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五月十八日 午後十一時五分
私は眠れなかった。
本家離れの客室。
窓の外では雨が降り始めていた。
匿名の電話。
整備工場。
ブレーキホース。
何度考えても答えは一つしかない。
誰かが見ていた。
誰かが私の計画を知っていた。
警察か。
使用人か。
親族か。
いや違う。
もしそうなら告発するはずだ。
わざわざ匿名で修理などしない。
私を逮捕させる方が早い。
だとすると目的は何だ。
なぜ叔父を助けた。
なぜ私を見逃した。
私は天井を見つめた。
その時だった。
廊下の向こうで誰かの足音が聞こえた。
深夜十一時。
本家の人間は皆寝ている時間だ。
ゆっくりと。
まるで見回るように。
足音は廊下を通り過ぎていった。
私は起き上がった。
胸の奥で、復讐心とは別の感情が芽生え始めていた。
不安。
そして疑念。
私は初めて思った。
――誰かが私を見ている。




