表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

雑音は切り捨ててこそ男である

「ユウく〜ん、あんな暴言を吐く暴力的な女なんてほっときなよ〜」


昼休み。


俺が自分の席で次の自分磨き計画、筋トレメニューのアップデートを練っていると、ふにゃけた甘い声が降ってきた。


顔を上げると、そこには昨日の校舎裏の件をクスクス笑っていた女子グループが立っていた。


前屈みになり妙に胸元をアピールするようなポーズを取り、上目遣いで俺を覗き込んでくる。


「そうそう。あんな冷たくて酷いカレンより、ウチらと仲良くしよ?」


「男の子があんな酷い目に遭うなんてかわいそー!ウチらならユウくんのこと、もっと優しく甘やかしてあげられるよー?」


ベタベタと距離を詰め、俺の腕にしがみつこうとしてくる女子たち。


教室の隅では、その光景を見ていたカレンちゃんが「やっぱりそうなるよね…私は男子を傷つけた悪魔だもの…」と絶望的な顔でうつむいていた。


俺は一瞬、冷ややかな目を彼女たちに向けた。


…は?なんだコイツら。


女子グループの言葉が、あまりにも薄っぺらく、そして浅はかに聞こえて仕方がなかった。


優しく甘やかす?仲良くする?


冗談じゃない。

俺が求めているのは、そんな生ぬるい関係じゃないんだよ!


カレンちゃんは違った。


俺という男の可能性を信じ、あえて悪者になってまで『大嫌い』という苛烈な愛の鞭、発破を叩き込んでくれたんだ。


それなのにコイツらは、カレンちゃんの深い愛を『暴力』だなんて浅はかな言葉で侮辱している。


俺は静かに、しかしハッキリとした手つきで、まとわりついてくる女子の手をパシッと振り払った。


「触らないでくれないか」


「「え?」」


あまりにも冷ややかな声に、女子グループが凍りつく。


普段、男子から拒絶されることなんて一度もない彼女たちにとって、それは生まれて初めて経験する男からの拒絶だったのだろう。


「ユ、ユウくん?ウチらはユウくんのために…」


「君たちの言葉には『覚悟』がない」


俺は立ち上がり、彼女たちを上から見下ろした。

昨夜からの筋トレと清潔感あふれる身だしなみによって、今の俺はクラスの誰よりも圧倒的な存在感を放っている。


「カレンちゃんはね、自分の評価が下がるリスクを背負ってまで、俺に真剣に向き合ってくれたんだ。俺を本気で変えようとしてくれたんだよ…それに比べて君たちはどうだ?陰で人を笑い、傷つきもしない安全な場所から、うわべだけの甘い言葉で俺を誘惑しようとしている」


「なっ!?な、なにそれ…」


「悪いけど、俺はカレンちゃんに相応しい男になるために忙しいんだ。カレンちゃんの『覚悟』を侮辱するような奴らと付き合っている暇はない」


バッサリ。


一分の隙もないイケメンモードで言い捨てると、女子グループは顔を真っ赤にし、ぐうの音も出ない様子でワナワナと震えだした。


「な、なによそれぇぇぇ!カレンの味方するなんて信じられない!!」


悔しさと恥ずかしさで叫びながら、ダサく逃げ出していく女子グループ。


教室中の女子たちが。

「あのグループ、男子に完膚なきまでに拒絶された…」

「ダサ…」

「自業自得ね」

と冷ややかな視線を送っていた。


軽いザマァの完了である。


「ふぅ…変な邪魔が入ったな」


俺は息を吐き、呆然としているカレンちゃんの方へと向き直る。


「あ…あ…」


カレンちゃんは、開いた口が塞がらない様子で俺を見ていた。


(な、なになになに今の!?私を庇ってくれたの!?酷い暴言を吐いた私を!?)


カレンちゃんの脳内は大混乱に陥っていた。

男子に嫌われるどころか、圧倒的なフェロモンを纏ったユウから「覚悟を侮辱するな」と、熱烈すぎる肯定と守るような言葉を贈られたのだ。

罪悪感と、あまりの格好良さへのトキメキ。

二つの感情が凄まじいスパークを起こし、彼女の顔は熟したトマトのように真っ赤に染まっていく。


(尊い…無理…格好良すぎるっ!待って、私が悪者なのに、なんでそんなに一途に私だけを見てくれるの!?理性が…理性が保てないっ!!)


「カレンちゃん、大丈夫?変な奴らに絡まれて災難だったね」


爽やかな笑顔で心配する俺。


…よし、誘惑に負けず信念を貫く男らしさを見せられたぞ!これで少しは合格点に近づけたはずだ!


もちろん、カレンちゃんの理性が今にも限界を迎え、色んな意味で爆発寸前になっていることには、俺はまだ一切気づいていないのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ