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人攫い後編


屋敷に足を踏み入れると意外と綺麗にされていた。

少し埃っぽいが、外観から見れば全然綺麗な方だ。



「私は1階を見る。ギルは2階を頼めるか?ヨル、悪いが君は私と一緒に着いてきて欲しい」



そう言うと俺は手首を強く引っ張られ、近くにあった柱に思い切り背中を打ち付けられた。


両手首は俺の頭上にあり、足は浮いている。


なんかデジャブを感じる。



「なんでアイツがテメェと一緒で俺だけ別なんだ?あ?両足両手使えなくして二度と俺から離れねぇようにしてやることも可能だって知ってんだろ」


「ヨルは案内人。守る義務がある。ギル、分かってくれ。後で沢山甘えていいから、今だけは耐えてくれ」



ギルの顔を見ると、ギルはとても辛そうな顔をしていた。言葉こそ不穏だが、ギルはまだヤンデレになってない。


選択を間違えたらヤンデレになる。どうにかクーデレのほうにしたい。ヤンデレは怖い。



「わーったよ。おい、ソラになんかしてみろ。テメェの体バラバラにして家畜の餌にしてやる。楽に死ねると思うなよ」


「分かってます。私が聖女様に手を出すわけありません。聖女様は私の神様。手なんて出せません」



貼り付けたような笑顔のヨル。一目見れば人当たり良さそうだが、どこか胡散臭い美青年って感じだ。でもその瞳は淀んで濁ってる。


アンバランス過ぎて吐き気がしてくる。



「ヨル、行きましょう。ギル、何かあれば直ぐに私を呼べ。心で呼ぶだけでもいい。私は必ず駆けつける」


「はっ、、それは俺の台詞だばーか。傷1つ付けて帰ってくるなよ」



ギルは俺の頭を撫でると背中を向けて奥の方へと歩いていった。


あんな真っ暗で光が点ってない道を、アイツよく怖がらずにズンズン行けるな。俺は無理。監視もそうだが、1人で行動出来ないからヨルを貰った訳だし。。。



「ヨル、今は私と2人です。だからその胡散臭い笑顔も表情もしなくていいですよ」



俺が言うとヨルは笑顔だった顔を一気に無表情に戻した。相変わらず瞳は淀んでいるが、この無表情な顔がしっくりとくる。

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