真実
イオニス目線です
王宮に戻ると、予防にも効くと言われたゼフィの薬を陛下とネストル、マーカスの分としてジリルに渡し、最後の1本は箱にしまった。
「殿下もお飲みください」
ジリルが言った。
「ああ、あとでな。」
飲むつもりはなかった。
それから数日後、マーカスは回復に向かったが、今度はジリルが休んだ。
彼の娘が流行り病になったのだという。
重症らしくここ数日が山場と言われたらしい。
一人娘で目の中に入れても痛くないというくらい可愛がっていたはずだ。
イオニスは最後の一本の薬を持ってジリル邸を訪ねた。
「受け取れません」
「なぜだ?」
「それは殿下の分ではないですか」
「構わん。どうしてもならまたゼフィに貰いに行くさ。口は悪いがなかなか心根の優しい者であるようだった。」
「それでも…頂けません」
「どうしたというのだ?早く飲ませてこい」
「…………私は、殿下からそれを頂く資格はございません。」
「どういう意味だ?」
するといきなりジリルが膝をついて泣き出した。
「申し訳ございません、殿下!私…私は…殿下を…う、裏切っていたのです。そんな私が……殿下から薬を受け取るわけにはいきません!
私が…私のせいで…マリリエンヌ様は…マリリエンヌ様は…全て私のせいなのです!」
「マリリエンヌ?今、マリーがなんの関係があるのだ?」
「嘘だと?あの報告が…嘘の報告だったと?」
「はい。全て。あの最後の舞踏会のドレスすら、マリリエンヌ様は無理矢理着せられていたのです。」
泣き崩れるジリルを落ち着かせ全てを聞いたイオニスは、次は自分の心が崩れ落ちそうに感じた。
「なぜだ?なぜなのだ?何故兄に逆らわなかった?」
「…………妻の、商人をしている妻の父親が多額の負債を出してしまい…助けてほしいと言われたのですが、とても簡単に返せる金額ではなく…
それをなぜかネストル様はご存知で、自分が立て替えてやると。」
「金は受け取ったのか?」
「いえ!受け取っていません!それは本当です!マリリエンヌ様があんなことになって…わ、私は怖くて…自分のしたことが怖くて…金を受け取るなんて…とても出来なかった…」
「マリーは何故私に相談してくれなかったのだ」
「マリリエンヌ様は脅されていたのです。ネストル様の言うとおりにしないと、イオニス様をこ、こ、殺す…と。
マリリエンヌ様はイオニス様を守るためだけに、全てを受け入れられたのです。」
「それはそれ、これはこれだ」とジリルに薬を渡し、イオニスは王宮に戻った。
落ち着け、落ち着け、考えろ、考えろ。




