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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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112/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 112

そして、それを、最後に、店を出た…


 良平は、店を出て、別れ際に、


 「…ホントは、こんなことは、高見さんに、頼みたくなかった…」


 と、突然、言った…


 私は、なぜ、そんなことを、言い出すのか、わからなかった…


 それゆえ、当惑した…


 だから、


 「…会長、なんで、いきなり、そんなことを…」


 と、聞いた…


 聞かざるを得なかった…


 すると、私の質問とは、まるで、関係がないように、


 「…平造の気持ちがわかる…」


 と、突然、言った…


 それから、続けて、


 「…平造が、好子さんを、溺愛する理由が、よくわかる…」


 と、言った…


 「…それは、一体…」


 私が、聞くと、


 「…ただ、可愛いんですよ…」


 と、良平が、答えた…


 「…可愛い?…」


 「…そうです…」


 「…ボクも、平造も、娘がいない…いるのは、息子だけ…」


 「…」


 「…高見さんには、失礼だが、高見さんのような娘が、欲しかった…」


 「…私のような娘が?…」


 「…そうです…」


 良平が、真顔で言う…


 私は、なんと答えていいか、わからなかった…


 ただ、


 「…ありがとうございます…」


 と、礼を言った…


 その方が、無難だからだ…


 「…失礼だが、高見さんのような娘が欲しかった…だから、その高見さんに、負担になるようなことは、頼みたくなかった…」


 「…」


 「…それが、本音です…」


 「…それが、本音?…」


 「…ハイ…」


 そして、その言葉を最後に、良平と別れた…


 良平は、どこか、この近くに、クルマを待たせているのだろう…


 まさか、水野グループの総帥が、電車に乗って、徒歩で、私の会社の前まで、やって来ることは、ありえないからだ…


 私は、思った…


 そして、そんなことを、考えながら、自宅に戻った…


 正直、気が重かった…


 あんなことを、約束して、気が重かった…


 まさか、私が、透(とおる)を説得するなんて、思っても、みなかった…


 透(とおる)が、サウジアラビア大使と記者会見をして、水野グループが、総力を挙げて、プロジェクトを立ち上げると、言ったのを、見たときは、驚いたが、それが、まさか、自分に関係することとは、思わなかった…


 まさに、まさか、だ…


 そして、そんな大言を吐いた透(とおる)を、翻意させるのが、私の役目になるなんて、夢にも、思わなかった…


 同時に、やはり、その役目は、好子さんだろうと、思った…


 透(とおる)の幼馴染であり、透(とおる)と、結婚して、半年も経たないで、離婚した、好子さんだろうと、思った…


 なにしろ、透(とおる)と、好子さんは、幼馴染…


 親戚並みの付き合いだそうだ…


 透(とおる)の父親の良平が、好子さんの義父の平造と仲が、良かったからだ…


 だから、親戚並みに、付き合った…


 互いに、相手の家を訪問しあったそうだ…


 それゆえ、親しい…


 だから、透(とおる)を、説得するのは、好子さんの役割だと、思うが、それが、私とは、わけが、わからない…


 しかしながら、良平と約束した以上、透(とおる)と、話さなければ、ならない…


 透(とおる)を、説得しなければ、ならない…


 だから、気が重かった…


 実に、気が重かった…


 家に帰った私は、いつものように、真っ先に、お風呂に入った…


 会社から、帰って、真っ先に、お風呂に入るのが、私のルーティン…


 ルーティン=習慣だ…


 どうしても、外から、帰って来ると、真っ先に、お風呂に入りたくなる…


 お風呂に入って、カラダの汚れを、落としたくなる…


 以前も、書いたが、私は、キレイ好き…


 だが、子供の頃から、すれば、それほど、キレイ好きでも、なくなった…


 子供の頃は、今と違って、病的なまでにというと、大げさだが、もっと神経質だったとでも、言えば、いいのか…


 それに、比べれば、たいしたことは、なくなった…


 それでも、キレイ好きには、違いない…


 会社から、夕方、家に戻ると、真っ先に、お風呂に入って、湯船に浸かって、カラダの汚れを落とす…


 カラダを洗うのは、もちろんだが、湯船に浸かると、なにより、ホッとする…


 そういうことだ…


 そして、湯船に浸かりながら、考えた…


 良平のことを、考えた…

 

 今日、昼間、会った、水野良平のことを、考えた…


 これは、もしかしたら、罠?


 なにか、別に、目的があるのでは?


 と、考えた…


 水野グループ総帥が、わざわざ、会社帰りの私を待ち伏せ、私に透(とおる)の説得を頼む…


 その申し入れを額面通りに、受け取って、いいものか、どうか、悩んだ…


 なにか、裏があるでは、と、考えた…


 昼間、良平と話しているときは、そんなことは、考えなかった…


 しかしながら、時間が経ってみると、考える…


 嫌でも、考えてしまう…


 そういうことだ…


 なにか、裏があるのでは?


 考えてしまう…


 そして、これは、やはり、歳のせい?


 とも、思った…


 若い学生時代なら、そうは、考えない…


 そうは、受け取らない…


 相手の言葉通りに、受け取る…


 しかしながら、歳を取ると、違ってくる…


 相手が、本当のことを、言っているのか?


 疑ってくる…


 裏になにか、別の目的があるのでは?


 と、疑って来る…


 そして、それが、歳を取るということなんだろうと、思った…


 相手の言葉を素直に受け取れない…


 つい、なにか、裏があるのでは?


 と、考えてしまう…


 つまりは、学生時代と違い、会社に入り、そんな経験を幾度も経験したからだろう…


 だから、素直になれない…


 言葉通りに、素直に、受け取れない…


 私は、思った…


 私は、考えた…


 そして、それと、同じように、考えるのは、歳を取るということ…


 今のように、お風呂に入れば、嫌でも、肌の衰えを感じる…


 十年前、十五年前は、今とは、違った…


 もっと、肌に張りがあったと、考える…


 なにより、湯船に浸かった腕を湯船から、出したときに、お湯が、もっと、早く、肌から、落ちた…


 そう、思った…


 つまり、歳を取ったと、いうことだ…


 そして、そんな考えの行きつく先は、結婚…


 この先、自分が、結婚できるのか?


 つい、考えてしまう…


 本気で、悩んでしまう…


 なにしろ、今、33歳…


 もうすぐ、34歳になる…


 しかしながら、結婚のけの字もない(涙)…


 そして、


 そして、だ…


 なにより、考えてしまうのが、自分が、以前、勤めていた金崎実業に、就職したのが、つい、昨日のように、思ってしまうことだ…


 つまりは、体感時間というか…


 十年以上、昔なのに、とても、そんなに、時間が、経ったような気がしない…


 要するに、時価が経つのが、早いと、いうことだ…


 光陰矢の如しと、言えば、おおげさだが、すぐに、時間が経ってしまう…


 このままでは、あっと言う間に、40歳になってしまうだろう…


 40の大台に乗ってしまうだろう…


 果たして、それまでに、私は、結婚できるのだろうか?


 考えてしまう…


 40代の独身女性を下に見るわけでは、ないが、やはり、40歳になるまでは、結婚がしたい…


 結婚して、普通の家庭を築きたい…


 そう、考えてしまう…


 しかしながら、現実は、結婚のけの字もない(苦笑)…


 これは、やはり、私が、希望が高いから…


 白馬の王子様を待っているから?


 そうも、考えてしまう…


 が、


 自分は、そんな気は、まったくない…


 これは、自信を持って言える…


 が、


 他人は、そうは、見ない…


 高見は、美人だから、調子に乗っている…


 高見は、女優の常盤貴子さんの若い頃を彷彿させる、美人だから、調子に乗っている…


 そんな声が周囲から、聞こえてくる…


 かつて、私とほぼ同じ顔を持つ、好子さんが、いみじくも、同じ悩みを、私に吐露した…


 つまり、周囲の嫉妬…


 私や、好子さんの美貌に対する嫉妬…


 それを、吐露した…


 好子さんは、私だから、その悩みを吐露した…


 同じ顔を持つ、私だから、安心して、自分の悩みを吐露した…


 同じように、美人でなければ、こんな悩みは、言えないからだ…


 ただ、周囲から、調子に乗っていると、思われるからだ…


 自分が、美人だから、調子に乗って、相手を選び過ぎていると、思われるからだ…


 だが、


 しかし、だ…


 率直に言って、その指摘は、間違ってもいない(苦笑)…


 ただ、嫌なのだ…


 これまで、付き合って下さいと、言われた男で、私が、付き合いたい男は、いなかった…


 言葉にするのは、難しいが、フィーリングというか…


 この男といっしょに、いたいというものが、なかった…


 これは、おそらく、男もまた同じだろう…


 好きな女が、できない男もまたいるだろう…


 単純に、付き合ってみたいと、思う異性ができなかったというのが、真相だろう…


 この世の中には、軽いノリで、付き合うものが、男女ともに、多いが、私には、それができない…


 おそらく、それは、好子さんも、同じだったのだろう…


 だから、三十路を過ぎるまで、結婚できなかった…


 さらに、好子さんは、私と違って、米倉家のお嬢様…


 大金持ちのお嬢様だ…


 だから、余計に結婚できなかった…


 金目当ての男と結婚するわけには、いかないからだ…



 だから、余計に相手を選ぶ…


 それゆえ、私以上に、結婚ができなかった…


 が、


 結局は、幼馴染の透(とおる)と、結婚した…


 倒産しかけた大日産業を救うために、水野の御曹司である、透(とおる)と、結婚した…


 それが、結婚のきっかけだったが、あえなく、離婚した…


 大日産業が、倒産を免れたからだ…


 それゆえ、離婚した…


 他に、色々、理由があるだろうが、結婚して、わずか、半年足らずで、離婚した…


 そして、それを、考えると、複雑な気分になってくる…


 なぜなら、透(とおる)は、幼馴染の好子さんに、子供の頃から、憧れていたと、誰もが、知っていた…


 にも、かかわらず、結婚して、半年も経たないうちに、離婚…


 憧れの好子さんと結婚したにも、かかわらず、半年で、離婚した…


 これを、見ると、結婚が、不安になってくる…


 憧れのひとと、結婚したにも、かかわらず、半年も経たないで、あえなく、離婚した…


 これでは、相手選びに悩む…


 自分もまた、憧れのひとと、結婚しても、


 …こんなはずじゃ、なかった!…


 とか、


 …こんなひととは、思わなかった!…


 とか、いう理由で、離婚するのでは、ないか?


 そう、考えてしまう…


 そして、そう考えると、余計に結婚に躊躇する…


 結婚に身構えてしまう…


 そういうことだ…


 私は、思った…


 思ったのだ…


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