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■02話 自然淘汰

ヒデオ

「あーモテたい」




 昼休み。シーエの教室に来てこう漏らす男子は1年の時に知り合った茶畑ヒデオという友人だ。

 



シーエ

「何だ唐突に」


ヒデオ

「唐突じゃないよ。四六時中考えてるよ」


シーエ

「ヒデオの"モテたい"は人間としての魅力を上げたいって方向か? それとも性欲か?」


ヒデオ

「性欲」


シーエ

「ならウチがいるだろう。 ウチとヤれば良くない?」




 彼はこの言動からもわかる通り、典型的な性欲男子……なのか? 初見はそんな印象だったが話せば話すほど奥に秘めた変態性が出て来てシーエは結構ヒデオの事を気に入っている。

 ともかく、エムジとの初対面の時と同じようにシーエ側から肉体関係を誘ったら飛びついて来て、以降その関係は続いている。




ヒデオ

「えー? シーエちゃん誰とでも寝るじゃん」


シーエ

「いやいや誰とでもは寝ないよ。性病持ちとか彼女持ちとかの奴とは寝ない」


ヒデオ

「それはほぼ誰とでも寝てるのと同義だよ……」


シーエ

「ウチが多くの奴と寝てると、何でお前の性欲が満たせないんだ?」



 この様に、シーエには考え得ない発想の問いかけをたまにしてくれる。



ヒデオ

「満たせない訳じゃなくて、何だろうな、見栄かな? 自分の力でモテたい。しかも出来れば大勢に」


シーエ

「ハーレム願望か。まぁヒトっていう霊長類はハーレム生成型の群れを形成する生き物だから、お前の願望は正常か」


ヒデオ

「シーエちゃんて何でも生物学で語るよね」


シーエ

「不満なら人間社会的に分析してやろう。つまりヒデオは素人童貞を脱却したいという訳だな」


ヒデオ

「言い方!!」


シーエ

「ま、ウチはプロでは無いから今の言い方は間違いだな。という訳らしいけどどうですか? アルビさん」




 と、シーエは隣にいた女子、暗赤くらあかアルビに話しかける。アルビもまたシーエに会いに昼休み、シーエの教室を訪れていた。

 彼女はシーエの幼馴染であり、色々あって同じ高校に通っている。どのような経緯で私立であるこの高校に共に通うようになったのかはまた後日。




アルビ

「たまたま近くを通りかかっただけでボクを変な会話に巻き込まないで!?」


ヒデオ

「アルビちゃん、どう? 僕と素敵な夜を過ごさない?」


アルビ

「最低すぎる口説き文句! 嫌だよお前なんか!! ボクはエムジみたいなクールな男子が好きなの! 茶畑みたいな性欲お化けは嫌い!」


シーエ

「あれ、アルビはエムジと知り合いなのか」


アルビ

「1年の時に同じクラスでね。そして今はそこの茶畑と同じクラス」


ヒデオ

「あ、ゴミを見る様な目線……。良い」


アルビ

「ひぃぃぃぃ! やっぱりボクはエムジみたいなクール系が良い!」


シーエ

「エムジはクールっていうか、単に性に興味が無いだけだと思うぞ? あいつの前で裸になったら一切の動揺もなしに『キモい』って切り捨てられたからな」


アルビ

「何やってるの!?」


ヒデオ

「僕も林間学校でエムジくんと一緒にお風呂入った時、彼の体にベタベタ触ったら『キモい』って一蹴されたね」


アルビ

「それは本当にキモいよね!?」


シーエ

「あれヒデオもエムジと知り合いなのか」


ヒデオ

「そりゃあんなイケメン、友達になっておいて損はないでしょ。彼の周りには女子が集まる。僕はそのおこぼれを狙う」


アルビ

「ホントに最低!」


ヒデオ

「でもそんなの抜きにしてもエムジくんは良い友人だよ。話も弾むしね。何かシーエちゃんに似てる。めっちゃ理屈っぽい」


シーエ

「ウチも先日そう思った」


アルビ

「え、シーエそんな最低な初接触しておいて、エムジと仲良くなったの?」


シーエ

「おう!」


アルビ

「じー……」


シーエ

「どうしたアルビ?」


ヒデオ

「嫉妬してるんだよ。仲良くなったイケメンを取られそうで」


シーエ

「あ、なーる」


ヒデオ

「"肛門の"」


シーエ

「そう。肛門単品の英語はアヌス。ネイティブな発音だとエイヌス」


アルビ

「最低な話の広げ方をするな!」


シーエ

「いや肛門は我々動物にとってとてつもなく重要な機関だよ? これないと消化したものを排せつ出来ないし」


アルビ

「そんな話をしてるわけじゃないからね!?」


ヒデオ

「でもそんな機関にものを出し入れすると、何で気持ちいいんだろう」


アルビ

「え、茶畑もしかして……」




 アルビはドン引きしてる。ヒデオが肛門で自慰行為に励む姿を想像したのだろう。




シーエ

「あー良いよな肛門遊び。でも感染症とかには気をつけろよ」


アルビ

「もうヤダこの2人……」


シーエ

「ちなみに肛門に物を出し入れすると気持ちいい理由は簡単だぞ」


ヒデオ

「どうして?」


シーエ

「入れる方は置いておいて、出す方が気持ちよくないと我々動物は死ぬ」


ヒデオ

「マジでどうして!?」


シーエ

「排便が気持ちよくない場合、積極的に排便しようとしないだろ。ダーウィンの進化論的話になるけど、たまたま排便の感覚が嫌いな動物が生まれたとする。その動物は排便を我慢してしまう傾向になるから、病気になりやすく、結果的に他の個体と比べて生きにくい。そういった個体は野生では淘汰される」


ヒデオ

「なるほど」


シーエ

「逆に排便が気持ち良いと感じる個体。これはウチら動物全般だな。こっちは難なく排便を行えるのでそういった個体のみが今まで生き残ってきたってワケ」


アルビ

「ド下ネタからどうしてこういう会話になれるのかな……」


シーエ

「ウチは生物学が好きなので」


ヒデオ

「シーエちゃんの話はいつも勉強になるなー」


アルビ

「知らなくても良い知識ばかりだけどね」


シーエ

「テストに出る知識だけが必要なものでは無いぞ。会話に花を咲かせられるだけでもこれらの知識は十分役に立ってる」


ヒデオ

「理屈も解ったし、これからももっと肛門遊びにいそしむぞ! シーエちゃん僕の肛門開発してよ」


シーエ

「お、任せておけ!」


アルビ

「ひぃぃぃぃぃ!!! やっぱりキモイ!」


シーエ

「キモイのが良いんじゃないか! 生き物だぞウチらは!」


アルビ

「そいういう話!?」


ヒデオ

「そんな事言ってアルビちゃん、エムジくんももしかしたら肛門自慰してるかもしれないよ?」


アルビ

「してるワケ無いでしょ! 茶畑と一緒にしないで!」


シーエ

「自慰行為はしてないだろうが、排便が気持ち良いとは感じてるはずだ。この年までちゃんと生きて来てる訳だしな」


アルビ

「やめて想像させないで!!」




 なお現在エムジは学食に行っておりクラスには不在。後ほどシーエがエムジに同様の事を尋ねた結果やはり自慰はしてないが排せつには快感を伴う事も気持ち悪そうに語ってくれた。

 嫌悪しつつも、自分が生き物であるとは受け入れているエムジだからこそこの手の話題には普通に返答するらしい。




ヒデオ

「エムジくん、全然性欲感じないよね。シーエちゃんの裸見て動揺しないってのも納得。自慰行為もしないのかな?」


シーエ

「しないでしょ。アルビはしてるよな?」


アルビ

「ちょま!? な、なにを聞いてるの!!?」


シーエ

「その動揺が答えだな。そんな性欲旺盛なアルビさんにはエムジさんをオススメできません」


アルビ

「ち、違う! ボクはそんな……!」


ヒデオ

「ニヤニヤ」


アルビ

「ニヤつくな!! てかエムジをオススメしないのは何でさ!」


シーエ

「さっきから話題に出てる通りエムジにはたぶん性欲が無い。そして性欲とは繁殖欲求の産物。つまり同じく繁殖欲求の産物である恋もしないだろう。あきらめろ、アルビ」


ヒデオ

「ドンマイ、アルビちゃん」


アルビ

「何でボクが慰められる展開になってるの!?」




 この日、あまりに会話がヒートアップしたせいか、3人とも昼休み中にお弁当を完食することは出来なかったのである。

【キャラ紹介画像】

※キャラの背景にいるのは本家シーエ世界での彼らの姿です。本物語では人間の姿でしか登場しません。


■茶畑ヒデオ

挿絵(By みてみん)


■暗赤アルビ

挿絵(By みてみん)

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