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阿鼻叫喚

更新遅くなり申し訳ないです。明日明後日くらいまで忙しくなりそうなので明日の更新は出きるか分かりませんが何とか頑張ります。


はやく書きたいー

この時点で俺に残された切り札は3つ。


1つは魔操双術『死季』

理想は第2段階の"春"で使用することだ。あと半ゲージで溜まるので此方は問題ない。


2つ目は『リベリオン』

腕にはめている肘宛と雪陽花による魔操混術である。被ダメと同タイミングに発動することで対象に魔力量を2倍にしてカウンターできる。


幸いにもここまで奴の攻撃は噛みつきや爪での引っ掻きなど全てが近接。しかも当然ながらその全てに魔力の関与がある。しかし使用後は此方がほぼ行動不能となるため本当に最期の切り札なのだが1つ問題がある。


それは奴が技らしい技を未だ殆ど見せていないことだ。唯一上げるとしたら先程の放電くらいだ。他は全て牙や爪に魔力を纏わせただけで、恐らくそれを2倍にして返したとしても殺りきれないだろう。


そのためにも奴から大技を引き出して、尚且つ初見でタイミングを完璧に見切らなければならない。いくら難解でも他に道はない


そして最後の切り札は








『ゼーレ』


俺は悪魔の名を呟く。一夜にして日本中を震撼させ、数多のハンターを死地へ葬ったその悪魔の名を。


不知火千影という人間は天才にして秀才にして鬼才。生まれながらに天賦の才を授かり、その上努力の才まで持ち合わせていた。天才がその才能をひたすらに磨いた時、人々は彼女を鬼才呼んだ。


人間を遥かに超越した不知火千影の才は日本全土だけでなく世界的に見ても評価された。しかし彼女を彼女足らしめるものはこれだけではない。


彼女自身が作り出した魔術、そして彼女しか扱えない魔術、その存在が彼女を真の天才足らしめたのだ。



亡魔召喚


それがこの魔術の名である。一般的な召喚魔術は現魔召喚と言われているが2つの違いは明らか。現魔召喚が魔力量に応じてランダムに悪魔を召喚するのに対して、亡魔召喚は己の魔力で悪魔を作り上げる。


簡単に言うと亡魔召喚とは魔力による悪魔の模倣だ。ただし只の模倣ではない、その再現度には寸分の狂いもない。


そして何よりも恐ろしいのがその召喚対象である。亡魔召喚は己が倒した悪魔を召喚できる。正確には魔核に触れた対象の構成情報を読み取り、魔力で模倣する。


更に召喚ではなく模倣なので制御不能による現界への降臨なども起こらない。そしてこの魔術を使える人間は世界中で不知火千影ただひとりである。






俺の背後の空間に一筋の亀裂が入る。15m程の縦長の亀裂はこの世界が虚空であったと告げているようだ。次の瞬間、亀裂から灰色の五指が這い出てくる。悪魔は狭間に指を掛けて更に亀裂を裂かしていく。


いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁバァァァァァァァァァアァァぎぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁブォォォォォォォォォォォダズゲデエェェエアエァエァエエゴオァボォェェエエエェェェアキアカェ


亀裂が広がったと同時に、中から阿鼻叫喚の呻き声が漏れ出してきた。それは人間の嘆き、悪魔の呻き、声なのかも分からないような乱雑な音、全ての悲哀が混じっていた。


そしてその呻きを遮るように無数の手が狭間を埋め尽くし、空間の裂け目を更に押し広げる。その時、冥土より一体の悪魔が顕現する。


4年前に突如現れた巨大ゲート。魔力測定器の指針は限界値を振り切り、測定不能とされた。その日その瞬間、日本で初めてのS級ゲートが観測された。


そして当時海外任務の最中だった1つのギルドを除いた天断、婆娑羅、黒薔薇、万古の四大ギルドを中心に編成隊が組まれた。


そんな彼らと死闘を繰り広げ、東堂のハンター生命を終わらせた存在。それがゼーレという悪魔である。


狭間より降臨し悪魔は全長15mほどの巨躯を持ち、頭は存在しない。胸部辺りから無数の腕が、頭の位置に浮遊する真黒の球体を守るように伸びている。そしてゼーレの肉体は全て魔力で型どっただけのもので本体はあの黒い球体である。あの球体には奴の全魔力が濃縮され、超高濃度の魔力攻撃を放つ。


「あの悪魔を攻撃しろ」


俺は悪魔に命ずる。同時に戦うのは危険だ。共闘で得られるアドバンテージは大きいが奴の巨体に注意しながら戦うのでは返って隙に繋がってしまう。


亡魔召喚は通常の召喚とは比べ物になら無い程の魔力を必要とする。そのため魔力が完全に底をついてしまった。足手まといになるくらいなら魔力回復に徹底した方が良いだろう。


「久し振りの感覚だな」


俺は近頃は感じることの無かった懐かしい感覚に浸る。腹に手を当て、蒸せ返るほどの吐き気を無理やり飲み込む。


飢餓だ。どうやら今までは膨大な魔力によって相殺されていたようだ。ここに来て飢餓状態の再発とはかなり不味いことになった。


だが当分は問題ない筈。召喚したのはSゲートのボスだ。簡単に殺られる筈がない。


ボギャャャャャャャャおごぉぉぉぉぉぉぉぉげぇぉぉぇぇぇぇぉおおぉぉぇドボボボボボボェォォォゥボォォォダダアズズェェエエゴォェェ


惨たらしい阿鼻叫喚と共に奴の球体がブレ始める。靄が掛かったように歪み、その力を示す。その瞬間、超高濃度のレーザーが犬の周囲ごと消し飛ばした。


しかし跡形もなくなった雪原に奴の残骸はない。


「後ろだ!」


奴に言葉が通じるかは分からないが反射的に叫ぶ。奴の背後の地面からヌッと姿を現した獅子はゼーレの脚を駆け上っていく。


胴体に攻撃すること無く、浮遊している球体目掛けて一目散に駆け上る。何故か本体に気付いている。


駆ける獅子に無数の腕が掴みに掛かるが、獅子はその全てを無難にかわす。巨体故に速さはあちらに分があるようだ。


奴は迫り来る腕を正面から噛み千切り、遂に目の前に球体を捉える。次の瞬間、球体から極太い腕が伸びて、獅子の首を鷲掴みにした。


「ガガッヴゥルルルルル」


獅子は器官を閉められてもがなり声を上げる。そして突如、獅子がその大口を開口する。そして獅子の体躯の何十倍もある魔力の玉を眼前に形成させた。


刹那、巨大な魔力玉が一瞬でゼーレ目掛けて解放される。ゼーレは掴んでいた腕を引っ込め、無数の腕で球体を守る。


離された獅子は地に落下していき、魔力の放出を中断させた。レーゼは間髪入れずに球体から真白の剣を顕現させ、奴目掛けて投擲する。


獅子は空中で身を翻すも白剣に胴体を貫かれる。そしてみるみる内に純白だった刀身が深黒へと染まっていく。奴の顕現させた純白の剣は対象の魔力を吸い上げる効果を持っていた。

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