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第3章始めまっするうううう!!
2~3日に1話、場合によっては4日のペースになると思いますが、よろしくです!
天に開いた穴から魔物が降り注ぐ厄災、通称“グランドフォール”。
主教様が授かった神託で判明した発生予定となるその当日。
わたし達3人が“冒険者部隊”の集合場所である王都南門先の宿営地に着いた頃には、すでに多くの冒険者で溢れかえっていた。
「凄い人数ですね!」
「『真鍮』以上の冒険者を500人以上集めたそうですからね」
「それでも駐留する騎士団よりはずっと少ないらしいわ。王都圏に集められた兵の数は3万を超えてるそうよ」
王国全土の総兵力が10万といわれている中、およそ3分の1を王都の防衛に集中させるのは確かに異例だった。残りは地方領主の指揮下で王都以外に現れるグランドフォールの迎撃にあたるらしいけど、その分郊外の町は手薄になる。
そのためか、各都市には外出禁止令が通達され一般の冒険者にも期間内は各々の町に留まり、場合によっては衛兵の指示に従い魔物の討伐にあたるよう要請が出されていた。
それだけ王国側も警戒しているのだと思う。
「とりあえず受付を済ませましょう」
わたし達は本部となっているテントに向かい、到着したことを報告をする。
以降は作戦終了まで宿営地を離れることは許されなくなる。
「で、褒賞ってなんなの?」
ディーが受付をしていた騎士に尋ねるものの「もうすぐ説明があるから大人しく待て」とあからさまに追い払われてしまった。
「ケチねぇ。どうせすぐわかるのに」
「まあまあ、もうすぐですから」
こちらにとって大事なのは、褒賞として『昇級』があるかどうかだけ。
報酬も重要だけど、あまりにも条件が困難だった場合は速やかに諦め、ほどほどにして終わりにするつもりだ。
もともと地道に依頼をこなしていくつもりだったのだし、これが最後のチャンスというわけでもない。何が起こるのかもわからない以上、みんなの無事が最優先。そのことは2人にも伝えてある。
「あっ」
エコー君の声に反応して前を見ると、わたし達より遅れて到着したラビ君のパーティーが丁度こちらへ歩いてくるところだった。
「む……君達か。逃げずに来たのは褒めてやろう。今日は楽しみにしているぞ」
先頭のウィノナさんが腕組みをしながら告げる。他の面々にも相変わらず良く思われてはいないのか、露骨に顔をしかめられてしまう。ラビ君に至っては目を合わそうともしてくれない。
そこでふと、彼らのパーティーが6人しかいないことに気付いた。
「あれ、アーシェさんはどうしたんですか?」
「っ!? ああいや、彼女は……」
関係ないと一蹴されるかと思ったけれど、動揺しながらもウィノナさんは口を開いた。
「3週間ほど前に、突然“人権派エルフになりますので探さないでください”と置き手紙を残して消えた」
「……は? じ、じんけん……?」
「うまい言い訳が思い付かなかったんだろう。相談もせずにいなくなるなんて、どれだけ怖気づいたんだ。信じて待っていたんだが、結局帰って来なかった。はぁ……情けない」
あきれ果てたという感じで心の底から溜め息を吐く。
わたし達に一番対抗心を燃やしていたのは彼女だと思っていただけに、わたしも驚きを隠せなかった。
「ぷっ、何が褒めてやろうよぉ。あんたらのほうが脱落者出てるじゃん」
「ぐっ、うるさいなぁ! 私が火力も担当すればいいだけだ! もういい、戦場で相まみえるのを楽しみにしているぞっ!」
別に彼らと戦うわけではないのだけど、こちらを一度指さしてウィノナさんは去っていく。
なんだか相手を間違えていないだろうか。
「からかい甲斐のある奴ね。面白いから、ぶちのめすのは最後にしてやるわぁ」
「しないでください、もう」
彼女に関しては、エコー君達以外のギルドメンバーで唯一“耳だけなら傾けてくれそうな人”という認識だった。ソアラさんやアーシェさんよりも言葉の険が少ないように思ったからだ。
人数が減ってしまったのは心配だったものの、ラビ君達だって『真鍮』級――一人前の冒険者だ。こちらが気にかけても仕方ないと思い、何も言わずに背を向けた。
それからしばらく野外に用意された休憩用のベンチで待機していると、本部のほうが騒がしくなるとともに兵士の動きがあわただしくなる。
しばらくして城門の方から軍馬を走らせる影1つ。
鞍には、冒険者の監督官でもある副騎士団長のカファールさんが乗っていた。
「おーい、冒険者諸君。悪いんだけど適当に列になってくれねえか」
作戦の概要を説明する刻限にはまだ早いはずだけど、何かあったのだろうか。
兵士達にも誘導され、わたし達は半ば強引に宿営地の中心に数列に分けて並ばされる。
「なんだ、まだ時間は余ってるが、もう始めんのか?」
冒険者の1人が声を上げるとカファールさんが答える。
「いや、実は大変光栄なことに、お偉方が――特に王族がお前ら冒険者部隊の鼓舞激励に来てくださったんだ」
「王族だぁ?」
「ああ。俺達騎士団は今朝の内に陛下からお言葉を頂いたんだが、命を懸けて戦ってもらうのに、お前らだけ何もナシじゃ立つ瀬がないだろうってことでな。特別に第6王子殿下に足を運んで頂いた。感謝するように」
それを聞いた皆の反応は微妙なものだった。
「どうせなら王女殿下に来て欲しかった」「第6かよ。末も末じゃねえか」などだ。カファールさんが「不敬な国民は処すよ」と言ったらすぐに黙ったけれど。
「……お、準備ができたようだ。お前ら城壁の上へ注目! いいか、何言われても余計な口開くんじゃねえぞ」
ややあって城壁の上に騎士を引き連れた1人の人物が現れる。
姿を現したのははちきれんばかりのお腹で今にも服が破いてしまいそうな、でっぷりと太った男性だった。
「ったく、うぜぇブヒ。何でオデが冒険者なんて社会のカス共の応援をしなきゃならんブヒ」
((((…………!!??))))
傍に控えている王宮魔術師の《風魔法》で拡声された耳を疑うような暴言が宿営地に垂れ流される。
その一言で第6王子の人柄がわかってしまった気がした。
列の中から「第6王子はオークだった……?」などと声が漏れる。
正直わたしもそう錯覚したほどだ。だって語尾までオークなのだから。
「王子、もう始まっております」
「あっ、そうなんブヒか? まあいいブヒ。やい、クズ共。社会の最下層の意地を見せて魔物を倒すブヒよ。卑しい生まれだからって逃げ出したりしたら――ええと、どうなるブヒ?」
これにはカファールさんが答える。
「あれだ。逃亡したものは冒険者資格剥奪だから、覚悟しとけよお前ら!」
こちらは魔法なしなので力の限り声を張り上げる。
でも第6王子は鼻で嗤うと。
「ぬっる! 茹でたブロッコリーみたいに温いブヒ! 逃亡は次期国王であるオデに背信したも同じこと。最低でも死刑、ついでにパーティーの仲間も八つ裂きにして見せしめにすれば、こいつらも死に物狂いで働くと思うが、どうブヒ?」
「…………おら、お前ら! 敵前逃亡は死刑だ! 肝に命じとけぇ!」
ヤケクソ気味に叫ぶカファールさん。
以前会話した時は飄々としていたけれど、彼も何だかんだ言って苦労しているのかもしれない。
「えっ、あの人が次期国王様なんですか?」
「まさか。代々第1王子が王位継承権を持っているはずです」
「1~5を始末する算段でもあるんじゃないの。知らないけど」
満足したのか「ブゥーヒッヒッヒ!」と耳鳴りがするような笑いを残して第6王子は去っていった。
何しに来たのだろうか。
「完全に無駄な時間だったわねぇ」
「はい……」
辟易しながらも、もういいだろうと皆が解散しようした時、制止がかかる。
「まだだ、待て。続いて主教様からのお言葉だ」
(え……?)
足を止めたわたし達が城壁に注目すると、王子殿下と入れ替わる形で1人の女性が姿を現す。
身に纏うは純白の衣。
ガラスのように透き通った銀糸の髪をたなびかせ、浮世とは隔絶した恐ろしいほど整った容姿を持つ少女。
創生の神を崇めし世界的組織“教会”の総主教たる人物が、聖杖を携えその姿を現した。
前回の幕間は以前この辺しか乗せる間がないかな、と思い以前からちまちま書いていたものを乗せました。
どんな形であれ、答えを見つけた彼女達の人生はこれからも続きます。




