魔女と聖女
「ぐ……」
「リヒトさん!大丈夫ですか?!」
「……」
リヒトは吹き飛ばされた拍子に怪我をしていた。グラスは覚悟を決める。
「何、を……」
グラスはその手で奇跡を起こす。青い光がリヒトを包み込んだ。
「これ、は……」
すると怪我はじわじわと無くなってゆく。
「?!」
「これで、大丈夫なはずです!」
「……何故だ。何故助けた!?その力はなんだ?!」
「え?」
「魔女だ!お前は魔女なんだな?!」
「違っ……」
また処刑される?!魔女、それは聖女の少し前の時代の呼び名だった。彼女達は魔女と忌み嫌われ処刑された。
「わ、わた、……しは……」
「何故助けた?!」
「私が聖女だからです!」
思わずそう叫んでいた。
「聖女?」
「……あわあわあわ?!」
グラスはパニックになっていた。するとそこに親衛隊達がやって来る。
「マリー様!どうかされましたか?!」
「今凄い音が……」
「あ!えーと!その?!」
どうしよう?!このままじゃまた処刑される?!そう思ったグラスの前にリヒトが立つ。
「なんでもない。壁に私がぶつかっただけだ。」
「へ?」
リヒトは何故かグラスを庇った。そして、親衛隊と共にヒビの入った部屋を片付けはじめる。
「あ、え?あの?!」
「勘違いするなよ。借りを返しただけだ。マリーについて詳しくお前からは聞かなければならないからな。」
グラスはリヒトから耳元で小声でそう言われた。そうだ。私がここにいるならマリーはどこにいるのだろう?わからない。ならどうして私はここに転生したのだろうか?
何か……思い出したような気がした。それは……。
「おい。」
「!」
「聞いているのか?」
「あ、いえ、すみません。」
考え込んでいて気がつくと部屋の壁は元通りになり、親衛隊達は部屋から出ていっていた。
「マリーの顔でそんな事を言うな調子が狂うだろ!」
「すみません……」
「それで、お前は誰なんだ!」
「私はグラス。グラス・マクベス。未来から来ました。」
「?!未来?」
「はい。私はマリーではありません。後の時代で聖女と呼ばれるグラス・マクベスです。」
「……」
「マリーさんの居場所もしりません。私は何故かこの身体に転生してきただけで、本当に何も……」
「……分かった。信じる。」
「へ?本当ですか?!」
「何かを企んでいるようには見えない。かと言って全面的に信じる事もできない。」
「そう、ですよね。」
そういってグラスは肩を落とした。、
「まさか、中身が変わってしまうなんてな……私の役目ははたせそうにない。」
「役目?」
「お前には関係ない。」
「はい。」
「それで、未来から来たのだろ?マリーはいつ死ぬんだ?」
「未来では死んだ事になってますから、死ぬことは確実です。それも処刑台で。」
「……そうか。」
「?」
リヒトの瞳はどこか朧気だった。
「これより、お前を連れて国王に会いに行く。」
「へ?」
「お前に不思議な力があるならそれを国王に報告すべきだ!!」
「え?」
そう言ってリヒトはメイド達を呼んでグラスの身支度させる。そして、馬車へと詰め込んだ。
「いくぞ!」
「えーーー?!」




