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在りし日の夢

サークルセネピードとの戦闘の翌日、ハンター統括支部の人から一通の連絡メールがあった。


それは徹と藤森についてだったが二人とも命に別状はなく2ヶ月ほどの安泰が必要な程度だそうだ


ヒーラーの処置にも限度がありその場で元通りと言うわけでは無くあくまでも応急処置、自然回復期間が必要なのだ。



サークルセネピードを倒した後、俺は多少の空腹感を再び感じた。だが『グラ』と言ったあとその空腹感はきれいさっぱり消えた。


ここから俺は

大きな魔力に当てられることで飢餓を感じ、『グラ』と唱え、悪魔を喰らうことでその飢餓は無くなるという一つの仮定を立てた。


悪魔を喰らうというのは実際に腹を悪魔で満たしているわけではなく恐らく悪魔の肉体が俺のエネルギーに変化しているのだろう。



ところで俺は今ハンター統括本部に来ている


メールの端っこに本部の住所と日時と共にハンター統括本へ招待する旨の内容が添え書きされていた。


本来なら、2回の不可解な事件に巻き込まれた俺を勘ぐっているだろうハンター統括本部との接触を選んだりはしなかっただろう。



しかしそれを見越した上でなのか最後の一文にこんなことが書かれていた。


「希少性の高い武器、防具を揃えてお待ちしております。」


これにはさすがの俺でも逆らうことは出来なかった。何せ先日の戦闘で、買ったばかりの双剣を粉々に粉砕されてしまって、丁度武器の購入を検討していた最中だったのだ。


ただあれだけの戦闘を終盤素手でやってのけたことで、このまま素手で戦うか?と考えもしたが、この先武器が必要になる機会は増えるだろうと思い武器を買うことに決めた。



「おぉ…………………これが噂の」



森羅万象の時辰儀



製作者


製作日


共に不明でありながら、この世の森羅万象を知り尽くした未詳の遺産。ハンター統括本部に置かれていて、この時計に分針は存在しない。


この時計は人類滅亡までのカウントダウンであり、時針が12時を指すときが人類の最後であると言われている。


「ここにいらっしゃいましたか傑様。」


この人は俺が病院にいる時に訪ねてきた内の一人だったな、名前は確か………………


「室伏忠信です。退院されたようで何よりです。」


「ありがとうございます」


そうだ、確かに室伏と名乗っていた気がするな


「奥の部屋で会長がお見えになっております。そちらまでご案内いたします」


ここハンター統括本部は都心に位置しており、日々ゲートの情報を集めてそれを世間へ発信するいわば最上級情報機関である。


「会長、客人がお見えになられました。」


「どうぞ」


「失礼いたします。」


ドアが開かれ、外を眺めていた白髪の厳つい男が此方へ振り向く。


「初めまして綾小路くん、私はハンター統括本部会長の東堂御門と言います。」


「初めまして、綾小路傑です。」


一目見ただけで分かるこの圧倒的なオーラ。

この人物は最前線で戦うS級ハンターであった。


4年前のS級ゲートでは最年長ながら全国から集まった精鋭隊のリーダーとして勝利へと導いた。しかしその代償として右腕を失いハンターを辞めた。


「今日はお越しいただきありがとう。どうぞ座ってくれ」


東堂はそう言って俺をソファーへ促すと同時に目線で室伏に退出するように伝える。


「失礼します」


室伏が退出して俺と東堂が向き合う形に座る。


「私はもう老い耄れだ、ハンターを引退してからもう4年も立つ。だがね、今も時々君みたいなハンターを見ているとふとあのときの自分を思い出すんだ。」


東堂はその厳つい顔からは想像出来ないような朗らかな笑顔で話し始めた。


「君は何故ハンターになったのかな?」


「自分のためです」


これは嘘偽りない本音だ。

戦友の死が報われるためだとか

妹のためだとか

家族のためだとか

確かにそれもある。


しかし今俺を動かしている原動力は間違いなく強くなる自分を見てみたいという思いだ。

サークルセネピードとの戦いでそれに気づいた。


「ふふふ、やはり君は昔の私そっくりだね。」


彼の話を室伏から聞いた時、私は無性に彼のことが知りたくなった。興味が湧いた。死ぬような思いを二度も味わいそれでもハンターに希望を見出だす彼に会いたいと思った。



でも私にはもう叶わない。死ぬような思いも味わうことが出来ない。


「今日はこれだけのために来て貰って悪かったね。でも君に会えてよかったよ」


「そう思っていただけてよかったです」


俺は部屋を出る


「綾小路くん」


「はい?」


「………………ごめん忘れてくれ」


今度こそ俺は部屋を出た。部屋の前で室伏さんが待っていた。


「どうぞ此方へ」


室伏は俺を別室まで連れていく。

その途中で室伏が口を開く


「今回の件と前回の件は偶然ですか」


「単なる偶然ですね」


「そうですか」


帰ってきたのは想定通りの返答だったらしく、それ以上追求してくるようなことはなかった。


「着きました」


室伏に連れられた部屋には沢山の武器や防具がずらりと並べられていた。これまで見てきた店にはないような武器や防具ばかりだった。


しかし


「!!!……………………百四十万………………」


近くでよくよく見てみると小さく値段が書かれていた。だがその値段は全然小さくなかった。


俺が今日来た理由の殆どがこれなのに、まさか見るだけ見て買えないだなんて盲点だった。


「綾小路様、会長より好きな武器か防具を一つ譲るとの伝言がありました。」


「ほんとですか!」


まさか無償でこれだけ高いのが手に入るなんて……… やはり来て良かった


そっちのなんて、俺の2年分の給料の位あるぞ


しかし悩むな。今まで片手剣か双剣しか使ったことないからなぁ………それとも防具を買うか?






「これにします」


「かしこまりました」


俺は双剣を購入した。片手剣も考えたが『グラ』で肉体が他より急激に成長することを考えると後々盾が邪魔になるだろう。それと防具は一部分を貰っても余り効果は見込めない


双剣『雪陽花』

漆黒の刀身を持つ剣は使用者に様々な景色を見せるだろう


それは雪のように冷たく


それは太陽のように熱く


それは花のように舞う


【切れ味】 B→A

【軽さ】 A

【強度】 B

【物理威力】 C→A

【魔操威力】 B→A


 魔操双術『死季』

段階的に使える魔操術が変化していく。それと同時に物理威力と切れ味も増していくが魔操術の変化に依存する。






俺は剣を受け取り室伏さんと別れる。行きに通った道を通り、階段を二つ下り、角を曲がる。


「あれ?…………あ、ここ地下一階じゃん」


貰った剣について考えていたら階段を下り過ぎてしまったようだ。俺が今来た階段を再び上ろうとしたその時だった




「…………………………………………何故だ」













激しい飢餓を感じた

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