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離島

「ふぁぁぁぁ~。今日も朝か~。」



いつものように朝がやって来た。太陽はキラキラと輝きを放ち、小鳥は綺麗な声で鳴いている。

昨日は鎧を来て長時間門番をやらされた所為なのか完全に疲れてグッスリ眠っていた。

あれほど長い時間立ったままで足もそれなりにパンパンになっていたのに、朝起きたら嘘のように疲れが無くなっていた。


だからスゴく気分が良いのだがそんな朝から僕の部屋の外から扉がコンコンとノックされた。



「何だろう?」

直ぐに扉を開くと、そこにはベイロットがいた。




「よお賀露島お早う!」



ベイロットから朝の挨拶をされたので同じように「お早うございます」と頭を下げて挨拶を返す。


するとベイロットが急かすように僕に質問をしてきた。



「なあ賀露島。今から離島を調査する国の研究者達から護衛の依頼が来ているが一緒に来るか?」



今まで駐屯地の門番や料理・掃除など地味な事しかやってこなかったが僕にも遂に騎士団らしい仕事が舞い込んできた。


ヤッターと浮かれてしまったが、それは絶対に駄目だ。あまり騎士団としての仕事を楽しんではいけない。抜け出せなくなってしまう。



でもこの先もう体験出来ないのであれば、ここで体験するのも悪くはないだろう。



「是非お願いします!!」



「良く言った!じゃあ早速いくぞ!!」



賀露島はベイロットにヒョイと担がれる。


え?もしかしてすぐって本当に直ぐなの!?




「あの僕まだ鎧着けて無いんですが...」



「ん?ああそれなら構わねーよ何故なら...」




ーーーーーーーーー




「..そう言う事ね...。」


ベイロットに長時間担がれたまま恥ずかしい思いをしながら、船に乗せられ波に揺られながらたどり着いた離島。

どうやらこの島はヒワイ島なんて呼ばれているらしい。なにか卑猥な事があるのかと思ったが、見た感じただのジャングルにしか見えない。


ジメジメと湿気が籠る森の中で僕は全て理解した。何故護衛の依頼で僕が鎧を着けなくても良いのかを。


それは僕が背負っている大きなリュックにある。つまりただの荷物持ちなのだ。



「くっ!何と屈辱!!」



幼い頃、ジャンケンで多数決で負けたらランドセルを背負うと言う遊びがあり僕を含めて5人位で、この遊びをやっていたと思う。

僕は何故か毎回負けていた。

僕以外の4人が必ずのように同じものを出していたからだ。1人がグーを出していれば、何故か他の3人もグーなのだ。



その当時純粋だった僕はこの現象について凄いとしか思わず、奇跡だと信じて4人分のランドセルを毎日のように持たされていた。

今思えばアホな話だ。奴等が結託している事も知らずノウノウと奴らのランドセルを持たされていたあの頃を思い出して少し悔しくなってきた。



「とは言えこれは仕事だから仕方がないか...」



荷物は主に研究に使用するかもしれない魔法器具らしくこんなに持っていく意味があるのかと思う位あった。


何がともあれベイロットと他の団員3人と僕と同じように私服で荷物持ちのリューノがいた。




「リューノ君も正式な騎士団員なのに荷物持ちなの?」



その言葉にリューノは頬を膨らませ嫉妬するように此方を見てくる。



「ベイロットさん達が羨ましいです...」



「ハハハ..やっぱりそうなんだね...」



今回の嫉妬相手は僕ではなく荷物持ちでない護衛を任されたあの4人組に対してなのだろう。


 

たどり着いた離島は一帯森であった。島としてはそれほどの面積は無かったが、それを感じさせない森の広大さは迷い込んだ者を絶望に陥れるようだった。



そしてそんな森の中をスイスイと歩いていく一行。所々遺跡のような建物が所々建っていて、恐らくこう言うのを調査するのかと思ったが全く別でこの島にいる虫を調べてるっと聞いたときは思わずズッ転けてしまった。



「その割には護衛の数が多い気がするけど..」



「あれ?知らないんですか賀露島さん?」



何やらこの昆虫探しには他にも裏があるらしい。



「実は昆虫探索の護衛もあるんですが、次いでにこの離島であるヒワイ島に他の依頼が来てたんですよ?」



「え?何ですかそれ?すごく怖いんですけど...」



「何やら此所で反国軍の手掛かりがある可能性があるようでして、次いでに虫探索の依頼も受けたみたいです。」



なるほど。恐らく昆虫探索って言うのはダミーで本当の目的では無い。

真の目的はこのヒワイ島で反国軍の情報を手に入れる事にあった。



しかし流石に騎士団員が5人もいると怪しまれる筈だ。昆虫探索の護衛が真の目的で無いことは簡単にバレるに決まっている。



そうか。だから僕とリューノは私服で荷物持ちなのだ。同じ昆虫研究者の一員になるように。



「どうやら分かったみたいですね。基本騎士団は外での仕事は3人以上で行われますからね。だから3人居ても、おかしくはないんです。」



「あれ?でも僕がリューノ君達と初めてあった日は君とベイロットさんしか居なかったよね?」



「..実は...それは..。」

その質問にリューノは間をあけて少し複雑な顔で答えた。




「その前日に私たちの隊長も居たんですがヨークルトシティで腰をやっちゃっててですね...どうしても巫女を倒したと言う貴方に会いたいと張り切ってたら...」



「うわぁ..そうなんですね...ギックリ腰って痛いですもんね..」

僕も昔に重い荷物を持つ仕事があった時に腰に違和感を感じつつも一生懸命に重い物を持っていたら、盛大にギックリ腰をやって1週間は休んでいた思い出がある。

あの時のギックリ腰はかなり痛かった。



ギックリ腰によっては一生歩けなくなる人もいるぐらい恐ろしい事だ。

年寄りにしかならないだろうと思っていたギックリ腰。甘く見てはいけないと知った夏の出来事である。



「それにしても此所はかなり暑いね...」



「ええ。季節はもう夏ですからね。ヒワイ島のような孤島で木が沢山生い茂る所では湿気が余計に酷く単純に暑いですからね..ちゃんと水分補給はして下さいね。」



このジメジメとした湿気が体の服に汗と最悪な感じで引っ付いてくる。

止めどなく流れる汗で脱水症状が起こらないようにするため、腰に巻かれているポーチから水筒を取りだしキャップを開ける。


暑すぎる所為か犬のように舌を出し水筒に口を付ける僕だったが、この水筒に保冷機能が無い為なのか凄くぬるい水だった。



暑い日にぬるい水を飲んだところで飲んだ気にはなれない。

僕は改めてこの依頼を引き受けた事を酷く後悔していた。




「よしっ..。ここら辺で良いだろう。ここからは俺とマカスの2人で探索する。後は3人で任せたぞ。」



そう言ってベイロットは、もう一人の団員マカスと一緒に別の場所を探索するため僕達と護衛対象とは一旦離れ、研究者と一緒に残った団員のタカフムとリューノと僕で研究者の護衛に付くことになった。



タカフムは団員の中ではそれほど身長は高くは無いが、僕からしてみれば、かなり背が高い方だ。

僕が175センチ位でタカフムは185センチ位はあるのだろう。



デカすぎる。これで小さい方だからまた驚きだ。 



以前に聞いたのだがベイロットで197センチはあるらしくて、一番身長が高い人で213センチはあるようだ。

それであの筋肉だ。そんな連中と一緒に過ごす事がどれだけ怖いのか分かるだろうか?


根は優しいと知っているがどうも慣れない。

だがその点で言うと僕より少し背の低いリューノには、かなり親しみがある。



そんな事を考え、リューノの方をニタニタしながら見ていると、止めてくださいと全力で拒否されてしまった。

確かに男同士で見つめ合うのは僕としてもあまり良い気がしない。

ベイロットみたいになる。



そんな下らない事をしてる中、研究者は気味の悪い昆虫達と戯れていた。

沢山の種類の昆虫が研究者の体の周りに絡み付いている。

その光景を見たとき僕は鳥肌がブワッと逆立ったのを覚えている。


虫は嫌いではないが好きでもない。寧ろ気持ち悪ささえ感じている。

しかもここにいる虫はかなりデカイ!

ムカデでも人間の体をグルグル巻きに出来る位の長さはあるし、芋虫のような虫は、頭に敷いて寝る枕位の大きさはあった。


声には出ていなかったが、心の中では今も大音量で叫んでいる。



「「おっ..オエェェェ~」」



僕とリューノは茂みの中に隠れ、自分が吐き出したものを見られないように吐く。



どうやらリューノもこういうものには耐性が無いらしく、気持ち悪くなってしまったようだ。




「リューノ君も..無理しない方がいいよ...」



「私は..大丈夫..です...」




その時だった。





ドォォォォォン!!




山でも噴火したのでは無いかと思う程の爆発音がした。

しかしこの島は活火山地帯では無い。自然に起きた爆発では無い事をここにいる誰もが想像した。


そうこれは人為的な爆発だ。



「まさか..ベイロットさん!」

リューノが叫ぶ。



爆発音がした方角はベイロット達が探索に向かって行った方角だ。

ベイロット達に何かがあったのだろう。



また1つ爆発音が島中に響き渡り、島にいた野鳥が一斉に上空を羽ばたく。

大型動物等がもうスピードで爆発音がする爆現から離れるように僕らの後ろへ駆け抜けていく。

まるで生きたいと本能が叫んでいるように必死に逃げることのみ徹する様子が見れた。



「賀露島さん..私行ってきます!」



「え?」




前から走ってくる動物達の波に逆流するように走っていくのを見て、僕は不穏な予感を感じ取っていた。




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