間髪入れずに、


 「…今まで、一度も、そんなこと、おっしゃったこと、ないじゃないですか?…」


 と、言った…


 すると、少し、間があった…


 少し、逡巡があった…


 きっと、いきなり、私が、そう、突っ込んだから、どう、答えていいか、わからなかったのだろう…


 「…言われたのよ…」


 と、悔しそうに、言った…


 「…言われた? 誰にですか?…」


 「…透(とおる)よ…透(とおる)…」


 思いがけず、透(とおる)の名前が出た…


 待望の名前が出た…


 「…せっかく、こっちが、心配して、透(とおる)に、電話を、かけてやると、いきなり、アイツ、好子と、高見さんは、顔が、そっくりだけれども、高見さんの方が、声が、可愛らしいなと、言って…ホント、頭に来る…二人とも、女優の常盤貴子を小柄にした感じだけれども、声は、高見さんの方が、可愛いと、言って…ホント、失礼なヤツ…」


 電話の向こう側から、好子さんが、むかっ腹を立てていた…


 が、


 どこか、違う…


 なにが、違うのか?


 それは、怒っていても、相手に、本気で、怒ってない…


 言葉は、悪いが、プロレスというか…


 あらかじめ、決まっている中で、怒っている…


 あらかじめ、決まった想定内の中で、怒っている…


 つまりは、相手に対して、甘えがある…


 甘え=馴れ馴れしさがある…


 つまり、それが、幼馴染だからだろう…


 幼馴染ゆえに、互いに気を許しているからだろう…


 互いが、どんな人間か、知っているから、気を許しているからだろう…


 結婚して、半年も経たずに離婚しても、気を許しているからだろう…


 お互いが、心底、相手を嫌って、離婚したわけでは、ないからだろう…


 私は、思った…


 私は、考えた…


 そして、


 そして、だ…


 今、好子さんが、言った言葉…


 こっちが、心配して、と言う言葉が、刺さった…


 私の心に刺さった…


 それゆえ、私は、


 「…心配…」


 と、だけ、言った…


 わざと、言った…


 その言葉を、聞いた、好子さんが、すぐに、食いついた…


 「…そうよ…透(とおる)のヤツ…サウジアラビア政府と、共同で、なにか、大きなことを始めると言って、こっちも驚いて…たしかに、水野は、米倉よりは、大きいけれども、そんな一国の政府と組んで、なにかを、することができるほど、大きくは、ない…だから、それを、心配して…」


 私は、それを、聞きながら、別のことを、考えた…


 この好子さんが、透(とおる)を、心配して、透(とおる)に、電話を入れた…


 それは、わかる…


 しかし、それは、好子さんの発案か?


 それとも、誰かに、頼まれたのか?


 考えた…


 なにより、幼馴染とは、いえ、結婚して、半年も経たずに、離婚した相手…


 やはり、自分から、電話を、かけるのは、気まずいのでは?


 と、考えたのだ…


 それゆえ、私は、わざと、


 「…そんなに、透(とおる)さんが、心配だったんですか?…)


 と、聞いた…


 わざと、聞いた…


 すると、すぐに、


 「…そんなこと、ないわ…でも、正造に頼まれて…」


 と、言った…


 「…正造さんに?…」


 「…そう…」


 来た!


 やはり、来た!


 やはり、ここで、正造の名前が出た!


 そう、思った…


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