↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
109/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 109

そして、私が、そんなバカなことを、考えていると、


 「…高見さん…」


 と、いきなり、良平が、私の名前を呼んだ…


 私は、この後、良平が、なにを、言い出すか、身構えた…


 無言で、身構えた…


 すると、出てきた言葉は、


 「…愚痴を聞いて、頂き、申し訳ありません…」


 だった…


 これには、驚いた…


 というより、肩の力が、抜けたというのが、正しい…


 昔の言葉で、言えば、ずっこけた(爆笑)…


 まさか、そんな当たり障りのないことを、言うとは、思わなかったからだ…


 それゆえ、私は、


 「…会長、私で、よければ、愚痴なんて、いくらでも、聞きますよ…」


 と、笑った…


 良平の負担を軽くするためだ…


 だが、それが、逆効果だったらしい…


 かえって、


 「…高見さん、申し訳ない…」


 と、再び、私に頭を下げ、私を恐縮させた…


 私は、どう言っていいか、わからなかった…


 なにしろ、目の前にいるのは、水野グループ総帥だ…


 水野グループ総帥の水野良平だ…


 そんな財界の大物に、何度も、頭を下げさせるなんて…


 どうして、いいか、わからなかった…


 ただ、


 「…会長、頭をお上げ下さい…」


 とだけ、言うしかなかった…


 だから、それを、実践した…


 良平も、当然のことながら、いつまでも、頭を下げては、いない…


 そして、頭を上げた良平は、


 「…失礼ながら、高見さんと、好子さんの違いは、コレです…」


 と、告白した…


 「…コレって?…」


 当然のことながら、聞いた…


 良平は、ためらうことなく、


 「…ボクが、高見さんに、愚痴をこぼす…コレです…」


 と、言った…


 「…どういうことでしょうか?…」


 「…好子さんの前では、愚痴をこぼせない…」


 「…」


 「…それが、高見さんと、好子さんの違いです…」


 「…」


 「…要するに、キャラの違い…外見は、そっくりでも、中身が違う…」


 「…」


 「…これは、なにも、好子さんの人柄が、悪いと言っているわけでは、ありません…ただ、そのひとの能力というか、適性というか…その違いです…」


 「…どういうことでしょうか?…」


 「…仕事を例に取れば、よくわかります…」


 「…仕事を例に取れば? ですか?…」


 「…そうです…」


 「…」


 「…例えば、高卒のひとと大卒のひとが、同じ仕事をするとします…すると、別に、高卒のひとが、大卒のひとに、劣っているわけでも、なんでもない…」


 「…」


 「…要するに、なにを、やるかです…高卒と、大卒の違いは、何かと、言えば、頭です…勉強ができるか、否かです…だから、頭を使う仕事であれば、高卒のひとは、大卒に勝てません…ただし、です…頭を使う仕事は、世の中に、それほど、多くはありません…」


 「…」


 「…それと、同じです…」


 「…同じって?…」


 「…高見さんと、好子さんの違いです…要するに、人格というか…ハッキリ言えば、キャラ…仮に、失礼ながら、好子さんの方が、高見さんより、頭がいい…いい大学を出ていたとしても、高見さんの方が、話しやすいというか…愚痴をきいて、もらえる…」


 「…」


 「…それと、同じです…高卒と大卒の例えも、それと同じです…要するに、適性…仕事が、自分に合うか否か…それで、評価される…それゆえ、大卒のひとが、高卒のひとに、負けることは、普通にあります…」


 「…」


 「…高見さんと好子さんの違いも、それと同じです…性格の違い…適性の違いです…どっちが、優れているとか、どっちが、劣っているかと、いう話じゃない…ただ、性格が、違う…適性が、違う…おそらく、透(とおる)は、誰よりも、それが、わかっていると、思う…」


 「…透(とおる)さんが?…」


 「…透(とおる)は、子供の頃から、好子さんに、憧れてました…それは、周囲の者は、皆、わかっていた…私と平造のみならず、正造くんも、新造くんも、皆、わかっていた…だから、二人が結婚したときは、皆が、祝福した…透(とおる)の想いが、遂げられたと、思ったからです…」


 「…」


 「…ですが、結局は、うまくいかなかった…憧れと現実は、別というか…二人が、大人になって、結婚してみたら、違ったということでしょう…こればかりは、結婚してみないと、わからない…」


 良平が、首を横に振る…


 「…いっしょに暮してみないと、わからない…いっしょに暮らすことで、それまで、わからなかったことが、見えてくるものです…」


 「…」


 「…たぶん、透(とおる)も、そうだったのでしょう…でも、だからと言って、好子さんを、恨むことは、できない…」


 「…」


 「…結婚も離婚も縁…結婚は縁があったから、するもので、離婚は、やはり、これも、縁がなかったから、するものです…」


 「…」


 「…だから、透(とおる)と、好子さんは、縁がなかったのでしょう…でも、おそらく平造は、それを、受け入れることができない…」


 「…できない…」


 「…わかっていても、頭に来ることがある…理性より、感情です…感情をコントロールすることは、難しい…」


 それは、わかる…


 良平の言うことは、わかる…


 誰でも、感情が、理性に優先するものだ…


 いくら、頭では、わかっていても、感情を優先する…


 頭では、怒っては、マズいと思っても、感情を優先する…


 だから、頭に来る(苦笑)…


 おそらく、米倉平造も、それと、同じだろう…


 頭では、好子さんと、透(とおる)の離婚を怒っても、仕方がないと、思っているに、違いない…


 だが、


 それを、抑えることができない…


 つまりは、むかっ腹が立つということだ…


 平造も、六十代後半…


 当たり前だが、子供ではない(笑)…


 もう、子供ではない、立派な大人なのだから、好子さんと透(とおる)の離婚のことに、口を出しても、仕方がないことは、わかっているはずだ…


 にもかかわらず、口を出さないわけには、いかない…


 口を挟まずには、いられない…


 そういうことだろう…


 いや、


 口を、挟む、挟まないではない…


 口では、なく、行動する…


 実際に、行動して、報復する…


 それが、透(とおる)を、そそのかして、サウジアラビア政府と、共同で、水野が、ビッグプロジェクトをやると、打ち上げた件…


 下手をすれば、水野の致命傷になるかも、しれない…


 それほどのビッグプロジェクトだろう…


 なにしろ、サウジアラビア政府の日本大使と同席して、記者会見を開いたぐらいだ…


 おおげさでなく、水野の社運を賭けたビッグプロジェクトになっても、おかしくはない…


 それゆえ、この良平は、不安なのだろう…


 もちろん、水野グループの総帥は、この水野良平…


 透(とおる)が、なにを、言おうと、良平が、許可しなければ、そんなビッグプロジェクトはできないだろう…


 しかしながら、そんなビッグプロジェクトを良平に相談することなく、勝手に、透(とおる)は、進めたのだろう…


 それゆえ、周囲が、当惑する…


 なにより、良平が、当惑する…


 そういうことだろう…


 私は、思った…


 私は、考えた…


 そして、私が、そんなことを、考えていると、


 「…高見さん…」


 と、いきなり、良平が、言った…


 「…ハイ…なんでしょうか?…」


 「…ご迷惑でしょうが、高見さんが、透(とおる)に会って、透(とおる)を、説得して、頂けませんか?…」


 「…私が?…」


 思ってもみない言葉だった…


 考えてもいない展開だった…


 「…きっと、高見さんの言葉なら、透(とおる)も、聞くと、思うんです…」


 「…私の言葉なら?…」


 「…ハイ…」


 そんなこと、あろうはずもなかった…


 なにしろ、私は、透(とおる)の恋人でも、妻でも、なんでもない…


 ただの顔見知りに過ぎない…


 ただの顔見知り…友人と呼べるほど、親しくもない…


 友人と呼べるほど、親しく付き合ってない…


 私が、友人と呼べるのは、学生時代の人間だけ…


 同じ、学校に通った仲間だけだ…


 透(とおる)や好子さんと違い、もっと、長い時間、いっしょに、過ごしている…


 透(とおる)も、好子さんも、嫌いではないが、友人と呼べるほど、長い時間、過ごしてはいない…


 そういうことだ…


 だから、


 「…会長、私なんかが…」


 と、だけ、言った…


 ホントは、透(とおる)と、そんなに、長い付き合いではないから、私なんかが、口を出す幕じゃないと、言いたかったが、さすがに、言えなかった…


 なぜなら、それほど、良平は、真剣だったからだ…


 だから、言えなかった…


 ハッキリ言えば、良平の迫力に圧倒されたというか…


 断ることが、できなかった…


 ハッキリと、


 「…嫌です…」


 と、言うことが、できなかった…


 そういうことだ…


 そして、私が、そんなことを、考えていると、


 「…いえ、高見さんなら、できます…」


 と、良平が、言った…


 さらに、続けて、


 「…好子さんには、できません…」


 と、言った…


 「…私に、できて、好子さんには、できない? …どうしてですか?…」


 「…さっきも言った適性です…」


 「…適性?…」


 「…顔も、学歴も関係ない…頭の良し悪しも関係ない…ただ、好子さんの言葉は、透(とおる)は、きかないかも、しれないが、高見さんの言葉なら、聞く…そういうことです…」


 「…私の言葉なら、聞く?…」


 「…ハイ…」


 良平が、頷いた…


 私は、戸惑った…


 そんなことが、できるわけはないと、戸惑った…


 それゆえ、


 「…無理です…できません…」


 と、言いたかったが、言えなかった…


 良平の顔が、それほど、真剣だったからだ…


 だから、言えなかった…


 言えなかったのだ…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。