人攫い前編そのさん
俺だって皆みたいにガタイよく生まれたかった。
女の子にモテたい人生でした。
「そういえば聖女様」
考え事をしていたら前を歩いていたヨルに話しかけられる。周りが静寂に包まれた森の中、って事もあってヨルの声がよく聞こえる。
「我が国、サクラ王国第一王子・オウカ様の婚約者というのは事実なのでしょうか??」
「は?いや、ソラがあんなクソ野郎の婚約者な訳、、ソラ違うよな?」
ヨルの言葉に1番取り乱したのはギルだった。
その場に立ち止まり、俺の肩を持って信じられないくらい怖い顔して問い詰めてくる。
第一王子のオウカ、、顔は見たことない。ゲームの物語の中で名前は出てくるけど詳しいことは出てこなかったはず。
確かこのゲームが1期、2期は天界編、3期が王国編だし。3期はまだ未プレイな上にネタバレ嫌だから表紙も見てないだよなぁ。
あ、2期の天界編にルシファーとかミカエル出てくる。ド忘れしてた。
「婚約者ですね。昔、母様が王妃と仲良くて勝手に決めていましたし。ちなみに私はオウカ様とはご対面したことはありません。」
「会ったことなくてもオウカ様の性格はご存知ですよね?」
え、性格?いや知らない。教会と王族が仲悪いから一切そういう話聞かないし、普段俺外に出ずにずっと祈ってばかりだしな。
仲良いのは母様と王妃だけ。
「一言でいうとしたらガイアと似てる。横暴で支配的、プライドが高く魔力も高い。唯一ガイアと違うとしたら、あの王子は冷酷無慈悲。情けなんてクソ喰らえって感じだ。人間としての感情を持ち合わせてるのか不明」
ギルの言葉に目の前を歩くヨルの頭が上下に動く。ヨルもその王子の性格を知っていたのか。
そもそもなんでこのゲームを作った作者はそんな性格に難ある奴ばっかり生み出したんだろう。主人公が可哀想になってくる。
寧ろ、その主人公になってる俺が可哀想だ。
「まっ、早いとこ婚約破棄しやがれ」
「司教様、聖女様。あそこに古びた屋敷があります。人攫いの主犯が居るという噂がある為、警戒してください」
ヨルの目線の先には確かに古びた大きな屋敷がぽつんと佇んでいる。
なんか、いかにも何かが出そうな雰囲気で苦手かもしれない。民のためにがんばる、みたいな事言っちゃったから頑張って行くけど!




