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恋かもしれない 恋愛偏差値ゼロ 第3部  作者: トモサン


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101/128

恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 101

なにが、思うことが、できてきたのか?


 もしかしたら?


 もしかしたら?


 私は、米倉と水野の争いに巻き込まれたのかも、しれない…


 そう、気付いた…


 今さらながら、気付いた…


 なぜ、そう思ったのか?


 それは、前沢だ…


 私の勤めるM商会の営業所長の前沢の動きだ…


 前沢は、以前、ファミレスで、私と、二人きりで、話したときに、自分は、転職組だと、言った…


 転職組=中途入社だと、言った…


 つまりは、いわゆる、プロパー…


 新卒で、水野に入社したわけではない…


 どこかの会社に勤めていて、そこを辞め、水野グループに転職したわけだ…


 水野グループのM商会に、入社したわけだ…


 いや、


 転職してきたのが、M商会とは、限らない…


 水野本体の可能性も高い…


 出向や派遣で、水野本体から、M商会にやって来た可能性も、高いからだ…


 それゆえ、もしかしたら、あの前沢が、カギを握っているのかも、しれない…


 もしかしたら、水野と米倉の争いのカギを握っているのかも、しれない…


 私は、思った…


 私は、考えた…


 だったら、船見さんは、なんだ?


 あの船見さんの役割は、なんだ?


 考えた…


 アレは、もしかしたら?


 もしかしたら、前沢の動きを封じるため?


 前沢が、水野あるいは、米倉のどちらかの陣営に属しているか、わからないが、前沢の動きを封じるため、船見さんが、私と接触した可能性がある…


 要するに、私を、通じて、私の口から、


 「…実は、船見さんに、こんなことを、言われた…」


 と、前沢に言わせたいのだ…


 あるいは、船見さんの口から、前沢に、


 「…前沢さん…私以外にも、高見さんと、不倫しているの?…」


 と、言わせたいのだ…


 なぜ、そうしたいのか?


 それは、おそらく、前沢に、プレッシャーを与えるため…


 前沢が、米倉、水野のどちらの陣営に属しているか、わからないが、どっちの陣営に属していても、自分の属している陣営からも、敵方の陣営からも、プレッシャーを与えられることになる…


 要するに、裏切るな! と、いう圧力…


 無言の圧力だ…


 普通に考えれば、前沢は、水野陣営だが、実は、米倉のスパイの可能性もある…


 正造が、水野には、米倉のスパイが何人もいると、明言した…


 そのスパイの一人の可能性もある…


 あるいは、真逆に、前沢は、水野陣営だが、米倉のスパイに誘われている…


 あるいは、脅されている可能性もある…


 脅されているというのは、船見さんとの不倫…


 それを、ネタにして、脅されている可能性もある…


 不倫=弱点だからだ…


 弱点=弱みだからだ…


 それゆえ、その弱みに付け入られた可能性がある…


 私は、そう、見た…


 私は、そう、睨んだ…


 いずれにしても、それは、憶測…


 私の憶測に過ぎない…


 この病院を出たら、なにか、行動を起こして、その証拠を掴まなければ、ならない…


 私は、考えた…


 考え込んだ…


 そして、なにより、今回の一番の驚きは、あの透(とおる)が、サウジアラビア政府と、組んで、水野が、なにやら、大きなプロジェクトをすると、大々的に発表したこと…


 父の良平に無断で、発表したことだ…


 透(とおる)の発表にパニクった良平は、なにをしていいか、わからなかった…


 一体、なぜ、いきなり、透(とおる)が、そんな発表をしたのか、皆目、見当もつかなかったからだ…


 なにしろ、私にすら、透(とおる)が、どうして、あんなことを、したのか、わかったら、教えて欲しいと、懇願したぐらいだ…


 が、


 それが、実は、平造の仕掛けたことであると、先日、正造が、私に教えてくれた…


 なぜ、そんなことをしたのか?


 それは、意趣返し…


 意趣返し=復讐だと、言った…


 好子さんと透(とおる)が、離婚した復讐だと、言った…


 そして、それを、聞いたときは、ただ驚いただけだったが、もし…


 もし、だ…


 良平が、それを、知ったら、どうなるだろう?


 平造の仕掛けたことだったと、知ったら、どうするだろう?


 当たり前だが、激怒するだろう…


 そして、当然、良平もまた、平造に復讐するだろう…


 そして、もし、その復讐が、今回の件に繋がっているとしたら?


 十分、考えられる展開では、ないか?


 私は、思った…


 激怒した良平が、なんらかの形で、平造に復讐する…


 平造=米倉に復讐する…


 そんな未来が、見て取れた…


 そんな将来が、見て取れた…


 

 私の入院は、一週間近くに及んだ…


 私は、一時も早く、退院したかったが、医者が、許さなかった…


 おそらくは、良平に、きつく、命じられていたのだろう…


 検査結果は、単なる風邪に過ぎないが、肺炎になる可能性もあったらしい…


 それで、入院が長引いた…


 私自身は、率直に言って、そんな自覚は、まるでなかった…


 ただ、単に風邪を引いただけ…


 カラダの調子が、悪いと、思っていただけだった…


 それゆえ、風邪の具合が、悪く、肺炎になりかけていると、医師から、聞いたときは、驚いた…


 まさか、そんなに悪いとは、露ほども、思っていなかったからだ…


 現に、入院していても、重病で、ぐったりしているということは、なかった…


 目覚めている時間が、多かった…


 それゆえ、退屈だった…


 医師から、私が、思った以上の重病だったと聞いたときは、ビックリ仰天したが、後は、退屈…


 なにしろ、病院のベッドの上で、寝ているだけだったからだ…


 そして、考えたのは、一つ…


 おそらく、私は、今、勤めているM商会に、勤務していて、私が、思っていた以上のプレッシャーを感じていたのだろうと、いうことだ…


 私自身、33歳で、転職した…


 それまで、大学を新卒で、入社した金崎実業を辞めて、中途入社したM商会…


 33歳になってからの転職…


 おそらく、それは、私が、思っていた以上に、私自身にプレッシャーを与えていたのだろう…


 それが、カラダに現れた…


 そういうことかも、しれない…


 心より、先に、カラダが、悲鳴を上げた…


 そういうことかも、しれない…


 私自身は、そんなこと、露ほども、思ってなかった…


 ただ、良平に、転職先を紹介してもらい、転職した…


 そんな認識だった…


 が、


 きっと、私が、思っているよりも、私自身が、今度の会社に慣れるのが、大変だったのだろう…


 なにしろ、入社したときから、あの米沢京子が、私を敵視してきた…


 理由はさっぱりわからないが、私を敵視してきた…


 それが、大きかったのかも、しれない…


 後で、私を敵視する理由がわかったが、それまでは、どうして、私を敵視するのか、さっぱりわからなかった…


 それゆえ、プレッシャーが、半端なかった…


 33歳まで、生きてきて、初めての経験だった…


 学生時代は、それなりに、バイトをして、さまざまな職場を、経験した…


 これは、以前も言った…


 父が、学生時代は、いろんなバイトをして、世間を見ておきなさい…


 大学を出て、会社に入れば、そんなことは、できないから…


 と、言ったからだ…


 それゆえ、学生時代は父のアドバイスを実践した…


 その結果、さまざまなアルバイトに従事した…


 が、


 これも、以前も言ったように、嫌な職場は、すぐに辞めた…


 ブラック企業は、すぐに辞めた…


 だから、我慢して、続けた職場は、ない…


 それが、今回、初めて、我慢して、職場にいた…


 あの米沢京子のさらすプレッシャーの中にいた…


 そして、それが、私が、思っていた以上に、私に影響を与えた…


 影響=ダメージを与えた…


 そういうことかも、しれない…


 それが、私自身、気付かないところで、私にダメージを与えて、それが、カラダに現れた…


 風邪という形で、現れた…


 しかも、それが、単なる風邪ではなく、肺炎になりかけるほどの重症だったということかも、しれない…


 自分でも、気付かないほど、あの米沢京子の行動は、私にダメージを与えた…


 そういうことかも、しれない…


 私は、あらためて、そう、思った…


 そして、もし、あの米沢京子が、私になんらかのダメージを与えることが、目的だったとしたら、それは、成功だと、思った…


 なにしろ、彼女のせいで、体調が悪化したのだ…


 こんなことは、経験がなかった…


 33年、生きてきて、経験がなかった…


 33年、生きて、初めての経験…


 彼女が、私に嫉妬して、私を、目の敵にしているのなら、それが成功したと言える…


 私を憎くて、目の敵にしたのなら、成功したことになる…


 私は、思った…


 私は、考えた…


 そして、


 そして、だ…


 こんなことは、誰にでも、ある…


 生きていれば、誰にでも、あることだ…


 そう、思った…


 たまたま、私は、33歳になるまで、そんな経験はなかった…


 ただ、それだけに、過ぎない…


 こんな経験は、世間にありふれている…


 どこの職場でも、どんな人間にも、あることだ…


 そして、それを、思えば、今の人間は、恵まれていると、思った…


 なにに、恵まれているのか?


 それは、会社だ…


 転職だ…


 今は、昔と違って、転職に、社会が、寛容になった…


 昔は、一生涯、ひとつの会社に勤めるのが、普通だった…


 とりわけ、世間に知られた有名企業なら、そうだ…


 嫌でも、途中で、辞めることができなかっただろう…


 それゆえ、今の私ではないが、会社が嫌で、そのプレッシャーで、心身ともに、衰弱しきったものも、大勢いたに違いない…


 しかしながら、今は、昔とは、違う…


 テレビをつければ、転職のCMを、至るところで、見ることができる…


 それを、見れば、当たり前だが、そのCMの転職会社を使った転職が、世の中にありふれているのだろうと、思う…


 嫌なのに、辞めることが、できないなんて、どうかしている…


 嫌なら、辞めれば、いいが、それが、できない社会は、どうか、している…


 私は、たぶん、あの米沢京子のせいで、体調を崩したが、正直、たいしたことは、ない…


 会社を辞めたいほどでは、ない…


 だが、会社を辞めたいほど、追い詰められているのに、辞めれない社会って、一体、どんな社会なんだろうか?


 考えさせられる…


 なにしろ、今は、出戻り…


 有名企業を退職しても、戻ることが、できると、ネットで見た…


 これは、驚いた…


 さすがに、一度、辞めた会社に、戻ることは、ありえないと、思った…


 個人経営の中小企業なら、いざしらず、大手の企業で、それは、できないと、思ったからだ…


 つくづく、時代は、変わったと、思う…


 たかだか、33歳の私から、見ても、変わったと、思う…


 心の底から、思う…


 そして、そんなことを、考えながら、入院生活を過ごした…


 ほぼ、一週間を過ごした…


 そして、退院した…


 退院して、自宅に戻った…


 そして、テレビで、見たのは、前沢だった…


 前沢の逮捕のニュースだった…


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