第七話 釣り好きの二人
記憶の図書館は営業する日が決まっている。
休日を迎えたこの日。とある人たちは外出していた。それは、ブルーとアヤメである。
「今日は天気がいいですね。」
「ああ。本当にいい。」
すがすがしいほどの朝日を二人は見ながら、海に隣接している桟橋に、腰を下ろしていた。手にはしっかりとした、釣り竿とその餌。そして、網がある。あたりには人はおらず、二人きり。静かな朝だった。
彼らは、時々釣りをしに来ているようだ。
「みんなが久々に焼き魚を食べたいといっている。頑張るぞ、ブルー殿?」
「ええ。頑張りましょう。」
ブルーの言葉にアヤメは静かに首を振る。アヤメはこの釣りを頑張りたいとは思わないようだ。
「頑張るんじゃない。楽しもうよ、ブルー殿?」
それを聞いたブルーはハッとしたように口を開く。そして、くすっと笑った。
「それもそうだな。楽しまないと。」
ブルーとアヤメはしばらく釣り糸を垂らしのんびりと水平線を眺めている。先は見えない。見えることない。でも、予想ぐらいはできるもので……。
「そういえばブルー。君は海を超えたことはあるかい?」
「海ですか?まぁ……ありますよ。」
アヤメはからかうように尋ねた。
「泳いで?」
「……あぁ。」
「え?」
からかうつもりで言ったが、全く違った。驚かされたのはむしろアヤメだった。目を丸くしてブルーを顔見している。ブルーは眉をひそめた。
「聞いたそっちが驚かないでくださいよ。」
「嫌だって……あっ。」
アヤメがそう言った矢先、彼女の釣り糸が勢いよく巻かれていった。ヒットしたようだ。会話を中断し、アヤメは釣り竿を引っ掛ける。
「ぐっ……大物だなぁ!」
その声はとても楽しそうだった。




