再会
マリリエンヌ目線→イオニス目線になります
「マリリエンヌ様!!!」
「デジー!!!」
走り寄ると思いきり抱き合った。
ゼフィの裏庭のイスに座り、2人は積もり積もった話をした。
「結婚?結婚ですって?デジーが?」
「はい。今働いている食堂で知り合って」
「なんて嬉しいことなの!」
マリリエンヌはまたデジーを抱きしめた。
「お嬢様、王都のことは…」
「ここにいると…全く別世界だわ」
「そうですか…じゃあ、あのクズ一家がどこかへ逃げたことも?」
「なんですって?叔父家族のこと?なぜ?」
「さぁ。マリリエンヌ様がいなくなれば、ネストル様にとってはもはやあの家族は用無し。どうせお金を使い果たしてどうしようもなくなったんですよ。ざまあみろです!」
「でも、でも、ローダは…」
「イオニス様ですか?」
マリリエンヌは『イオニス』という名前を口にすることが出来なかった。
「イオニス様が本気であんな女を相手にするわけないです!私は何度もそう言っていました。
お嬢様…お気持ちは少しは落ち着かれましたか?」
ここでの暮らしに慣れ始めて、ようやく傷にかさぶたができ始めてきた…と言いたいが現実は違った。
美味しいお茶を飲めばイオニスと一緒に飲みたいと思う。
可愛い花たちを見れば彼がここにいたらと思う。
イオニスはいつも忙しくしているからゼフィのこの薬を飲めば少しは疲れがとれるのじゃないかしら……
気がつけば思考の先にはいつも彼がいる。
そしてそれに気づくたび、マリリエンヌの心は血の涙を流すのだった。
ーーーーーー
イオニスは1人細い坂道を見上げていた。
ジリルからの告白を聞いて、怒りに狂ってしまいそうになる自分をなんとか抑え、ネストルを断罪する方法を考えた。
互いに立場がある者同士。用意周到に完璧に。失敗は許されない。そして全てを皆の前で明白にしなければ…
しかしそれにはどうしても彼女の力がいる。
「おや、また来たんだね。次は何がご所望かい?」
イオニスから話を聞いたゼフィは彼の望みを聞き入れた。
そして「待ってな」
と言って奥に入っていった。
またマリーゴールドだ。
イオニスは椅子に座ったままマリーゴールドをぼんやり眺めていた。
自分を守るために1人で戦っていたマリリエンヌに気づいてやれなかった自分の愚かさが悔しい。
守ってやれなかった自分の非力さが腹立たしい。
どうして最後まで信じてやれなかったのだ。
不意にこみ上げる涙を堪らえようとした時だった。
鈴の鳴るような楽しげな笑い声が奥から聞こえてきてイオニスは息を呑んだ。次の瞬間、たしかに聞き覚えのある笑い声が部屋になだれ込んできた。
「もぉ!デジーったら!」
「だってマリリエンヌ様が!」
ガタンッ!!!
イオニスは弾かれるように立ち上がった。
ついに、マリリエンヌとイオニスが数ヶ月ぶりに互いの目をとらえた。
イオニスが両膝をつきその場に座りこんだ。
「マ…マリー!マリー!マリリエンヌ!!生きていてくれたのか!!本当に?なぜ……マリーが、マリーが生きて……!!!」
イオニスは泣き崩れた。
それは王太子でも王位継承者でもなく、1人の女性をただひたすら愛し続ける男の姿だった。
マリリエンヌも大粒の涙を流しながらゆっくりとイオニスに近づき…泣き崩れる彼を包み込むように抱きしめた。
「もうどこにも行かないでくれ。頼む。そばにいてくれ。」
イオニスはそう言うと力の限りにマリリエンヌを抱きしめた。
「そろそろ会ってもいい頃だろ」
ゼフィがニヤリと笑いながら出てきた。




