表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/27

十年後 午前九時三十二分

 中庭の木々が風に揺れている。


 私は空を見上げた。


 今日も青い。


 不思議なものだ。


 どれほど苦しくても。


 空だけは変わらない。


「高城さん」


 声がした。


 私は振り向く。


 白衣の女性が立っていた。


 優しい笑顔。


 毎日見ている顔。


「そろそろお薬の時間ですよ」


 私は頷いた。


 その時だった。


 ふと違和感を覚える。


 お薬。


 そうだ。


 ここへ来てから毎日飲んでいる。


 十年間。


 欠かさず。


 なぜだろう。


 私は少しだけ笑った。


「今日も模範囚ですから」


 そう言うと女性は困った顔をした。


「またその話ですか」


「違いましたか」


「違います」


 彼女は穏やかに首を振る。


「高城さんは受刑者じゃありません」


 私は黙った。


「ここは病院です」


「……」


「ずっと前からそうですよ」


 私は空を見上げた。


 病院。


 そうだっただろうか。


 分からない。


 もうどちらでもいい気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ