絶望と奇跡
「わ、わた、私を愛する人達とは?!」
「まあ、平たく言えばそういう関係です。」
「?!?!」
聖女だったグラスにとって男性と関係をもつと言うことですらありえないのにこんなにたくさん……!?と、グラスは赤面して顔を抑えた。
「お嬢様!大丈夫ですか?!」
「お嬢!」
「記憶喪失なんて嘘ですよね?!」
「お前達、そう詰め寄ってはお嬢様が困るだろう。出ていけ。」
そういってリヒトは親衛隊を部屋から出すとベットの横に戻ってきた。
「お嬢様、私も何かお力になれるよう尽力いたします。」
「あ、ありがとうございます。リヒトさん!」
「さんはいりません。」
「あ、さん付けの方が慣れて……」
「?」
「あ、いえ、なんでもないです。」
リヒトは少し眉を顰めた。
「あの、しばらく1人にしてくださいませんか?」
「……かしこまりました。」
リヒトは部屋から出ようとすると親衛隊に取り囲まれる。
「抜けがけはずりーぞ!」
「そうですよ!」
「独り占めは良くないよ!」
「抜け駆けなどしておりませんので、ご心配にはお呼びません。」
そう言って扉を閉めた。
「ど、どうしよう!?」
このまま別人だとバレればどうなるのだろう?やはり処刑なのだろ……。
「処刑……」
グラスの顔が青ざめる。いやだ!死にたくない!!
グラスはなんとかしようと考える。しかし、いい案は浮かばなかった。
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。目覚めるともう夕焼けが窓の外に見えていた。ドアをノックする音が聞こえる。
「はい。」
そこに現れたのはリヒトだった。
「リヒトさん……」
リヒトは迷いなくグラスの方へと向かってくる。と、グラスをベットに押し倒す。
「?!」
「本当に記憶が無いらしいな?」
「へ?」
「それとも︎︎゛別人︎︎゛になったのか?」
「?!」
「ほう、その反応、どうやら正解らしいな。」
「ち、違っ……」
違うと言う前に口元を押さえ付けられる。
「い……」
「黙れ、偽物。本物はどこだ?!」
リヒトの手が口元から首元へと手が移動する。今度は息苦しくなる。
「リヒトさん!やめて……」
「いいから答えろ!偽物!」
偽物……。その言葉が胸に刺さった。どこに行っても私は偽物なんだと絶望する。苦しい……。グラスは諦めた。このまま殺してもらおう。そうすれば楽になる。そう思って抵抗を辞めた。辞めた……。
諦めるの?そう声が聞こえる……。
だって、私は偽物だもの……。
諦めてしまっていいの?
だって私なんて……
じゃあ、どうして助けて欲しいと願ったの?
それは……。
「!?」
抵抗を再開する。それは、生きたかったからだ!!
「!!」
次の瞬間リヒトは壁に吹き飛ばされていた。
「え……私……」
震える手のひらを見る。
「まさか……」
そう、そのまさかである。
「今世でも、奇跡が、使えるの……?」




