↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅炎戦記  作者: えみり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/71

暴風の戦い

瓦礫の向こう。


ゼノが一歩、踏み出す。


その瞬間。


空気が唸った。


「……風?」


次の瞬間、爆風。


兵士たちがまとめて吹き飛ぶ。


城壁に叩きつけられる。


地面が抉れる。


ゼノの周囲に見えない刃が渦巻いている。


圧縮された風。


「退け」


腕を振るだけで、真空の刃が走る。


鎧が裂ける。


槍が折れる。


兵士が倒れる。


「散開しろ!」


リシェルの声も風に掻き消される。


ゼノの足元に風が集中する。


瞬間移動のような加速。


グレイスの目の前に出現。


氷壁展開。


だが。


見えない衝撃が連続で叩き込まれる。


氷が削れる。


削れる。


砕ける。


「ぐっ……!」


吹き飛ばされる。


地面を転がる。


立ち上がる前に。


上空から圧縮風塊。


叩き落とされる。


「弱い」


ゼノは冷静だ。


感情がない。


ただ、効率的に削る。


セラフィナが炎を放つ。


だが炎は風に巻き取られ、拡散する。


「風圧で散らしてる……!」


リシェルが歯を食いしばる。


水壁を張る。


だが風刃が水を裂き、肩をかすめる。


血が飛ぶ。


兵士たちが立ち向かう。


風に押し戻される。


足場が奪われる。


立てない。


戦場がゼノの支配下になる。


暴風域。


中心にいるだけで呼吸が乱れる。


グレイスが氷を地面に突き刺す。


足場を固定。


風に逆らう。


「まだ……!」


氷槍を撃つ。


だが弾かれる。


ゼノが指を鳴らす。


風が一点に収束。


巨大な圧力球。


「消えろ」


叩き込まれる。


氷壁三枚、同時粉砕。


グレイスが血を吐く。


膝をつく。


立てない。


ゼノがゆっくり歩く。


暴風が彼を中心に回る。


「軸から断つ」


刃が振り上がる。


グレイスの視界が揺れる。


間に合わない。


その瞬間。


炎が割り込む。


轟音。


風と炎がぶつかり、蒸気が爆ぜる。


セラフィナが前に立つ。


「触れるな」


声が震えている。


風が炎を削る。


出力が足りない。


押される。


ゼノが一歩踏み込む。


炎を裂く。


セラフィナの肩が裂ける。


血。


それでも退かない。


「やめろ……!」


グレイスが叫ぶ。


その声。


セラフィナの心臓が強く打つ。


目の前で倒れかける彼。


風圧で抑え込まれ、動けない。


守れないかもしれない。


その恐怖。


怒り。


焦り。


全部が溢れる。


「ふざけないで」


炎が暴れる。


不安定。


だが距離は、近い。


ゼノがとどめを刺そうと踏み込む。


その瞬間。


氷が足元から爆発的に伸びる。


無意識。


グレイスの魔力が跳ね上がる。


それに呼応するように。


炎の色が変わる。


深い、濃い赤。


圧が跳ね上がる。


暴風を押し返す。


ゼノの瞳がわずかに細まる。


「……共鳴か」


風が乱れる。


氷と炎が渦を巻く。


蒸気が嵐になる。


グレイスが立ち上がる。


自覚はない。


ただ守りたい。


セラフィナが叫ぶ。


「下がって!」


炎が収束。


氷が強度を増す。


二人の魔力波形が揃う。


一瞬。


完全復元。


炎が暴風を焼き切る。


ゼノが後退。


地面が裂ける。


だがゼノは笑わない。


冷静に構え直す。


「面白い」


風がさらに圧縮される。


暴風域が拡大。


「だが、まだ未完成だ」


再び加速。


音が遅れて届く。


氷が削られ、炎が裂かれる。


共鳴は続かない。


感情が揺れれば、出力が落ちる。


セラフィナの炎が一瞬不安定になる。


ゼノはそこを逃さない。


風刃が迫る。


戦いは、まだ終わらない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。