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日曜日は特売日なのだ

「ゲートの中にゲートだと!?」


「はい。昨日のC級ゲートの道中で発見しました。」


「確かに昨日、君が回収班としてC級ゲートに参加したことは記録として残っている。でも何故君しかこの事を知らないのだ。他の連中も一緒に行動していた筈だが」


「このゲートは空間的歪みとして本来のゲートのように形がはっきりしているものではなく朧に景色が歪んでいるようなものでした」


「では君は何故その歪みに気が付いたんだ?」


「私も不注意で歪みに入ってしまいまして」


俺はこの後、ゲートの中の景色が止まっていたこと、強力な悪魔がいたこと、戻ったとき時間が進んでいなかったこと、その他追憶のゲート関連以外の全てを話した。


「そんなことがあったのか。情報提供本当にありがとう。」


「いいえ、俺もハンター統括本部にはお世話になっていますから。」


ゲートの受注から募集までを統括してくれる。ハンターがハンター活動を出来ているのは間違いなくこのハンター統括本部あってこそだ。


「因みにその悪魔の強さを具体的に教えてくれ。正確な情報が知りたいのだ。」


ハンター統括本部はこの国のハンターを取り締まる義務がある。それはハンターだけでなく国民全体を守る義務でもあるのだ。


不確定な情報を国が流すわけにはいかない。だから正確な情報が必要なのだ。


あの場所にいたハンター統括支部所属の灰崎は自分をB級と言っていた。それが本当なら、恐らく灰崎単体でバベルを倒すことは不可能だろう。


灰崎とバベルでは魔力量が圧倒的に違う。そして何よりバベルは会話が可能だった。そう考えると奴は恐らくA級辺りが妥当だろう。


しかし困ったことになった。もし俺がバカ正直に「A級くらいでした!」と話そうもんなら、それをE級の俺が単身で討伐したことになってしまう。


既にレバル正教会事件と先日のハンター統括本部内のゲートブレイク事件で目を付けられているんだ。悪目立ちはしたくない。


すると俺の考えていたことを読み取ったのか、ハンター統括本部会長東堂御門が口を開いた。


「君を詮索するようなことはしないと約束しよう。この事は極秘情報として厳重な手段を持って世に広めるつもりだ。万が一にも君の個人情報が漏洩するようなことは無いだろう。」


話の分かる人だ


「分かりました。私の見立てでは恐らくA級ゲートレベルの悪魔だったと思います。」


「そうか、分かった。今日は本当にありがとう」


「いいえ、では自分はこれで」


俺は話すべきことを話しきり腰をあげる。


「あぁ、少しだけいいかな」


「はい、なんでしょう」


「近い内に君に頼みごとをするかもしれないがその時は力を貸してくれないか。悪いが詳しいことは今は話せないんだ」


「分かりました。そのとき次第ですが善処します」




俺は自宅に帰る途中、自宅の電気がついていることに気が付いた。


「藍がいるのか!今晩はカレーか」


妹は独り暮らしをしている俺の家に時々泊まりに来る。仕方なく来てあげているそうだが家族と食卓を囲むと実家にいた時を思い出す。


だからたまにはこういう日があってもいいと思っている。


「ただいまー」


「お帰りお兄、今日はなんとジャガイモと玉ねぎが半額だったので私の手作りカレーでーす」


「おおー、包丁握れるようになったのか!大きくなったな藍」


「今カレー要らないって言ったの?」


「冗談だ冗談、ありがとな」


「早く着替えてきてよ………あとさお兄、何か最近筋肉ついた?筋トレしてるの?」


俺の体つきの変化に藍は驚いたような顔をした。俺の肉体は魔力量の増加と共にそれに耐えられる筋肉がついてきたのだ。


「あぁ最近始めてな、お陰さまで今日なんてC級ゲートに行ってきたぞ」


「まじ!?」


「回収班でな」


「なんだよ」


そんな会話をしながら俺は部屋に荷物を置き、カレーを頬張る。


その後は2人で刑事ドラマを見た。


「こいつ絶対殺ったわ」


「私もそう思う。あとこの女もグルだね」


そんな不気味な会話を交わしながらもようやく藍が布団に入る。


「おやー」


「すみー」


今日は長い一日だったが、藍のお陰で疲れも吹き飛んだ。やはり家族の存在は偉大だ、改めてそう実感した。


そして藍が寝た今、俺には確認しなければならないことがある。


まず、こちらの世界でも零門が使用可能なのかどうかを確かめた。結果は問題なく使えた。


次に『呪楔』だがここで試して、万が一バベルが出てきてしまったらここの天井を弁償するだけでは済まなくなってしまう。


『呪楔』について試したいことは山ほど有る。まず支配できる数に限りがあるのかどうか。


そして支配した悪魔のバフ、デバフだ。支配した時と同じ強さなのか、弱体化しているのか、それとも強化されているのかどうかを知りたい


最後に、支配後に死んだ場合そいつはどうなるのか。呪縛の魔神をみた限り、奈落へ落とした自分の兵も這い上がってきていたことから恐らく復活可能だと思うが。




これらは次回のゲートで試してみるか。


「早速検索っと」


俺はスマホを取り出しハンター統括本部が運営するダンジョン募集サイトに飛ぶ。こんなことがあってダンジョンにいかない方がどうかしている。


俺は募集を実施日の近い順にして検索する。

すると上にはずらっと明日の日付が記載されたダンジョン募集が載っていた。


「E級、E級、D級、E級、C級、D級…………お!これなんてちょうどいいな!募集要項は…………」


俺は1つのダンジョン募集を見つけた





B級ゲート


実施日 

5月11日 (火) 9時集合


集合場所 

端朝市 難波山東登山口前


編成

攻略班のみの15人編成

B級 6(ヒーラーあり)

C級 8人

募集枠 1人




募集人数

1人


募集条件

C級ゲート以上の潜入経験あり

前衛の近接職のみ





「募集人数1人!?」


俺は指を高速で動かし送信ボタンを連打した。B級ゲートなのにCゲート以上の経験があれば攻略班として参加できる。こんな優良物件はそうそう無いだろう。必然的に競争率は高まってくる。


そしてB級ゲートでありながらこれだけC級ハンターを許容しているのは恐らく………


「ヒーラーか」


そう、この攻略班にはB級のヒーラーが参加しているのだ。だからこれだけ少人数のB級ハンターだけでも立ち回れるのだろう。


そもそもヒーラーとはそういう役職が有るわけではなく、ヒール魔術の使用が可能な魔術師のことを指す。


この「前衛の近接職のみ」という募集条件もヒーラーを軸に編成を考えているのだろう。


ヒーラーを軸にした編成では前衛の近接職とヒーラーを守るガーディアンで構成されることが殆どだ。


後衛は基本攻撃を受けないのでヒーラーが腐ってしまう。だからヒーラーがいる場合は前衛の近接職が多く編成されるのだ。



因みにヒールは重力操作魔術に並ぶ四大魔術の内の1つである。しかし会得者は四大魔術の中でも一番多く、上位のダンジョンではそう珍しくは無い。


ヒールは蘇生以外の殆どの治癒が可能だ。たとえ腕がとれても細胞が生きているなら治癒ができる。


しかし切断されて長時間が経過してしまったり、切断部の壊死が起こると治癒は不可能になってしまう。


その時、俺のスマホに一通の受信メールが届く。差出人はハンター統括本部からだ。


「頼む!来てくれ!」


俺はそのメールを開き中身を確認する。



「条件を満たしましたので参加を受理します」


その一文を見て俺は部屋で1人握り拳を作ったのだった。

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