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2話
むつは奥のソファーに座った冬四郎に、コーヒーを持っていった。
「ごめん…何にもない。お弁当、食べる?」
「それはお前の昼用だろ?流石にくれとは言わないよ」
「けど、さぁ…ご飯まともに食べてないでしょ?お昼くらい外出るから良いよ。それに颯介さんと社長来てから話したいし」
とんっと弁当箱をテーブルに置くと、むつは鞄と上着を置きに奥の倉庫に入っていった。そして、すぐに出てくると換気の為に窓を開けて回っていた。
「本当に良いのか?」
「え?うん。何で遠慮するの?」
「いや…頂きます」
「はーい」
冬四郎が弁当箱を開けるのをちらっと見てから、むつはパソコンを立ち上げたり軽く掃除をしたり始めた。冬四郎は弁当をぱくつきながら、むつが動き回ってるのを眺めていた。
むつが机を拭いていると、がちゃっとドアが開いて、のっそりと山上が入ってきた。
「あ、おはようございます」
「おう、おはよう」
「早いね。どうしたの?」
「みやから今日顔出すって連絡貰ったから」
「奥に居るよ。コーヒー持ってくね」




