恋かもしれない…恋愛偏差値ゼロ 第3部 100
結局、良平が、言ったように、その日は、検査をして、入院した…
良平が、手を回して、会社にも、家にも、連絡してくれた…
家では、母が、電話に出て、慌てたらしい…
それは、そうだろう…
会社関係のものから、
「…お嬢さんが、体調を崩して、入院することになった…」
と、聞けば、誰もが、慌てる…
が、
その後、
「…思ったより、軽かったので、一日、二日、入院して、退院すると、思います…ですから、面会は、不要です…」
と、続けたらしい…
それを、聞いて、母は、驚くやら、呆れるやら…
後日、母に物凄く、叱られた…
そんなに、周囲のひとたちに、迷惑をかけるぐらい、体調が、悪かったら、会社に行くな!
と、叱られた…
母の言うことは、もっとも…
反論できなかった…
しかしながら、言わせてもらえば、私だって、こんな展開になるとは、夢にも、思わなかった…
まさに、まさか、だった…
それより、なにより、一番驚いたのは、良平が、私を、透のお嫁さん候補だと、明言したことだ…
これには、話を聞いた医師も驚いたが、それ以上に、私が、驚いた…
そう、言われた私が、驚いた…
なにしろ、私に、そんな気は、まったくない(苦笑)…
おそらく、透にも、そんな気は、ないだろう…
透が、私に好意を持っているのは、わかっているが、それでも、それが、結婚となると、微妙…
なんとも、微妙だ(苦笑)…
なにより、透には、もっと、素敵な女が、いるだろう…
透に合う、家柄の女がいるだろう…
お金持ちのお嬢様が、いるだろう…
それとも、やはり、私が、好子さんに、似ているからだからだろうか?
透が、幼いときから、憧れていた米倉好子さんに、私が、似ているからだろうか?
好子さんとは、離婚した…
だから、好子さんと良く似たルックスの私と、結婚したいのだろうか?
考えた…
ぶっちゃけ、好子さんのルックスが、透の趣味といえば、納得する…
趣味=趣向と言えば、納得する…
私から、見ても、好子さんは、キレイ…
そして、かわいい…
若き日の女優の常盤貴子さんを、小柄にした印象の好子さん…
男なら、誰でも、好きになるだろう…
私は、女だが、そんな男の気持ちは、わかる…
当たり前のことだ…
そして、そんな好子さんと、私は、瓜二つのルックス…
二人並べば、微妙に違うが、それでも、わからないものも、多いに違いない…
それほど、似ている…
姉妹レベルで、似ている…
だから、おおげさに言えば、好子さんが、私になりすますことも、できるし、その逆もできる…
好子さんが、私、高見ちづるになりすますことも、できる…
それゆえ、医師が、私を好子さんと、思った…
私を好子さんと、間違えた…
なにしろ、水野良平が、連れてきた女だ…
好子さんを、直接、知らなくても、テレビやネットで、好子さんの顔を知っていれば、良平が、連れてきたのが、好子さんと、誤解する…
なにより、好子さんと、透は、決婚していた…
そして、その決婚は、日本中に、知られた…
テレビやネットで、流れたからだ…
それに、なにより、好子さんが、大金持ちで、美人だったからだ…
だから、余計に話題になった…
こういっては、なんだが、男も女も、ルックスのいい人間は、得だ…
話題になりやすいから、得だ…
それゆえ、透と、好子さんの結婚は、日本中で、話題になった…
そして、その後、短期間で、離婚したから、さらに、話題になった(爆笑)…
それゆえ、医師も、好子さんの顔を覚えていたのだろう…
おそらく、一面識もないにも、かかわらず、覚えていたのだろう…
私は、そう、見た…
私は、そう、睨んだ…
そして、そんなことを、考えながら、病院のベッドの上で、数日、過ごした…
ぶっちゃけ、退屈だった…
ウトウトは、するが、重病人でも、なんでもない…
ただの風邪だ…
少しばかり、熱があるだけだ…
だから、ウトウトとすることがあるが、一日の大半は、起きている…
意識がある…
だから、余計に退屈だった…
それゆえ、妄想というか…
つい、日々のことを、考える…
会社のことを、考える…
あの船見さんは、前沢と、不倫していると、言っていたが、あれは、本当だろうか?
考える…
が、
普通に考えれば、本当だろう…
まさか、ウソでは、あるまい…
女が、一方的に、ウソを、言っているとは、考えづらい…
それゆえ、本当だろう…
しかし、まさか、前沢が不倫とは?
考えもしなかった…
予想もしなかった…
が、
それ以上に、驚いたのは、私が、前沢の不倫相手だと、船見さんに、思われていたことだ…
これは、予想外…
考えも、しないことだったからだ…
まさに、まさか、だ…
突然、船見さんに、そう言われたときも、驚いたが、今、考えれば、余計に、驚く…
あのときは、驚きで、どう、対応していいか、わからなかった…
まるで、落とし穴にはまったとでも、言えば、いいのか?
あまりに突然のことで、どう答えていいか、わからなかった…
否定するだけで、精一杯だった…
が、
しかしながら、今、考えれば、疑問が、残る…
一体、誰が、船見さんに、私が、前沢さんと、不倫していると、吹き込んだのか?
それが、疑問だった…
まさか、前沢が、言うとは、思えない…
不倫している当人の前沢が、
「…実は、ボクは、高見さんとも、いい関係にあるんだ…」
などど、吹聴するとは、思えない…
と、なると…
と、なると、だ…
当然、あの船見さんは、誰かから、聞いたことになる…
私が、前沢と不倫しているという、ウソを聞いたことになる…
そう、考えるのが、自然だ…
実に、自然だ…
そう、思った…
そう、気付いた…
しかし、一体、誰が?
考える…
が、
答えは出ない…
なにしろ、情報が、少なすぎる…
私は、まだ、今の会社、M商会に転職して、一か月も経っていない…
だから、人間関係がよくわからない…
私が、意識したひとといえば、ただ一人…
あの米沢京子だけだからだ…
だから、他の誰も、意識しなかった…
米沢京子以外の営業所の誰も、意識しなかった…
意識するのは、あの米沢京子、ただ、ひとりだけだった…
そして、なぜ、私が、あの米沢京子だけ、意識したのか?
それは、あの米沢京子が、私を敵視したから…
誰にも、わかりやすい行動で、私を敵視したからだ…
だから、彼女以外、意識しなかった…
逆に言えば、彼女に集中した…
私の意識が、彼女だけに、集中したと言える…
それゆえ、それ以外のことを、意識しなかった…
そんな状況で、あの船見さんから、私が、前沢と、不倫をしていると、問い詰められたから、驚いた…
一時的だが、パニックになるほど、驚いた…
まさに、想定外…
考えても、いないことだったから、パニックになった…
これは、誰でも、同じ…
同じだ…
まったくの予想外のことが、起きると、どうして、いいか、わからない…
考えてもいないことが起こったから、対処のしようが、ないからだ…
だから、困った…
率直に言って、米沢京子のときよりも、困った…
はるかに、困った…
が、
もしかしたら、これは、フェイント?…
フェイント=陽動作戦?
とも、気付いた…
なぜなら、私の意識は、会社では、あの米沢京子に集中している…
嫌でも、彼女の行動が、気になる…
なぜなら、彼女が、いつも、誰の目にも、わかるように、私を敵視しているから…
だから、私も彼女のことが、気になるし、真逆に言えば、彼女以外は、誰も、気にならない…
そんな状況の中で、船見さんから、私が、前沢と不倫しているじゃないか、と疑われたから、驚いた…
文字通り、仰天した…
が、
ここで、引っかかったのは、あの米倉正造からの電話だ…
米倉正造は、今回、透が、
「…水野グループが、サウジアラビア政府と共同で、ビッグプロジェクトを行う…」
と、明言した…
あの裏に、平造の仕掛けがあると、言った…
正造の父の平造が、あの会見を仕組んだと言った…
平造が、自分の人脈を使って、サウジアラビア政府のお偉いさんを紹介するように、段取りしたと言った…
平造の目的は、水野グループに打撃を与えること…
米倉の正統後継者である、好子さんを、透が、傷付けたのが、許せないと、正造は、言っていた…
透は、好子さんと、結婚した…
が、
半年も経たないうちに、離婚した…
それが、許せないと言った…
そして、それは、おそらく、本音だろう…
平造の本音だろう…
傾きかけた米倉を、水野と合併させることで、延命させようとした…
それが、失敗に終わったのも、悔しいのだろうが、それ以上に、好子さんが、透と、離婚したのが、気に入らないのだろう…
何度も言うように、好子さんは、米倉の正統後継者…
好子さんだけが、米倉本家の血を引く、正統後継者だからだ…
それゆえ、平造は、好子さんを大切にした…
目の中に入れても、痛くないほど、溺愛した…
そんな大切にした好子さんが、透と、離婚して、おおげさに言えば、傷物にされたのが、許せなかったのだろう…
そして、
そして、だ…
気になるのは、米倉と水野は、表面上では、仲がいいが、陰では、互いに、猛烈に張り合っているという事実だ…
正造が、先日、電話をかけてきて、私に告げた…
そして、その話の内容で、一番驚いたのは、互いに相手の会社にスパイを置いているという話だ…
互いに強烈に張り合うゆえに、相手のことが、気になる…
相手が、なにをしているのか、気になる…
それゆえ、スパイを置いているという話だ…
最初、正造から、その話を聞いたときは、おおげさでなく、ビックリ仰天したが、よくよく考えてみれば、ありそうなことだと、思う…
どこでも、ありがちなことだと、思うのだ…
ライバルゆえに、相手が、なにをしているのか、気になる…
それゆえ、スパイを置いて、相手の情報を知る…
相手が、なにをしているのか、知る…
当たり前のことだ…
これは、国で言えば、同盟国でも、同じらしい…
いわゆる、敵国でなく、同盟国同士でも、同じらしい…
日本やアメリカでも、同じらしい…
いかに、同盟国でも、国が、違うのだから、100%信用ができないからだ…
だから、同盟国同士でも、互いにスパイを置いている…
それと、似ている…
そして、そんなことを、考えれば、色々と思うことも、出てきた…




