帰路
式が始まる。式は恙無く執り行われていた。そして、近いのキス。ゆっくりとアルトの顔が近づいてくる。
「……アルト様、キスは流石に……」
グラスはそういって拒む。公爵はニタリと笑った。
「さて、そろそろか……」
「?」
そして式場にいきなり人が入ってきた。
「この結婚は破談だ!!」
「?!」
「国王陛下から王命が下った!」
辺りがザワつく。
「聖女マリーはその力で人々を誑かし、騙したその罪から公爵との結婚を破談とする!とのことだ!!」
「?!私、騙してなんか……」
「だそうだ!」
公爵は笑みを隠さない。
「アルト様……貴方、私を……」
「……」
「……嵌めたのですか?」
「……」
アルトは何も答えなかった。
「いや……」
グラスは目の前が真っ暗になった。また処刑される。その恐怖から意識を失った。
「……」
アルトがそれを支えて姫抱きする。
「この話は国王陛下の命令どおり破談とする!!」
そうして式は終わった。アルトはグラスを自室へと運んだ。しばらくしてグラスの目が覚める。
「……あ。」
「おはよう。」
「アルト様!さっきの一体……」
「大丈夫だ。安心するといい。悪いようにはならないさ。」
「何をされたのですか?」
「大臣達に掛け合った。」
「!」
「少し、弱みを握っていてな。それを使ってあの結婚を無かったことにする告訴状を作らせた。」
「でも、私……」
「大丈夫だ。昼には取り下げられる。」
「へ?」
「マリーが聖女として人々を騙したと大臣達が訴えた事によって国王はお前と私を結婚させる訳にいかなくなった。だが、昼には大臣達が思い違いだったと告訴を下げる。」
「では……」
「お前は元の通りに暮らせば良い。」
「……公爵、ありがとうございます。」
「もう名前で呼んではくれないのか?」
「へ?」
「ほら、アルトと。」
「あ、いや、その……」
「いいからそう呼べ。」
「は、はい。」
こうして結婚式は中止になった。大臣達は公爵の言う通りに動いた。グラスはその日のうちに屋敷に帰る事になった。帰路の馬車にて。
「リヒトさん。この度はご迷惑沢山お掛けしてしまってすみません。」
「いや、お前に何も無くて良かったよ。」
「はい。」
こうして王都での1件は終わりを告げたのだった。




