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追憶のゲート

「追憶のゲート零門ってなんだよ。ていうかゲート?」


突如俺の脳内に告げられたゲートの出現。見ると俺の前に1つのゲートが現れた。そして俺はそのゲートに吸い込まれるように消えていく。


「え?あっ………ちょ………まっ………」


暗闇が俺を包み込んで深淵の底に沈んでいく。そして俺の意識が覚醒した。


落ち着かない、あの時の浮遊感、あの時の暗闇、あの時の空間


「2度目か…………」


忘れる筈がない。入院中に見た夢の中で、俺が全てを見た場所。俺は此処から自称神が俺に食い殺されるのを見た。


この"声"が言うには此処は追憶のゲート零門という名称の空間らしい






【只今より追憶のゲート一門が開かれます】


【追憶を始めますか】


  【はい】 【いいえ】



その時、俺の目の前に突如選択肢が現れた。どうやらこの追憶のゲートとやらは強制参加ではないようだ。叶うなら1度休憩をしたいところだ。


疲労感はMAXだし、何より先にバベルを喰らっておきたい。一応名前にゲートと付く限りは中には悪魔がいる筈だ。




俺は【いいえ】を選択した。


【追憶のゲート一門は一度きりの出現になります】


【よろしいですか】


「……………何か重大っぽいな」


俺は考え直す。これを取り逃したら後悔するような気もしてきた。


「やるか」


俺は【はい】を選択した。どうなるかは事の成り行きに任せるとしよう。


闇が捻れ、俺はこの無限の中を進んでいるような感覚に陥る。そして俺の視界にうっすらと光が映り始めた。


その光は







「……………………月か」






そう…………あれは月だ。





そして月の光に照らされて、2つの悪魔の大群が大地を揺らしながら進軍している。


俺の意識は一体の悪魔に憑依した。どうやらこの身体は先程のバベル戦とは違い、俺の意思で動かせるようだ。俺の身体は黒い靄を纏っている。


手では手綱を引き、繋がれた首のない馬は首がないにも関わらず天高くその嘶きを轟かす。


俺は大群の先頭で自陣を率いていた。そして眼前に群がる悪魔達を見据える。


オーク、オーガ、翼竜にケルベロス、他にも見たことのない大小様々な悪魔達がこちらに殺意を向ける。今にも交わりそうなほどに両軍が向かい合った。


そして敵軍の先頭に佇む一体の悪魔に俺はこう言い放つ



『慈愛よ、何故我を裏切った』



俺は目の前のこいつの事を何も知らない。この状況すら理解していない。果たしてここがどこなのかも分からない。


しかしこの身体は全てを記憶している。この禍々しい悪魔の身体は全てを知り、全てを持っている。そしてこの身体は俺に全てを教えてくれた気がした。




『呪縛よ。お前は強く成りすぎたのだ』





俺の身体が自然と動き出す。それは俺がそうすべきだといつの間にか判断していたからだ。まるで今までもやってきた動作であるかのように何一つ違和感を感じない。




『アルゴス・ヌー』




気が付くとそう言い放ち腕を振り下ろしていた。次の瞬間、大地に両軍全てを囲うような1つの巨大魔方陣が浮かび上がる。それは俺を中心としてどんどん魔力濃度を増していき

刹那……







世界は落ちた


俺と慈愛を残して




大地が陥没した。3次元が掌握され翼竜ですら抗えぬその重力操作に奈落が形成された。底は見えず絶えず闇が続いている。


そしてそこには2つの塔だけが聳え立つ。首無しの馬を自ら消し飛ばし、俺と慈愛が同じ目線で向き合う。




『お前は道理を外れた紛い者だ。ここで散れ』





俺の右腕が空を真横に断つ。


届いていない。腕は空を断ったのだから。


だが3次元を統べるものにとってこの程度の距離、有って無いようなもの


同時に慈愛の首が消滅した。血飛沫すら飛ばずこの世界から慈愛が死んだ。


慈愛の胴体が奈落へ消えていき、塔の頂きに一体の悪魔が立つ。その顔は喜を微塵も含んでいない。



『平伏せよ』




俺の命令と共に腕から千度の鎖が奈落の底へと伸びる。今この瞬間より俺と敵軍の死兵は呪いという名の硬い楔で結ばれた。


そして奈落の底から悍しい呻き声が聞こえてくる。そしてその声は段々と近付いて来て、底からその姿を現す。


死兵がお互いを足場として地上まで昇ってきたのだ。そして死兵の軍は俺の足元に対岸までの橋を形成した。


俺は死兵を踏みしめ


慈愛を踏みしめ



奈落を渡りきる。




























【追憶が完了しました】


【追憶のゲート零門への転移を確認】


【再現度の確認を開始します】



【追憶時間の誤差を確認】


【誤差3.0秒】



【『アルゴス・ヌー』の使用を確認】



【慈愛の魔神の討伐を確認】



【『呪楔』の使用を確認】



【追憶再現度…………】









【99.5%を確認】





【加算値を確認】




【呪縛の魔神の身体的順応値…………合致】


【誤差1%未満】



【呪縛の悪神の魔力的順応値…………合致】


【誤差1%未満】



【魔心との共存性…………合致】


【誤差1%未満】



【総再現度を確認】










【103%を確認】



【想定値の超過を確認】


【限界値の超過を確認】






【混魔異能の獲得システムを停止】


【純魔異能の獲得システムを起動】










【異能名『呪楔』を獲得しました】



【呪縛の魔神の魔力と本肉体との適合を開始します】


【肉体の魔力器量の限界値を検出】


【呪縛の悪魔の魔力量52%が適合】



【記憶の神の関与を確認】


【情報コードA002の削除を開始】


【完了しました】




【追憶のゲート零門が使用可能になりました】





【現界への回帰を開始します】

混魔

魔力純度が疎らで、極まりきっていない悪魔。悪魔の階級のトップ層以外をまとめた総称。底辺層から準トップ層までの総称なので玉石混淆である。バベルなんかは玉です。


純魔

魔力純度が極まった悪魔。悪魔の階級のトップ層のことを言う。別称魔神とも言う。

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