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2話
翌日、むつがエレベータから降りよろず屋のオフィスの鍵を探しながら廊下を歩いていると、壁に寄り掛かっている男が居るのに気付いた。むつは立ち止まって、じっと男を見ていた。薄暗いせいか、顔がはっきりとは見えない。
「よお」
壁から離れた男は、むつに片手を上げて挨拶をした。声が聞こえて、むつはほっとしたように片手をひらひらと振った。
「おはよう。良かった…」
「何が良かったんだ?」
むつが鍵を開けて中に入ると、男も続いて中に入った。慣れた様子で、男が壁にある電気のスイッチを入れた。
「…何でもない。や、何でもなくない」
「どっちだよ」
男はくすくすと笑うとむつの頭を撫でた。ちかちかと点滅して、蛍光灯がつき男の顔がはっきりと見えた。男、宮前 冬四郎は疲れた顔をしていたがむつに優しげな笑みを向けていた。
「大事な話があるの。だから、昨日連絡したんだけどね…面倒かもしれないけど、お願いする事になるから」
「昨日連絡貰ったから、来たんだけどな。お前の方から協力要請か?珍しいな」
「うん…あ、当直お疲れ様。疲れてるのに、来てくれてありがと。すぐにコーヒーいれるけど、空きっ腹にコーヒーはよくないよね。何かつまむ?」
むつがそう言うと、冬四郎は嬉しそうな顔をした。そして、何かあれば欲しいなと言った。




