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3話
「まぁ呑んで勢いだと思って流して貰って良いんですけどね…俺、むつに関しては真剣です。それだけは分かっておいてください…負けたくありませんから」
西原が焼酎のグラスを置いて、冬四郎に向かって真剣な顔をして言うと山上が、おっという顔をした。冬四郎は、見下すような冷たい目をしていた。そして、鼻でふんっと笑った。
「西原は意外と可愛いな」
「そうですね、頑張れ西原君」
山上と冬四郎がそう言うと、西原はしかめっ面をして見せたが、2人に笑われるだけだった。
「で、ついでに…最近はむつどうですか?」
然り気無く聞いたつもりだったが、西原はその後のむつの様子が気になって仕方ないようだった。そんな西原を見て、山上と冬四郎は顔を見合わせた。
「西原君…もしかして、何もしらない?」
「何がですか?むつに何かあったんですか?あれ以来、むつとは連絡取ってないんですよ…」
西原がそう言うと、冬四郎と山上は再び顔を見合わせた。西原の方も多少なりとも気まずく感じているらしかった。
「むつは居ないぞ」
「えっ‼」




