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五月二十日 午後八時三十分
祖父の書斎。
生前のまま保存されている部屋。
そこに静香は座っていた。
机の上には一つの箱が置かれている。
古い木箱だった。
「それは?」
「先代様の遺言です」
静香は答えた。
「あなたに渡すよう言われていました」
「なぜ今なんです」
「あなたが真実を知ろうとしたからです」
私は箱を開いた。
中には古いビデオテープ。
数枚の写真。
そして一冊の日記。
祖父の字だった。
日記を開く。
事故の三日前。
そこにはこう書かれていた。
『恒一がまた車庫へ入っていた』
『好奇心が強く困る』
『今日は車の下へ潜り込んで遊んでいた』
次のページ。
『工具を持ち出して叱る』
『泣いていた』
『俊介が慰めていた』
俊介。
叔父の名前だった。
私はページをめくる。
手が震えている。
事故前日。
『車庫で何かをしていたようだ』
『確認したが異常は見つからなかった』
そこで記述は終わる。
次のページ。
事故当日。
文字が乱れていた。
『私が殺した』
『私が気付くべきだった』
『あの子を守らなければ』
その瞬間だった。
頭の奥で何かが弾けた。




